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徳島信用金庫——阿波の県都の信金は、なぜ預金の半分弱しか貸さないのか

預貸率46.3%、預金2,070億円、不良債権比率4.47%。徳島市に本店を置く徳島信用金庫。阿波おどりの街・徳島の県都に根ざす「とくしん」が、なぜ預金の半分弱しか貸さないのか。その数字と歴史を読む。

ニホン銀行紀行 ・ 徳島県

徳島県の県都・徳島市に本店を置く徳島信用金庫は、地元で「とくしん」と呼ばれる信用金庫だ。預金2,070億円、店舗17。徳島市を中心に、県東部の一帯を地盤としている。県都に根ざす、地域密着の信金だ。

本拠の徳島は、四国の東部に位置する県都だ。吉野川の河口に開けたこの街は、夏の「阿波おどり」で全国に知られる。藍(あい)の集散地として栄えた歴史を持ち、いまも商業・サービス業を中心に、徳島県の経済の中心を担う。一方で、四国のなかでも人口減少が進み、隣接する関西圏(明石海峡大橋で淡路島を経て本州とつながる)との結びつきも強い。徳島信用金庫は、こうした阿波の県都の商いと暮らしに根ざしてきた信金だ。

この信金の数字で目を引くのは、預貸率46.3%という低さだ。預金の半分弱しか貸出に回していない。県都に根ざしながら、なぜこれほど貸さないのか。同じ徳島県の信金とも比べながら、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。徳島信用金庫の預金は2,070億円、貸出金は958億円。預貸率は46.3%で、預金の半分弱を貸出に回している。自己資本比率は11.52%、不良債権比率は4.47%。店舗数は17、中小企業等への貸出残高は777億円。

同じ徳島県で、県南部の阿南市を地盤とする阿南信用金庫(預貸率59.4%・不良債権比率10.07%)と比べると、対照的だ。徳島信用金庫の預貸率46.3%は、阿南信用金庫(59.4%)より低い一方、不良債権比率は徳島信用金庫(4.47%)が阿南信用金庫(10.07%)を大きく下回る。県南部の阿南信用金庫がよく貸すが焦げ付きも高めなのに対し、県都の徳島信用金庫は、貸出を抑えめにして、焦げ付きを低く保つ。同じ徳島県でも、地盤と経営の姿勢の違いが、数字に表れていると読める。

徳島県の二つの信用金庫(令和7年3月末)
 徳島信用金庫阿南信用金庫
地盤徳島市(県都)阿南市(県南部)
預金2,070億円1,080億円
預貸率46.3%59.4%
自己資本比率11.52%8.51%
不良債権比率4.47%10.07%

ともに徳島県を地盤とする二つの信金。県南部の阿南信用金庫がよく貸すが焦げ付きも高めなのに対し、県都の徳島信用金庫は貸出を抑えめにして焦げ付きを低く保つ。経営の姿勢の違いが数字に表れている。

阿波の県都とともに——徳島信用金庫の歩み

徳島信用金庫は、阿波の県都・徳島の商人や事業者の相互扶助の金融機関として育ってきた。藍の集散地以来の商いの伝統を持つ徳島の商店や事業者、そして地域の住民——こうした人々が預金を預け、必要なときに資金を借りる。徳島信用金庫は、地域の暮らしと商いに寄り添いながら歩んできた。

徳島という土地は、信用金庫にとって、貸出を大きく伸ばしやすい地盤とは言いにくい。四国のなかでも人口減少が進み、大きな製造業の集積もない。商業・サービス業は県都として相応にあるが、旺盛な事業投資や資金需要があるわけではない。預金は地域から集まるが、それを貸し切るだけの需要には限りがある——この構図が、46.3%という低い預貸率の背景にあると読める。一方で、貸出先を堅実に見極めることで、焦げ付きを4.47%と低めに抑えている。

46.3%を、県都の信金から読む

徳島信用金庫の預貸率46.3%という低さは、人口減少が進む徳島で、貸出先となる事業者や資金需要が限られていることの表れだと読める。県都として商業・サービス業はあるが、大きな製造業の集積はなく、旺盛な貸出需要があるわけではない。預金は集まっても、それを地元で貸し切れず、預貸率は半分弱にとどまる。

一方、不良債権比率4.47%という水準は、貸出を抑えめにしながら、その貸出先を堅実に見極めていることを示す。よく貸すが焦げ付きも高めの県南部の阿南信用金庫とは、対照的な姿だ。自己資本比率11.52%という水準も、信用金庫として手堅い。無理に貸し込まず、堅実に貸し、焦げ付きを低く保ちながら、県都の暮らしと商いを支える——それが、徳島信用金庫の数字に表れた生き方だと読める。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

徳島の経済とともに

徳島信用金庫の数字は、藍と阿波おどりの県都・徳島という土地と、そこで貸出を抑えめにしながら堅実に商いを支える信金の歩みの、両方を映している。預金は集まるが、貸出先は限られ、預金の半分弱しか貸さない。だからこそ、貸出先を堅実に見極め、焦げ付きを低く保つ。人口減少が進む徳島の経済が、46.3%という低い預貸率に表れている。

銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。徳島信用金庫を見れば、阿波の県都・徳島の経済と、そこで堅実に貸す信金の姿が浮かぶ。徳島県の他の金融機関は、県南部の阿南信用金庫、県トップの地銀阿波銀行もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。徳島県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、徳島県の地域金融機関のページへ。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。預貸率が低い金融機関は、相対的に融資先を求めている可能性をうかがう一つの目安になる。ただし、人口減少が進み貸出先が限られる土地では、預金が集まっても預貸率が低くとどまることがある。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。阿南信用金庫の数値も同出典。
沿革・地域(徳島市に本店を置き、徳島県東部を地盤とする信用金庫であること、徳島が阿波おどりで知られる県都で、藍の集散地として栄えた歴史を持つこと、吉野川の河口に開けた街であること、四国のなかでも人口減少が進み関西圏との結びつきが強いこと)に関する記述=徳島信用金庫および各種公開情報にもとづく。
徳島・阿波の地理・経済(県都、阿波おどり、藍、吉野川、明石海峡大橋、人口減少)に関する記述=各種公開情報。

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