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東浴信用組合——銭湯を支える業域信組は、何に貸すか

預貸率76.1%、自己資本比率32.24%、不良債権比率1.53%。千代田区に本店を置く東浴信用組合。公衆浴場(銭湯)業者を組合員とする業域信用組合の数字を読みます。

ニホン銀行紀行 ・ 東京都

東京都千代田区に本店を置く東浴信用組合は、預金492億円、貸出金374億円、店舗1。公衆浴場(銭湯)の業者を主な組合員とする、業域の信用組合です。

東浴信用組合は1927年に設立された、公衆浴場業者を対象とする業域信組です。東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県の公衆浴場業者を組合員とし、銭湯という業種を90年以上にわたって支えてきました。銭湯では硬貨の取り扱いが多いことから円貨両替の手数料を無料とし、リスク性の金融商品は一切扱わないなど、組合員の業態に即した運営が知られます。組合員になれるのは、対象とする業種を営む事業者などに限られます。

まず、数字を並べる

東浴信用組合の預金は492億円、貸出金は374億円、預貸率76.1%。自己資本比率は32.24%、不良債権比率は1.53%。中小企業等向けの貸出先は565件です。

東浴信用組合(令和7年3月末)
預金492億円
貸出金374億円
預貸率76.1%
自己資本比率32.24%
不良債権比率1.53%
中小企業等向け貸出先565件
店舗1店

預貸率76.1%・自己資本32.24%。銭湯を支える業域信組の数字を読む。

76.1%と32.24%を、銭湯から読む

預貸率76.1%は、信用組合として高い部類で、集めた預金の四分の三以上を組合員に貸し出しています。あわせて、自己資本比率32.24%という桁違いの厚さと、不良債権比率1.53%という低さも際立ちます。よく貸し、厚く守り、かつ傷が少ない——銭湯という一つの業種に深く根を張り、組合員をよく知って貸してきた業域信組の数字です。

公衆浴場は、設備の維持や燃料、改修などに資金を必要とする業態です。東浴信用組合は、銭湯という業界に固有の事情を知る金融機関として、組合員の事業者の資金繰りを支えてきました。硬貨両替の無料化や、リスク商品を扱わない方針も、組合員の業態に寄り添った運営の表れです。一つの業種を90年以上支え続けてきた歩みが、高い預貸率・厚い自己資本・低い不良債権という数字に表れていると読めます。

制度——業域の信用組合とは

信用組合が融資できる相手は原則として「組合員」に限られます。組合員になれるのは、中小企業等協同組合法などにより、その信用組合の地区内に住所や事業所がある中小事業者・勤労者などで、員外への貸出には制限があります。事業者には規模の制限もあり、大企業は組合員になれません。

信用組合には、地域を単位とする「地域信組」のほか、特定の職業を単位とする「職域信組」、特定の業種を単位とする「業域信組」があります。東浴信用組合は、公衆浴場という業種を単位とする業域信組です。組合員になれるのが公衆浴場業者などに限られるため、一般の地域信組とは性格が異なります。業界の事情を知る金融機関として、組合員に深く貸してきたことが、高い預貸率に表れていると読めます。

数字は、組合の成り立ちを映す

預貸率76.1%という高さと、自己資本比率32.24%という厚さは、公衆浴場という一つの業種を90年以上支えてきた信組の姿を映しています。東浴信用組合の数字は、銭湯を支える業域信用組合の、いまの記録です。預貸率の読み方は預貸率の読み方を、東京都の他の金融機関は東京都の地域金融機関のページもどうぞ。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。預貸率が低い金融機関は、相対的に融資先を求めている可能性をうかがう一つの目安になる。ただし、有価証券運用を主体とする金融機関は、預貸率が低くても融資に積極的とは限らない。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出先件数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(預貸率は貸出金÷預金で算出)。
東浴信用組合の沿革(1927年に設立、東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県の公衆浴場業者を組合員とする業域信用組合であること、円貨両替手数料の無料化やリスク商品を扱わない方針)に関する記述=東浴信用組合公開情報・農林中金総合研究所「公衆浴場を90年以上支え続ける東浴信用組合」(古江晋也・2022年)・各種公開情報にもとづく。
信用組合の地域・職域・業域の区分に関する記述=各種公開情報。
信用組合の組合員・員外貸出に関する記述=中小企業等協同組合法ほか関係法令にもとづく一般的な整理。

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