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釧路信用組合——霧と漁港のまち・釧路で、しんくみは何に貸すか

預貸率65.2%、自己資本比率24.86%、不良債権比率5.23%。釧路市に本店を置く釧路信用組合。釧路商工信用組合を源流とし、道東の水産と酪農のまちに根ざす信組の数字を読みます。

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北海道釧路市に本店を置く釧路信用組合は、預金679億円、貸出金442億円、店舗5。釧路市を中心に、道東一帯を地盤とする信用組合です。

本店のある釧路市は、北海道の東部、太平洋に面した道東の中心都市です。日本有数の水揚げを誇った釧路港を擁する水産のまちであり、背後には酪農のさかんな根釧台地、そして釧路湿原が広がります。夏に海霧が立ちこめる冷涼な気候で知られ、製紙業も根づいてきました。水産・酪農・紙という一次産業と素材産業に支えられる一方、人口減少は道内でも進んでいます。この、海と霧と大地の土地柄が、釧路信用組合の数字を読む鍵になります。

この信用組合は、1954年に釧路商工信用組合として設立され、1999年に釧路信用組合へ改称しました。2002年には経営破綻した網走信用組合の事業を引き継ぎ、オホーツク方面へも地盤を広げています。数字の面で目を引くのは、預貸率65.2%という相応の高さと、自己資本比率24.86%という、信用組合として際立って厚い守りの組み合わせです。

まず、数字を並べる

釧路信用組合の預金は679億円、貸出金は442億円、預貸率65.2%。自己資本比率は24.86%、不良債権比率は5.23%。中小企業等向けの貸出先は3,472件です。

釧路信用組合(令和7年3月末)
預金679億円
貸出金442億円
預貸率65.2%
自己資本比率24.86%
不良債権比率5.23%
中小企業等向け貸出先3,472件
店舗5店

預貸率65.2%・自己資本24.86%。道東の漁港のまちに根ざす信組の数字を読む。

65.2%と24.86%を、道東の海から読む

預貸率65.2%は、本紀行で見てきた地方の信用組合のなかでは相応に高く、地元の中小事業者にしっかり資金を回していることがうかがえます。同時に目を引くのが、自己資本比率24.86%という厚さです。信用組合の自己資本比率は一桁から十数%台が多いなかで、24.86%は際立っています。よく貸しつつ、厚く守る——この両立が、釧路信用組合の数字の特徴です。

釧路信用組合が貸す相手は、釧路を中心とする道東の中小事業者です。水産・水産加工、根釧の酪農に連なる事業者、まちの建設業や商業が、その融資先に含まれると考えられます。水産や酪農は、漁獲や相場、飼料価格の変動を受けやすく、地域経済の浮き沈みは小さくありません。不良債権比率5.23%というやや高めの水準と、24.86%という厚い自己資本は、その変動に備えながら地元に貸し続けてきた歩みの表れと読めます。網走信組の事業を引き継いだ経緯も、道東の金融を支える役割を映しています。

もちろん、これらの比率には個別の事情や経営方針も絡むため断定はできませんが、海と霧と大地の道東という土地を抜きに、この信組の数字は読めません。

釧路信用組合が示すのは、道東の海と大地に根ざし、よく貸しつつ厚く守る信組の姿です。水産や酪農の変動を抱える土地で、地元に資金を回しながら、24.86%という厚い自己資本で備える。その数字は、変動の大きい土地で長く役割を果たす信組の輪郭を映しています。

なぜ、こうなったのか——制度と地域

信用組合が融資できる相手は原則として「組合員」に限られます。組合員になれるのは、中小企業等協同組合法などにより、その信用組合の地区内に住所や事業所がある中小事業者・勤労者などで、員外への貸出には制限があります。事業者には規模の制限もあり、大企業は組合員になれません。

この制度のもとでは、貸す相手はおのずと地元の中小事業者や住民に絞られます。釧路信用組合にとって、その「地元」とは、水産・酪農・製紙を柱とし、変動と人口減少を抱える道東の地域経済です。破綻した網走信組の事業を引き継いで地盤を広げたことも、道東という広い圏域の金融を支えようとする動きと読めます。よく貸しながら厚い自己資本で備える姿は、変動の大きい一次産業の土地で地区とともに在り続けるための、ひとつの構えと読めます。

同じ道の、金融機関と並べてみる

同じ北海道を代表する地銀として、北海道銀行(預貸率75.1%)も本紀行に登場しています。道全体を相手にする道銀(預貸率75.1%)と、道東に密着するこの釧路信用組合(預貸率65.2%)とを並べると、規模も性格も異なりますが、ともに相応に高い預貸率を示します。道全体を支える地銀の姿は、北海道銀行の記事もあわせてどうぞ。

同じ釧路には、釧路信用金庫もあります。預貸率47.9%の釧路信用金庫と、預貸率65.2%の釧路信用組合は、同じ漁港のまちを地盤としながら数字の形が異なります。道東の信金と信組、それぞれの姿は、釧路信用金庫の記事もあわせてどうぞ。

借り手にとっての意味

地元に根ざす信用組合は、地域の中小事業者にとって、身近な相談相手です。とりわけ、水産や酪農を担う道東の事業者にとって、土地の事情を知る信組の存在は心強いものです。相応の預貸率は、しっかり貸す姿勢の表れとも読めますが、それが個別の融資の可否を保証するものではありません。預貸率という数字の読み方は、預貸率の読み方であらためて整理しています。

数字は、根を張る土地を映す

預貸率65.2%という相応の高さと、自己資本比率24.86%という厚さは、霧と漁港のまち・釧路に根を張り、変動の大きい一次産業の土地で地元に貸し続けてきた信組の姿を映しています。数字は、その金融機関がどんな土地で、誰に向き合ってきたかを語ります。釧路信用組合の数字は、道東の海と大地に根ざす信組の、いまの記録です。

各地の金融機関には、それぞれの土地と産業の事情が刻まれた、それぞれの生き方があります。北海道の他の金融機関とあわせて眺めたい方は、北海道の地域金融機関のページもどうぞ。

釧路信用組合と融資・保証のはなし

釧路信用組合は、地域に根ざした信用組合です。借りる・備えるのどちらを考えるにしても、土台になるのは日頃の取引と信用。口座づくりから保証制度まで、どんな立場でも知っておきたい融資・銀行取引の基礎をまとめました。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。預貸率が低い金融機関は、相対的に融資先を求めている可能性をうかがう一つの目安になる。ただし、有価証券運用を主体とする金融機関は、預貸率が低くても融資に積極的とは限らない。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出先件数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(預貸率は貸出金÷預金で算出)。
釧路信用組合の沿革(1954年に釧路商工信用組合として設立、1999年に釧路信用組合へ改称、2002年に網走信用組合の事業を引き継ぎ)に関する記述=釧路信用組合公開情報・各種公開情報にもとづく。
釧路市の釧路港・水産業、根釧台地の酪農、釧路湿原・製紙業に関する記述=各種公開情報。
北海道銀行・釧路信用金庫の数値=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末。
信用組合の組合員・員外貸出に関する記述=中小企業等協同組合法ほか関係法令にもとづく一般的な整理。

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