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相愛信用組合——丹沢のふもとの小さな信組は、誰に貸すか

預貸率40.3%、預金419億円、店舗4。神奈川県愛甲郡に本店を置く相愛信用組合。丹沢のふもとの小さな信組が、限られた範囲で地元に貸す姿を、小規模信組の役割から読みます。

ニホン銀行紀行 ・ 神奈川県

神奈川県愛甲郡に本店を置く相愛信用組合は、県央部を中心に営業する信用組合です。預金419億円、貸出金169億円、店舗4。本紀行に登場する金融機関のなかでも、とりわけ小規模な信用組合です。大都市・横浜を抱える神奈川県にあって、丹沢のふもとの限られた範囲に根ざす、小さな協同組織金融機関です。

本拠地の愛甲郡は、神奈川県の県央部、丹沢山地のふもとに位置します。厚木市などに隣接し、住宅地と、農業や中小の工場・商工業が混在する地域です。横浜・川崎のような大都市圏とは異なり、都市の縁辺で、地元に根ざした暮らしと商いが続いてきた土地です。この、大都市圏の縁にある小さな信組という立場が、相愛信用組合の数字を読む鍵になります。

数字の面で目を引くのは、預貸率40.3%という水準と、不良債権比率5.52%というやや高めの数字、そして何より店舗4・預金419億円という小ささです。

まず、数字を並べる

相愛信用組合の預金は419億円、貸出金は169億円、預貸率40.3%。自己資本比率は9.38%、不良債権比率は5.52%。中小企業等向けの貸出先は1千件を超えます。

相愛信用組合(令和7年3月末)
預金419億円
貸出金169億円
預貸率40.3%
自己資本比率9.38%
不良債権比率5.52%
中小企業等向け貸出先1,380件
店舗4店

店舗4・預金419億円。小さな信組が、限られた範囲で貸す数字。

40.3%を、小さな信組の役割から読む

預貸率40.3%は、信用組合として中庸からやや低めの水準です。集めた預金の4割ほどを貸出に回し、残りは有価証券などの運用にあてています。だが、この信組を読むうえで最も大切なのは、その小ささです。店舗はわずか4、預金は419億円。地域の限られた範囲に深く根ざした、小さな協同組織です。

相愛信用組合が貸す相手は、県央部の地元の小規模・零細な事業者や住民が中心です。地域の小さな商店、零細な事業者、そして個人に、距離の近さを生かして向き合ってきたと考えられます。大都市圏の縁辺という立地は、横浜のような旺盛な資金需要が集まる場所ではなく、貸出を大きく伸ばせる優良な借り手の数も限られます。集めた預金を地域だけで貸し切れず、あふれた分が運用に向かう——預貸率40.3%という水準は、限られた範囲を地盤とする小さな信組の構造的な姿と読めます。

不良債権比率5.52%というやや高めの数字は、こうした小さな信組の性格の裏返しです。規模が小さいぶん、一つひとつの貸出先の事情が数字に響きやすく、また体力に余裕の小さい零細な借り手に向き合えば、焦げ付きは高めに出やすい。自己資本比率9.38%という、協同組織として基準を満たす水準を保ちながら、地元の小さな借り手を支えてきた姿がうかがえます。もちろん、これらの比率には個別の大口先の事情も大きく絡むため断定はできませんが、大都市圏の縁にある小さな信組という立場を抜きに、この数字は読めません。

相愛信用組合が示すのは、大都市圏の縁で、限られた範囲の小さな借り手に向き合う信組の姿です。店舗4、預金419億円。横浜の喧騒から離れた丹沢のふもとで、地元の零細と個人に貸す。40.3%という預貸率とやや高い焦げ付きは、小さな信組がその役割を担ってきたことの表れと読めます。

信用組合という、より小さく地域に密着した形

相愛信用組合は、信用金庫ではなく信用組合です。信用組合は、中小企業等協同組合法などにもとづく協同組織で、組合員のための相互扶助を目的とします。信用金庫と比べても、より小規模で、地域や組合員に密着した存在であることが多い。地元の小さな事業者や住民に、近い距離で向き合う——それが、この信組の役割です。店舗4という小ささは、裏を返せば、限られた範囲に深く根ざしているということでもあります。

同じ神奈川で、湘南の信金と並べてみる

本紀行には、同じ神奈川県の湘南信用金庫も登場しています。湘南信金は、相模湾沿いの湘南地域に根ざす信金でした。県央部・丹沢のふもとに根ざす小さな相愛信用組合(預金419億円・店舗4)と、湘南地域に根ざす湘南信用金庫とを並べると、同じ神奈川県でも、大都市・横浜の外側で、信組と信金がそれぞれの規模と範囲で地域を支えていることが見えてきます。横浜という大都市を抱える神奈川の、もう一つの顔——湘南の信金の姿は、湘南信用金庫の記事もあわせてどうぞ。

借り手にとっての意味

小さな信用組合は、ほかの金融機関が規模や条件の面で貸しにくい小規模・零細な事業者にとって、身近な相談相手になりえます。距離の近さを生かして、地元の小さな借り手に向き合う姿勢があるぶん、頼りになる場面があります。一方で、やや高めの不良債権比率は、貸してきた相手が信用力の面で余裕の小さい先を含むことの裏返しでもあります。預貸率という数字の読み方は、預貸率の読み方であらためて整理しています。

数字は、小さな信組の役割を映す

預貸率40.3%という水準と、店舗4・預金419億円という小ささは、大都市圏の縁辺で、限られた範囲の小さな借り手に向き合ってきた信組の姿を映しています。大きな規模で広く貸す金融機関もあれば、相愛信用組合のように小さな範囲で地元に向き合う信組もある。数字は、その金融機関がどんな規模で、誰に向き合ってきたかを語ります。相愛信用組合の数字は、丹沢のふもとの小さな信組の、いまの記録です。

各地の金融機関には、それぞれの規模と役割の事情が刻まれた、それぞれの生き方があります。神奈川県の他の金融機関とあわせて眺めたい方は、神奈川県の地域金融機関のページもどうぞ。

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出先件数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(預貸率は貸出金÷預金で算出)。
相愛信用組合の地盤(愛甲郡本店、神奈川県県央部を中心に営業する小規模な信用組合であること)に関する記述=相愛信用組合および各種公開情報にもとづく。
愛甲郡・神奈川県央部の地理(丹沢山地のふもと、厚木市等に隣接、住宅地と農業・中小商工業の混在)に関する記述=各種公開情報。
湘南信用金庫の位置づけ=各種公開情報および本紀行既出記事。
信用組合の制度(中小企業等協同組合法等にもとづく協同組織であること)に関する記述=関係法令および金融庁等の公開資料にもとづく一般的な説明。

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