福岡中央銀行——「中央」を名乗る全国3行の一つは、福岡で何に貸すか
預貸率91.6%、自己資本比率8.96%、不良債権比率4.77%。無尽を源流とし、民営で「中央」を冠する全国3行の一つである福岡県の第二地銀「福中銀」。ふくおかFG傘下で福岡県内のみに貸す銀行の数字を読む。
福岡県は、九州の経済の中心だ。福岡市の商業・サービス業、北九州の製造業、そして九州各地から人と物が集まる玄関口。県内には、九州最大の地方銀行である福岡銀行をはじめ、多くの金融機関がひしめいている。そのなかに、小さいながらも独特の存在感を持つ第二地方銀行がある。福岡中央銀行——通称「福中銀(ふくちゅうぎん)」だ。福岡市中央区に本店を置く。
この銀行には、名前にまつわる小さな特徴がある。「中央」を冠しているのだ。日本銀行のような公的な中央銀行ではなく、民営の銀行でありながら「中央」を名乗る。実はこれは、全国でも3行しかない珍しいケースだ。その由来と数字を読みにいく。
数字を並べてみる
まず、絶対値から。福岡中央銀行の預金は4,655億円、貸出金は4,264億円。預貸率は91.6%と、極めて高い。預金のほとんどを貸出に回している計算だ。自己資本比率は8.96%、不良債権比率は4.77%とやや高め。店舗数は41、中小企業等への貸出先は約2万件。営業店舗は福岡県内のみで、県外には店舗を持たない、地域に密着した小さな銀行である。
「中央」を名乗る、全国3行の一つ
福岡中央銀行の源流は、無尽にある。1951年(昭和26年)、第一殖産無尽(福岡)と西部殖産無尽(小倉)が合併して、正金殖産無尽が設立された。無尽とは、人々が金を出し合い、順番に融通し合う相互扶助の金融である。その後、相互銀行を経て、1989年に福岡中央銀行となった。
この銀行の名で目を引くのが「中央」だ。日本銀行のような国の中央銀行と違い、民営の地方銀行でありながら「中央」を冠している。同じように民営で「中央」を名乗る銀行は、全国に静岡中央銀行・山梨中央銀行・福岡中央銀行の3行しかない。地域の「中心」でありたいという思いを込めた行名だが、結果として全国でも珍しい名前となった。福岡中央銀行は、九州最大の地銀である福岡銀行と縁が深く、頭取が6代続けて福岡銀行の出身者である。そして2023年10月、ついに福岡銀行を中核とするふくおかフィナンシャルグループの完全子会社となった。大手金融グループの一員として、福岡県内の地域金融を担う立場になったのである。
県内だけに、目いっぱい貸す
福岡中央銀行の預貸率91.6%は、地方銀行のなかでも際立って高い。預金のほぼすべてを貸出に回している。なぜこれほど貸せるのか。一つには、福岡県という、九州で最も経済が活発な土地を地盤にしているからだ。福岡市は人口が増え続ける数少ない大都市であり、事業者の資金需要は厚い。小さな銀行でも、貸し先には事欠かない。
もう一つは、この銀行の身の丈に合った経営だ。県外に店舗を持たず、福岡県内だけで営業する。手を広げず、地元の中小事業者に集中して貸す——そのスタイルが、高い預貸率につながっている。一方で、不良債権比率4.77%とやや高めなのは、体力の小さな借り手にも貸す第二地銀の性格の表れと読める。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。よく貸すことと、リスクを抱えることは、背中合わせでもある。
福岡の経済とともに
福岡中央銀行の数字は、九州で最も活発な福岡の経済を、小さな第二地銀として地元密着で支える姿を映している。無尽を源流に、「中央」という珍しい名を掲げ、いまはふくおかフィナンシャルグループの一員として、県内の中小事業者に目いっぱい貸している。規模は小さくとも、地域に根を張る銀行である。
銀行の数字は、その土地の経済を映す鏡だ。福岡中央銀行を見れば、九州の玄関口・福岡の活力が浮かぶ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。福岡県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、福岡県の地域金融機関のページへ。
執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)
出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出先件数・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末。
沿革(1951年正金殖産無尽設立・無尽が源流・1989年福岡中央銀行へ・「中央」を冠する全国3行・福岡銀行との関係・2023年ふくおかFG完全子会社化)=福岡中央銀行・ふくおかフィナンシャルグループ公開情報、各種公開情報。
福岡県の経済(福岡市の人口増・九州の中心)に関する記述=各種公開情報。