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大和信用金庫——大和盆地の信金は、奈良で何に貸すか

預貸率51.1%、預金7,217億円、店舗20。桜井市に本店を置く大和信用金庫。古都・奈良の大和盆地に根ざす「だいわしんきん」が、観光と農と暮らしの土地で何に貸すか。その数字と歴史を読む。

ニホン銀行紀行 ・ 奈良県

奈良県の桜井市に本店を置く大和信用金庫は、地元で「だいわしんきん」と呼ばれる信用金庫だ。預金7,217億円、店舗20。奈良県の中部、いわゆる大和盆地を中心に、県内の広い範囲を地盤としている。奈良県では有数の規模を持つ信金だ。

本拠の桜井は、大和盆地の東南に位置する古い町だ。三輪山のふもとに大神神社を擁し、日本最古の市が立ったとも伝わる、歴史の深い土地である。周辺には、飛鳥や橿原など、日本の古代史の舞台となった地が広がる。古都・奈良は、東大寺や春日大社を擁する奈良市を中心に観光で知られるが、大和盆地には農業も根を張り、近年は大阪のベッドタウンとしての住宅地の性格も帯びてきた。大和信用金庫は、こうした古都の観光と、農と、大阪圏に連なる暮らしが重なる土地に根ざしてきた信金だ。

この信金の数字を見ると、預貸率51.1%という、信用金庫として標準的な水準が目を引く。預金の半分強を貸出に回している。奈良という土地で、大和信用金庫は何に貸しているのか。同じ奈良県の信金とも比べながら、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。大和信用金庫の預金は7,217億円、貸出金は3,684億円。預貸率は51.1%で、預金の半分強を貸出に回している。自己資本比率は13.04%、不良債権比率は2.23%。店舗数は20、中小企業等への貸出残高は2,784億円。

奈良県には複数の信用金庫があり、それぞれ個性がある。同じ大和盆地を地盤とする奈良中央信用金庫(預貸率41.0%・自己資本比率17.12%)と比べると、大和信用金庫の預貸率51.1%は、奈良中央信用金庫(41.0%)より高い。一方、自己資本比率は奈良中央信用金庫がより厚い。同じ奈良県の信金でも、大和信用金庫はより積極的に貸し、奈良中央信用金庫はより守りを固める——両者の数字には、そうした性格の違いが表れていると読める。大和信用金庫の不良債権比率2.23%という低めの水準は、よく貸しながらも貸出先を堅実に見極めていることを示す。

奈良県・大和盆地の二つの信用金庫(令和7年3月末)
 大和信用金庫奈良中央信用金庫
本店桜井市磯城郡
預金7,217億円5,568億円
預貸率51.1%41.0%
自己資本比率13.04%17.12%
不良債権比率2.23%4.42%

ともに大和盆地を地盤とする二つの信金。大和信用金庫はより積極的に貸し、焦げ付きも低い。奈良中央信用金庫はより厚い自己資本で守りを固める。同じ土地でも性格の違いが数字に表れている。

大和盆地とともに——大和信用金庫の歩み

大和信用金庫は、大和盆地の商人や事業者の相互扶助の金融機関として育ってきた。桜井をはじめとする盆地の町の商店や事業者、農家、そして地域の住民——こうした人々が預金を預け、必要なときに資金を借りる。大和信用金庫は、地域の暮らしと商いに寄り添いながら、奈良県有数の規模へと成長してきた。

奈良という土地は、信用金庫にとって独特の地盤だ。古都の観光があり、大和盆地の農業があり、そして大阪に通勤する人々が暮らすベッドタウンとしての顔もある。製造業の大きな集積はないが、観光・サービス業、地場の中小事業者、住宅取得の需要などが、貸出の機会をつくる。古都の落ち着きと、大阪圏に連なる暮らしの活力が同居する——この土地柄が、預貸率51.1%という標準的な水準を支えていると読める。

51.1%を、古都の信金から読む

大和信用金庫の預貸率51.1%という水準は、奈良という土地に、観光・地場の商い・住宅取得などの資金需要が、ほどよくあることの表れだと読める。大きな製造業の集積はないが、貸出先がまったく乏しいわけでもない。観光やサービス業、大和盆地の中小事業者、大阪圏に連なる住宅取得——こうした多様な需要に応えることで、預金の半分強を貸出に回せる。

不良債権比率2.23%という低めの数字は、よく貸しながらも、貸出先を堅実に見極めていることを示す。自己資本比率13.04%という水準も、信用金庫として手堅い。古都の落ち着いた経済のなかで、堅実に貸し、健全性を保つ——それが、大和信用金庫の数字に表れた生き方だと読める。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

奈良の経済とともに

大和信用金庫の数字は、古都の観光と、大和盆地の農と、大阪圏に連なる暮らしが重なる奈良という土地と、そこで堅実に貸す信金の歩みの、両方を映している。預金の半分強を地元に貸しながら、焦げ付きを低く抑え、健全性を保ってきた。観光と農と住まいが同居する奈良の経済が、51.1%という標準的な預貸率に表れている。

銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。大和信用金庫を見れば、古都・奈良の大和盆地の経済と、そこで堅実に貸す信金の姿が浮かぶ。奈良県の地銀は、県トップの南都銀行もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。奈良県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、奈良県の地域金融機関のページへ。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。預貸率が中位の金融機関は、地元の資金需要に応えつつ、運用とのバランスを取っている一つの目安になる。観光や住宅取得など、製造業以外の需要も、貸出を支える要因になる。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。奈良中央信用金庫の数値も同出典。
沿革・地域(桜井市に本店を置き、奈良県中部の大和盆地を地盤とする信用金庫であること、桜井が三輪山・大神神社を擁する古い町であること、周辺に飛鳥・橿原など古代史の舞台が広がること、奈良が観光・農業・大阪圏のベッドタウンの性格を併せ持つこと)に関する記述=大和信用金庫および各種公開情報にもとづく。
奈良・大和盆地の地理・経済(古都、大和盆地、桜井、三輪山、観光、農業、大阪のベッドタウン)に関する記述=各種公開情報。

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