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しずおか焼津信用金庫——遠洋漁業の港と県都で、信金は何に貸すか

預貸率50.1%、預金1.8兆円、店舗62。静岡市に本店を置くしずおか焼津信用金庫。遠洋漁業の基地・焼津と県都・静岡を地盤とする県中部の大型信用金庫。その数字と歴史を読む。

ニホン銀行紀行 ・ 静岡県

静岡県静岡市に本店を置くしずおか焼津信用金庫は、地元で「しずしん」と呼ばれる信用金庫だ。預金1兆8,490億円、店舗62。静岡県でも有数の規模を持つ大型信金である。県都・静岡市と、遠洋漁業の基地・焼津市を中心に、静岡県中部に広く店舗を構えている。行名に二つの地名が並ぶのは、静岡と焼津、二つの信金が合併して生まれたためだ。

地盤の静岡県中部は、性格の異なる経済が同居する土地だ。県都・静岡市は、県の行政・商業の中心で、サービス業や商業が厚く集まる。一方、隣の焼津市は、日本でも有数の遠洋漁業の基地。カツオ・マグロの水揚げで全国に知られ、鰹節や水産加工の産業が集積する。県都の都市経済と、漁港の水産経済——この二つを地盤とすることが、しずおか焼津信用金庫の特徴になっている。

この信金の数字は、際立った特徴があるというより、バランスの取れた手堅さを示している。預貸率50.1%、自己資本比率13.94%、不良債権比率3.14%。同じ静岡県の西部を地盤とする大型信金とも比べながら、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。しずおか焼津信用金庫の預金は1兆8,490億円、貸出金は9,266億円。預貸率は50.1%で、預金のちょうど半分を貸出に回している。自己資本比率は13.94%と厚く、不良債権比率は3.14%。店舗数は62、中小企業等への貸出残高は8,029億円にのぼる。

これらの数字は、いずれも信用金庫として手堅い水準にある。同じ静岡県で、浜松を中心とする西部を地盤とする県内最大の信金・浜松磐田信用金庫(預貸率49.0%・自己資本比率13.35%)と比べると、両者は規模こそ違うが、預貸率も自己資本比率もよく似ている。静岡県の二つの大型信金が、ともに預金の半分前後を貸し、厚めの自己資本を保つ。これは、ものづくりと多様な産業に恵まれた静岡県という、豊かな地盤を映していると読める。しずおか焼津信用金庫の不良債権比率3.14%は、浜松磐田信用金庫(4.34%)よりやや低く、県中部の手堅さがうかがえる。

静岡県の二つの大型信用金庫(令和7年3月末)
 しずおか焼津信用金庫浜松磐田信用金庫
地盤県中部(静岡・焼津)県西部(浜松)
預金18,490億円28,430億円
預貸率50.1%49.0%
自己資本比率13.94%13.35%
不良債権比率3.14%4.34%

静岡県の中部と西部を地盤とする二つの大型信金。規模では西部の浜松磐田信用金庫が上回るが、預貸率・自己資本比率はよく似ている。豊かな静岡経済を映す、ともに手堅い数字だ。

静岡と焼津、二つの地名が一つに——しずおか焼津信用金庫の歩み

しずおか焼津信用金庫は、その名のとおり、県都・静岡を地盤とする信金と、漁港・焼津を地盤とする信金が合併して生まれた。二つの地名を併せて行名としたのは、それぞれの地域に根ざしてきた歴史への敬意でもある。県都の商業・サービス業と、焼津の水産・水産加工業——性格の異なる二つの経済を、一つの信金が支えることになった。

焼津という土地は、日本の遠洋漁業を語るうえで欠かせない。世界の海でカツオ・マグロを獲る遠洋漁船の基地であり、その水揚げを加工する鰹節・冷凍・缶詰などの産業が集まる。ただ、遠洋漁業は、燃料費や為替、世界的な漁獲規制の影響を受けやすく、波の大きい産業でもある。一方、県都・静岡市の経済は、より安定した都市型の商業・サービス業が中心だ。波の大きい水産と、安定した都市経済の両方を地盤とすることが、この信金の経営に幅とバランスをもたらしてきたと読める。

50.1%を、県中部の信金から読む

しずおか焼津信用金庫の預貸率50.1%は、信用金庫として標準的な水準だ。突出して高くも低くもない、この中庸さこそが、性格の異なる二つの経済を地盤とすることの表れだと読める。県都・静岡の都市経済には安定した資金需要があり、焼津の水産業には波があるが固有の需要がある。両方をあわせると、極端に振れない、バランスの取れた貸出になる。

自己資本比率13.94%という厚さと、不良債権比率3.14%という低さは、この信金の手堅さを示している。豊かな静岡県を地盤に、都市と漁港の両方に分散して貸すことで、特定の産業の不振に左右されにくい。派手さはないが、二つの異なる経済をバランスよく支え、厚めの資本で守りも固める——それが、しずおか焼津信用金庫の数字に表れた生き方だ。同じ静岡県の浜松磐田信用金庫とよく似た手堅さは、ものづくりと多様な産業に恵まれた静岡という土地の豊かさを映している。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

静岡の経済とともに

しずおか焼津信用金庫の数字は、県都・静岡の都市経済と、遠洋漁業の基地・焼津の水産経済という、性格の異なる二つの地盤と、それをバランスよく支える大型信金の歩みの、両方を映している。二つの地名を一つにした信金が、都市と漁港の双方に分散して貸し、厚めの資本で守りを固めてきた。豊かな静岡県中部に根ざした手堅さが、50.1%という標準的な預貸率と、厚めの自己資本に表れている。

銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。しずおか焼津信用金庫を見れば、県都と漁港という二つの顔を持つ静岡県中部の経済と、それをバランスよく支える大型信金の姿が浮かぶ。同じ静岡県の、西部を地盤とする県内最大の信金は、浜松磐田信用金庫の記事もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。静岡県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、静岡県の地域金融機関のページへ。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。預貸率が中位の金融機関は、地元の資金需要に応えつつ、運用とのバランスを取っている一つの目安になる。ただし、地盤の産業の性格によって、適正な水準は異なる。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。浜松磐田信用金庫の数値も同出典。
沿革・地域(静岡市に本店を置く信用金庫であること、静岡と焼津の信金が合併して生まれ二つの地名を行名としたこと、焼津市が遠洋漁業〔カツオ・マグロ〕の基地で鰹節・水産加工が集積すること、県都・静岡市が商業・サービス業の中心であること)に関する記述=しずおか焼津信用金庫および各種公開情報にもとづく。
静岡県中部の地理・産業(焼津港、遠洋漁業、水産加工、県都・静岡市)に関する記述=各種公開情報。

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