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青森県信用組合——県全域を地盤とする信組は、何に貸すか

預貸率50.7%、不良債権比率6.6%、預金1,659億円。青森市に本店を置く青森県信用組合。県全域を地盤とする信組が、やや高い焦げ付きを抱えて中小に貸す姿を、信組という立場から読みます。

ニホン銀行紀行 ・ 青森県

青森県青森市に本店を置く青森県信用組合は、地元で「けんしん」とも呼ばれる信用組合です。預金1,659億円、貸出金840億円、店舗19。青森県の全域を地盤とする信用組合で、中小企業等向けの貸出先は1万1千件を超えます。

本拠地の青森県は、本州の最北端に位置する土地です。りんごをはじめとする農業、陸奥湾・津軽海峡の水産、八戸の工業・漁港、そして津軽・南部という異なる文化圏を抱えています。県都・青森市、津軽の弘前、南部の八戸と、地域ごとに経済圏が分かれ、全国的に見れば人口減少と高齢化が著しく進む地域でもあります。この、県全域に多様な経済が広がりつつ過疎の進む土地を、一つの信組が地盤とするという立場が、青森県信用組合の数字を読む鍵になります。

数字の面で目を引くのは、預貸率50.7%という水準と、不良債権比率6.6%というやや高めの数字の組み合わせです。この二つを、県域の信組という立場から読みます。

まず、数字を並べる

青森県信用組合の預金は1,659億円、貸出金は840億円、預貸率50.7%。自己資本比率は8.71%、不良債権比率は6.6%。中小企業等向けの貸出先は1万1,263件にのぼります。

青森県信用組合(令和7年3月末)
預金1,659億円
貸出金840億円
預貸率50.7%
自己資本比率8.71%
不良債権比率6.6%
中小企業等向け貸出先11,263件
店舗19店

預貸50.7%・不良債権6.6%。県域の信組が抱える数字を読む。

50.7%と6.6%を、県域の信組から読む

預貸率50.7%は、信用組合として中程度の水準です。集めた預金の半分強を貸出に回しています。そこに、不良債権比率6.6%というやや高めの数字が重なります。この組み合わせは、過疎の進む県全域で、無数の小さな借り手に向き合ってきた県域信組の姿を示しています。

青森県信用組合が貸す相手は、青森県内の中小・零細事業者と個人です。りんごなどの農業に連なる事業者、水産・水産加工、地域の商業・建設・サービス業といった、津軽から南部まで県内のあらゆる地域の小さな担い手が、その融資先に含まれます。中小先1万1千を超えるという数字は、その裾野の広さを物語ります。人口減少と高齢化が進む青森では、事業の担い手の高齢化、後継者不足、農業・水産の天候や相場のリスクといった事情が、借り手の体力に影を落としやすい。不良債権比率6.6%というやや高めの数字は、こうした厳しい条件のなかで、それでも県内の小さな事業者に貸し続けてきたことの帰結と読めます。

地区や規模で他の金融機関が線を引くなかで、県域の信組として、より小さな借り手に幅広く向き合ってきた。自己資本比率8.71%という、協同組織として基準を満たす水準を保ちながら、リスクの高い先も引き受けてきた構図です。預貸率が50.7%にとどまり半分弱を運用に回しているのも、信組が原則として組合員(地区内の中小事業者・住民)にしか貸せず、過疎の地で貸し先が限られることの表れと読めます。もちろん、これらの比率には個別の事情や経営方針も絡むため断定はできませんが、過疎の進む県全域を一つの信組が束ねるという立場を抜きに、この数字は読めません。

青森県信用組合が示すのは、過疎の進む県全域で、無数の小さな借り手を束ねる信組の姿です。やや高い焦げ付きを抱えながら、県内のあらゆる地域の零細に貸す。50.7%と6.6%の組み合わせは、信組という枠のなかで、厳しい条件の土地の小さな担い手に向き合ってきたことの表れと読めます。

信用組合という、地域に密着した協同組織

青森県信用組合は、信用金庫ではなく信用組合です。信用組合は、中小企業等協同組合法などにもとづく協同組織で、組合員のための相互扶助を目的とします。信用金庫と比べても、より小規模・零細な事業者や住民に密着した存在であることが多い。地区や組合員を限って、その内側の小さな担い手に深く向き合う——それが信組の役割です。青森県信用組合は、その役割を県全域という広い範囲で担ってきた、と読めます。

同じ青森で、信金と並べてみる

本紀行には、同じ青森県の青い森信用金庫も登場しています。青い森信金は、青森県内を地盤とする信用金庫でした。県全域を地盤とする青森県信用組合(預貸率50.7%・中小先約1.1万)と、信用金庫である青い森信用金庫とを並べると、同じ青森県でも、より小さな借り手に密着する信組と、地区の中小に貸す信金とで、その立ち位置が異なることが見えてきます。青森の信金の姿は、青い森信用金庫の記事もあわせてどうぞ。

借り手にとっての意味

県域の信用組合は、青森県の小さな事業者にとって、身近で頼りになる選択肢です。地区や規模で他の金融機関が貸しにくい零細な事業者にも、信組として向き合ってきた厚みがあります。やや高めの不良債権比率は、過疎の条件のなかで貸し続けてきたことの裏返しでもあります。預貸率という数字の読み方は、預貸率の読み方であらためて整理しています。

数字は、県域の歩みを映す

預貸率50.7%という水準と、不良債権比率6.6%というやや高めの数字は、過疎の進む青森の全域を地盤に、無数の小さな借り手に向き合ってきた信組の姿を映しています。特定の地区に密着する小さな信組もあれば、青森県信用組合のように県域を束ねる信組もある。数字は、その金融機関がどんな範囲で、誰に向き合ってきたかを語ります。青森県信用組合の数字は、県全域の中小を支える「けんしん」の、いまの記録です。

各地の金融機関には、それぞれの範囲と役割の事情が刻まれた、それぞれの生き方があります。青森県の他の金融機関とあわせて眺めたい方は、青森県の地域金融機関のページもどうぞ。

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出先件数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(預貸率は貸出金÷預金で算出)。
青森県信用組合の地盤(青森市本店、青森県全域を地盤とする信用組合であること)に関する記述=青森県信用組合および各種公開情報にもとづく。
青森県の経済(本州最北端、りんご等の農業、陸奥湾・津軽海峡の水産、八戸の工業・漁港、津軽・南部の文化圏、人口減少・高齢化)に関する記述=各種公開情報。
青い森信用金庫の位置づけ=各種公開情報および本紀行既出記事。
信用組合の制度(中小企業等協同組合法等にもとづく協同組織であること)に関する記述=関係法令および金融庁等の公開資料にもとづく一般的な説明。

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