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文化産業信用組合——出版・印刷の業域信組は、何に貸すか

預貸率58.3%、自己資本比率9.67%、不良債権比率4.43%。千代田区に本店を置く文化産業信用組合。出版・印刷・製本・書店などを組合員とする業域信用組合の数字を読みます。

ニホン銀行紀行 ・ 東京都

東京都千代田区に本店を置く文化産業信用組合は、預金347億円、貸出金202億円、店舗1。出版業・印刷業・製本業・製版業・書店などの事業者を組合員とする、業域の信用組合です。

文化産業信用組合の前身は、1952年に設立された東京出版信用組合です。戦後、出版取次の再編で生じた清算支払金を原資に、金融に恵まれにくかった出版業界の資金繰りを支える目的で設立されました。1964年に「文化産業信用組合」へ改称し、出版・印刷を中心とする文化産業の事業者を対象とする業域信組として歩んできました。組合員になれるのは、対象とする業種を営む事業者などに限られます。

まず、数字を並べる

文化産業信用組合の預金は347億円、貸出金は202億円、預貸率58.3%。自己資本比率は9.67%、不良債権比率は4.43%。中小企業等向けの貸出先は536件です。

文化産業信用組合(令和7年3月末)
預金347億円
貸出金202億円
預貸率58.3%
自己資本比率9.67%
不良債権比率4.43%
中小企業等向け貸出先536件
店舗1店

預貸率58.3%。出版・印刷の事業者を組合員とする業域信組の数字を読む。

58.3%を、出版業界から読む

預貸率58.3%は、信用組合として相応の水準で、集めた預金の半分以上を組合員に貸し出しています。会員資格が業種に限られる業域信組のなかでは、相応に貸している方で、出版・印刷という業界に資金需要があり、それに応えてきたことを示します。本店1店で出版業界という業種を相手にする、特化した信組です。

出版・印刷の業界は、製作から流通まで多くの工程が連なり、それぞれに資金需要があります。文化産業信用組合は、この業界に固有の事情を知る金融機関として、組合員の事業者の資金繰りを支えてきました。金融に恵まれにくかった出版業界の相互扶助という出自が、業界に特化した信組という形に表れています。自己資本比率9.67%は信用組合として手堅く、不良債権比率4.43%は中庸の水準です。

制度——業域の信用組合とは

信用組合が融資できる相手は原則として「組合員」に限られます。組合員になれるのは、中小企業等協同組合法などにより、その信用組合の地区内に住所や事業所がある中小事業者・勤労者などで、員外への貸出には制限があります。事業者には規模の制限もあり、大企業は組合員になれません。

信用組合には、地域を単位とする「地域信組」のほか、特定の職業を単位とする「職域信組」、特定の業種を単位とする「業域信組」があります。文化産業信用組合は、出版・印刷を中心とする文化産業という業種を単位とする業域信組です。組合員になれるのが対象業種の事業者などに限られるため、一般の地域信組とは性格が異なります。業界の事情を知る金融機関として、組合員に貸してきたことが、相応の預貸率に表れていると読めます。

数字は、組合の成り立ちを映す

預貸率58.3%という相応の水準は、出版・印刷という業界に固有の資金需要に応えてきた信組の姿を映しています。文化産業信用組合の数字は、出版業界の相互扶助から生まれた業域信用組合の、いまの記録です。預貸率の読み方は預貸率の読み方を、東京都の他の金融機関は東京都の地域金融機関のページもどうぞ。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。預貸率が低い金融機関は、相対的に融資先を求めている可能性をうかがう一つの目安になる。ただし、有価証券運用を主体とする金融機関は、預貸率が低くても融資に積極的とは限らない。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出先件数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(預貸率は貸出金÷預金で算出)。
文化産業信用組合の沿革(前身の東京出版信用組合が1952年に設立、出版取次の再編で生じた清算支払金を原資としたこと、1964年に文化産業信用組合へ改称、出版・印刷・製本・書店などを対象とする業域信用組合であること)に関する記述=文化産業信用組合公開情報・各種公開情報にもとづく。
信用組合の地域・職域・業域の区分に関する記述=各種公開情報。
信用組合の組合員・員外貸出に関する記述=中小企業等協同組合法ほか関係法令にもとづく一般的な整理。

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