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意外と貸してる? 東京消防信用組合——消防職員の信組の数字を読む

預貸率56.9%、自己資本比率15.44%、不良債権比率0.71%。千代田区に本店を置く東京消防信用組合。東京消防庁の職員を組合員とする職域信用組合の数字を読みます。

ニホン銀行紀行 ・ 東京都

東京都千代田区に本店を置く東京消防信用組合は、預金694億円、貸出金395億円、店舗3。東京消防庁の職員を主な組合員とする、職域の信用組合です。

東京消防信用組合は、1954年に東京消防庁職員貯蓄組合を継承して設立されました。消防という職務に従事する職員の相互扶助を目的とする職域信組で、組合員になれるのは東京消防庁の職員などに限られます。職員の給与天引きを前提とした安定した預金と、住宅や生活資金などの低利融資を通じて、職員の暮らしを支える役割を担ってきました。

まず、数字を並べる

東京消防信用組合の預金は694億円、貸出金は395億円、預貸率56.9%。自己資本比率は15.44%、不良債権比率は0.71%。中小企業等向けの貸出先は4,823件です。

東京消防信用組合(令和7年3月末)
預金694億円
貸出金395億円
預貸率56.9%
自己資本比率15.44%
不良債権比率0.71%
中小企業等向け貸出先4,823件
店舗3店

不良債権0.71%。東京消防庁職員の職域信組の数字を読む。

56.9%と0.71%を、職域から読む

とりわけ目を引くのが、不良債権比率0.71%という低さです。これは本紀行で見てきた信用組合のなかでも際立って低い水準です。組合員が安定した職にある公務員であり、給与天引きを前提とした融資が中心となるため、焦げ付きが極めて少ないと読めます。職域信組に共通して見られる、貸出の質の高さです。預貸率56.9%は、職員信組としてはむしろ高めの水準です。会員が限られる職員信組の預貸率が一割前後にとどまることも少なくないなか、東京消防信用組合は集めた預金の半分以上を組合員に貸し出しており、職員の住宅資金などの需要に応えてきたことがうかがえます。

職域信組は、特定の職に従事する人々の相互扶助の金融機関です。給与天引きによる安定した積み立てと、住宅や生活資金の低利融資を通じて、組合員である職員の福利厚生を支える役割を担います。東京消防信用組合の低い不良債権は、その安定した会員基盤の表れと読めます。

制度——職域の信用組合とは

信用組合が融資できる相手は原則として「組合員」に限られます。組合員になれるのは、中小企業等協同組合法などにより、その信用組合の地区内に住所や事業所がある中小事業者・勤労者などで、員外への貸出には制限があります。事業者には規模の制限もあり、大企業は組合員になれません。

信用組合には、地域を単位とする「地域信組」のほか、特定の職業を単位とする「職域信組」、特定の業種を単位とする「業域信組」があります。東京消防信用組合は、東京消防庁の職員を単位とする職域信組です。組合員になれるのが職員などに限られるため、一般の地域信組とは性格が異なります。安定した職にある職員を組合員とすることが、不良債権比率0.71%という低さに表れていると読めます。

数字は、組合の成り立ちを映す

不良債権比率0.71%という低さは、安定した職にある職員を組合員とし、その福利厚生を支えてきた職域信組の姿を映しています。東京消防信用組合の数字は、消防職員の相互扶助の金融機関の、いまの記録です。預貸率の読み方は預貸率の読み方を、東京都の他の金融機関は東京都の地域金融機関のページもどうぞ。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。預貸率が低い金融機関は、相対的に融資先を求めている可能性をうかがう一つの目安になる。ただし、有価証券運用を主体とする金融機関は、預貸率が低くても融資に積極的とは限らない。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出先件数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(預貸率は貸出金÷預金で算出)。
東京消防信用組合の沿革(1954年に東京消防庁職員貯蓄組合を継承して設立、東京消防庁の職員を組合員とする職域信用組合であること)に関する記述=東京消防信用組合公開情報・各種公開情報にもとづく。
職域信用組合の給与天引き・福利厚生としての機能に関する記述=各種公開情報。
信用組合の組合員・員外貸出に関する記述=中小企業等協同組合法ほか関係法令にもとづく一般的な整理。

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