銚子商工信用組合——醤油と漁港の町で、銚子の信組は誰に貸すか
預貸率46.4%、預金2,830億円、自己資本比率9.45%、不良債権比率5.53%。銚子市に本店を置く銚子商工信用組合。醤油醸造と漁港の町・銚子に根ざす信用組合が、誰に貸すのか。同じ銚子の信用金庫と比べながら、その数字と歴史を読む。
千葉県の銚子市に本店を置く銚子商工信用組合は、預金2,830億円を持つ信用組合だ。店舗19。銚子市を中心に、千葉県北東部から茨城県の一部を地盤としている。地元では「ちょうしん」とも呼ばれ、銚子の事業者に密着してきた信用組合だ。
本拠の銚子市は、関東の最東端、利根川の河口に位置する。古くから醤油醸造の町として知られ、いまも全国に名の通った大手醤油メーカーの拠点がある。また、全国有数の水揚げを誇る銚子漁港を擁し、水産業と水産加工業が地域の柱だ。犬吠埼の灯台や、温暖な気候を生かしたキャベツなどの農業もある。銚子商工信用組合は、こうした醤油醸造と漁港の町・銚子に根ざしてきた信用組合だ。
この信金の数字で目を引くのは、預貸率46.4%という水準と、不良債権比率5.53%というやや高めの焦げ付きだ。預金の半分弱を貸出に回している。信用組合は、信用金庫よりさらに地域や組合員を絞った金融機関だ。なぜ、銚子の信組は、こうした数字になるのか。同じ銚子を地盤とする信用金庫と比べながら、数字を読みにいく。
数字を並べてみる
まず、絶対値から。銚子商工信用組合の預金は2,830億円、貸出金は1,313億円。預貸率は46.4%で、預金の半分弱を貸出に回している。自己資本比率は9.45%、不良債権比率は5.53%。店舗数は19、中小企業等への貸出残高は1,159億円。
同じ銚子市を地盤とする銚子信用金庫(預貸率32.3%・不良債権比率5.89%)と比べると、銚子商工信用組合のほうが、預貸率は高い。銚子商工信用組合の預貸率46.4%は銚子信用金庫(32.3%)を上回り、銚子商工信用組合のほうがよく貸している。一方、不良債権比率はどちらもやや高めで、銚子信用金庫(5.89%)が銚子商工信用組合(5.53%)をわずかに上回る。同じ銚子の町を、信用金庫と信用組合がともに支えている——系統は違っても、地域の事業者に貸すという役割は同じだ。信用組合である銚子商工信用組合は、商工業者の組合員により絞って貸す分、預貸率が信用金庫より高く出ていると読める。
| 銚子商工信用組合 | 銚子信用金庫 | |
|---|---|---|
| 本店 | 銚子市 | 銚子市 |
| 預金 | 2,830億円 | 5,175億円 |
| 預貸率 | 46.4% | 32.3% |
| 不良債権比率 | 5.53% | 5.89% |
| 自己資本比率 | 9.45% | 12.57% |
同じ銚子の町を支える信用組合と信用金庫。系統は違っても、地域の事業者に貸す役割は同じだ。組合員を絞る信用組合のほうが、預貸率はやや高い。
醤油と漁港の町とともに——銚子商工信用組合の歩み
銚子商工信用組合は、銚子の商工業者の相互扶助の金融機関として育ってきた。信用組合は、信用金庫よりさらに地域や組合員を絞り、組合員のための金融機関という性格が強い。銚子の醤油醸造に連なる事業者、水産業や水産加工業の事業者、商店、そして地元の中小・零細事業者——こうした人々が組合員となり、預金を預け、必要なときに資金を借りる。銚子商工信用組合は、こうした銚子の商工業に密着してきた。
銚子という土地は、信用組合にとって、地元に根ざした地盤だ。醤油醸造と水産業という、地域に深く結びついた産業がある。一方、銚子市は人口の減少が進み、水産業も担い手の高齢化という課題を抱える。地域の産業が課題に直面するなかで、地元の組合員を支え続ける——この役割が、不良債権比率5.53%というやや高めの焦げ付きの背景にあると読める。地域の事業の浮き沈みを引き受けることは、信用組合の使命でもある。預貸率46.4%は、組合員に着実に貸してきた水準と読める。
46.4%を、銚子から読む
銚子商工信用組合の預貸率46.4%という水準と、不良債権比率5.53%というやや高めの焦げ付きは、醤油醸造と漁港の町・銚子で、組合員である地元の商工業者を支え続けてきたことの表れだと読める。銚子は、醤油と水産業という地域の産業を持つ一方、人口減少や担い手の高齢化という課題を抱える土地だ。そのなかで銚子商工信用組合は、地元の組合員に貸し、預金の半分弱を貸出に回してきた。
焦げ付きがやや高めなのは、地域の産業が課題に直面するなかで、それでも地元の組合員を支え続けてきたことの裏返しでもある。条件の厳しい土地で、組合員に絞って貸し、地元を支え続ける——それが、銚子商工信用組合の数字に表れた生き方だと読める。地域に深く根ざした信用組合の、一つのかたちがここにある。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。
千葉の経済とともに
銚子商工信用組合の数字は、醤油醸造と漁港の町・銚子という土地と、そこで組合員を支え続ける信用組合の歩みの、両方を映している。人口減少の課題を抱える銚子で、地元の商工業者に貸し、地域を支えてきた。醤油醸造と水産業の経済が、46.4%という預貸率と、5.53%というやや高めの焦げ付きに表れている。
銀行や信用金庫・信用組合の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。銚子商工信用組合を見れば、銚子の経済と、そこで組合員を支える信用組合の姿が浮かぶ。千葉県の他の金融機関は、同じ銚子の銚子信用金庫、水郷・佐原の佐原信用金庫、県内の地銀千葉銀行もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。千葉県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、千葉県の地域金融機関のページへ。
執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)
出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用組合の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。銚子信用金庫の数値も同出典。
沿革・地域(銚子市に本店を置き、千葉県北東部を地盤とする信用組合であること、銚子の商工業者に密着してきたこと、銚子が関東最東端・利根川の河口に位置し古くから醤油醸造の町として知られ全国的な大手醤油メーカーの拠点があること、全国有数の水揚げを誇る銚子漁港を擁し水産業・水産加工業が地域の柱であること、犬吠埼の灯台やキャベツなどの農業があること、人口減少や水産業の担い手の高齢化という課題を抱えること)に関する記述=銚子商工信用組合および各種公開情報にもとづく。
銚子の地理・経済(銚子、利根川、醤油、醸造、銚子漁港、水産業、水産加工、犬吠埼、キャベツ)に関する記述=各種公開情報。