¥Today 初めての銀行取引HowTo

積立は、何を積み上げているのか

毎月こつこつ積み立てている事実が、そのまま返済能力の証拠になる。前の記事でそう書きました。では、その積立はいったい何を積み上げているのか。銀行員が積立から読み取る「余力」の正体を、掘り下げます。

TIPS-C ・ 初めての銀行取引HowTo

はじめに——これは「地方の金融機関」共通の話

ここで述べる手続き・心得は、地方金融機関のいずれでも共通するフローだと思ってください。都市銀行(メガバンク)を別にすれば、地域の金融機関との付き合い方は、おおむね同じ作法で通ります。

「毎月積み立てている」が、なぜ証拠になるのか

前の記事で、毎月こつこつ積み立てている事実が、そのまま返済能力の証拠になる、と書きました。では、その積立はいったい何を積み上げているのか。ここを掘り下げます。

銀行員が積立の記録から読み取っているのは、結局のところ「余力」です。この事業者には、毎月これだけのお金を、生活や事業に支障なく脇によけておく力がある——そのことが見えるかどうか。

ここで効いてくるのが、積立定期の性質です。仮に「毎月5万円なら返せます」と示したくて、口座に毎月5万円を入れたとします。けれども、翌日にそれを引き出して、また入れる、ということを繰り返しているだけかもしれない。見せかけの出入りでは、ほんとうの余力は証明できません。

その点、積立定期は満期が来るまで引き出せない、いわば片道切符です。一度積んだら、簡単には後戻りできない。だからこそ、どこかで見ている人にとっては、確かな証拠になります。ループさせているだけではない、本当に脇によけられたお金が、毎月着実に積み上がっていく。積立が積み上げているのは、残高ではなく、「この余力は本物だ」という確証なのです。

金額は、相応の意味しか持たない(が、それでいい)

積立の額は、その金額に相応の安定感として伝わります。月1万円なら1万円の、3万円なら3万円の余力として読まれる。背伸びして「収益力のある事業者だ」と思わせたいなら、それこそ月15万円ほども積まないと収益とは見てもらえないでしょう。

けれども、そこを狙う必要はありません。大切なのは、金額の大きさではなく、その額がループではない確実な余力として、毎月積み上がっていくこと。身の丈に合った額を、確実に積む。それで十分に意味があります。

どれくらい続ければいいのか

理想を言えば、1年、2年と続けたいところです。ただ、実際には半年でも、ある・ないでは印象がまるで違います。半年積み上がった記録があるだけで、相手の見方は変わる。まずは半年、そして一年と、続けることを目指してください。

そして、ここが見落とされがちな点です。融資の場面でも、創業時の融資のように300万円ほどの額は珍しくありません。けれども、その申込者の中で、実際に積立定期まで持っていて、現に毎月積んでいる人は、少数派です。だからこそ、積立をしているというだけで、申し込みの時点で、すでに一歩前に出ていると思って構いません。みんながやっていないことを、地道に続けている。その差は、思っているより大きいのです。

いくらにするか——倹約して、身の丈を作る

では、いくらにするか。考え方はひとつです。一年続けられる金額を、まじめに考えること。見栄で大きくしても、途中で続かなくなれば意味がありません。続く額こそが、あなたのほんとうの余力です。

そして、自分で「この額は少ないな」と感じたなら——そこでやることは、無理に積立額を上げることではなく、まず倹約することです。月々によけられるお金を、暮らしと事業の中から地道に作り出す。その倹約の過程そのものが、実は事業者としての足腰を鍛えます。積立の額は、背伸びで作るものではなく、身の丈を整えることで増えていくものなのです。

本記事は一般的な銀行取引の考え方を示すものです。積立商品の内容・条件、融資の判断は金融機関ごとに異なりますので、具体的な取扱いは各金融機関の窓口でご確認ください。

← お金と銀行のTips 一覧へ | ¥Today トップへ