日新信用金庫——明石海峡の城下町で、三信金が一つになった「にっしん」は何に貸すか
預貸率49.4%、預金8,210億円、自己資本比率11.4%、不良債権比率7.26%。兵庫県明石市に本店を置く日新信用金庫。明石・三木・神港の三信金が合併して生まれ、明石海峡の地に根ざす信金が、何に貸すのか。同じ兵庫の信金と比べながら、その数字と歴史を読む。
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兵庫県の明石市に本店を置く日新信用金庫は、預金8,210億円を持つ信用金庫だ。店舗36。略称は「にっしん」。明石市を中心に、神戸市など兵庫県内に店舗を構える。預金8千億円を超える、兵庫県内でも大型の信金だ。
本拠の明石市は、明石海峡に面した港町であり、城下町だ。東経135度の日本標準時子午線が通る「時のまち」として知られ、明石海峡では鯛やタコといった豊かな海の幸が水揚げされる。明石海峡大橋が淡路島へと架かり、神戸の西の玄関口として住宅地も広がる。三木市は金物・刃物の産地として、神戸市は港湾と工業の街として知られる。日新信用金庫は、こうした明石海峡の城下町と、その周辺の産業の土地に根ざしてきた信金だ。
この信金の数字で目を引くのは、預貸率49.4%という標準的な水準と、不良債権比率7.26%というやや高めの焦げ付きだ。預金の半分弱を貸出に回し、焦げ付きはやや高めだ。自己資本比率11.4%は堅実な水準だ。なぜ、明石の信金は、こうした数字になるのか。同じ兵庫県の信金とも比べながら、数字を読みにいく。
数字を並べてみる
まず、絶対値から。日新信用金庫の預金は8,210億円、貸出金は4,052億円。預貸率は49.4%で、預金の半分弱を貸出に回している。自己資本比率は11.4%、不良債権比率は7.26%。店舗数は36、中小企業等への貸出残高は3,576億円。
同じ兵庫県で、阪神工業地帯を地盤とする県下最大の信金尼崎信用金庫(預貸率47.7%・自己資本比率15.18%)と比べると、両者は兵庫の大型信金として近い貸出姿勢を見せる。日新信用金庫の預貸率49.4%は尼崎信用金庫(47.7%)とほぼ並び、どちらも預金の半分弱を貸出に回している。一方、自己資本比率は尼崎信用金庫(15.18%)が日新信用金庫(11.4%)を上回り、資本に厚みがある。不良債権比率は日新信用金庫(7.26%)が尼崎信用金庫を上回り、やや高めだ。阪神工業地帯の尼崎の信金と、明石海峡の城下町の日新——同じ兵庫の大型信金でも、地盤とする土地と歩みの違いが、数字の細部に表れていると読める。
| 日新信用金庫 | 尼崎信用金庫 | |
|---|---|---|
| 本店 | 明石市 | 尼崎市 |
| 預金 | 8,210億円 | 2兆8,000億円台 |
| 預貸率 | 49.4% | 47.7% |
| 自己資本比率 | 11.4% | 15.18% |
| 不良債権比率 | 7.26% | — |
ともに兵庫県を地盤とする大型信金。預貸率は近いが、地盤とする土地が異なる。明石海峡の城下町と、阪神工業地帯の違いが背景にある。
三つの信金が一つになって——日新信用金庫の歩み
日新信用金庫は、1975年(昭和50年)4月、明石信用金庫・三木信用金庫・神港信用金庫の三つの信用金庫が対等合併して生まれた。母体の一つである明石の信用組合は1921年(大正10年)2月の設立にさかのぼり、明石信用金庫としては2021年に創業100年を数えた。合併によって誕生した日新信用金庫としては、2025年4月で設立50周年を迎えた。「日新」という名は、中国の古典『大学』の「日に日に新たに、日々に新たに、また日に新たなり」に由来するとされる。2002年には神栄信用金庫から事業を譲り受け、店舗網を広げてきた。
明石から神戸、三木にかけての土地は、信用金庫にとって、会員の資金需要のある地盤だ。明石の漁業と住宅、三木の金物・刃物の地場産業、神戸の港湾と工業——多様な業種が広がる。こうした明石海峡の城下町と周辺の中小に密着して貸す——その姿が、預貸率49.4%という水準を支えている。自己資本比率11.4%は堅実な水準で、三信金合併から半世紀、着実に経営してきたことを映す。不良債権比率7.26%はやや高めだが、地域の事業の浮き沈みを引き受けてきたなかで、おおむね抱えてきた水準だと読める。
49.4%を、明石海峡から読む
日新信用金庫の預貸率49.4%という水準は、明石海峡の城下町とその周辺の産業の土地で、会員に着実に貸しつつ、運用とのバランスを取っていることの表れだと読める。漁業と住宅の明石、金物の三木、港湾の神戸が広がるこの地は、信用金庫が貸す相手のある土地だ。日新信用金庫は、その中小・零細事業者に密着して貸し、預金の半分弱を貸出に回している。
自己資本比率11.4%という堅実な資本と、不良債権比率7.26%というやや高めの焦げ付きは、明石海峡の地で会員に貸し、その浮き沈みを引き受けてきたことを映す。三つの信金が一つになり、明石海峡の城下町とともに半世紀——それが、日新信用金庫の数字に表れた歩みだと読める。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。
兵庫の経済とともに
日新信用金庫の数字は、明石海峡の城下町という土地と、三つの信金が一つになって歩んできた信金の歴史の、両方を映している。預金の半分弱を地元の会員に貸し、堅実な資本を保ちながら、明石から神戸、三木にかけての中小・零細事業者を支えてきた。明石の漁業と住宅、三木の金物、神戸の港湾の経済が、49.4%という預貸率に表れている。
銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。日新信用金庫を見れば、明石海峡の経済と、そこで合併を経て貸す大型信金の姿が浮かぶ。兵庫県の他の金融機関は、阪神工業地帯の尼崎信用金庫、神戸の兵庫信用金庫、姫路の播州信用金庫もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。兵庫県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、兵庫県の地域金融機関のページへ。
日新信用金庫は、地域に根ざした信用金庫です。借りる・備えるのどちらを考えるにしても、土台になるのは日頃の取引と信用。口座づくりから保証制度まで、どんな立場でも知っておきたい融資・銀行取引の基礎をまとめました。
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執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)
出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。尼崎信用金庫の数値も同出典。
沿革(1975年(昭和50年)4月に明石信用金庫・三木信用金庫・神港信用金庫の三つの信用金庫が対等合併して日新信用金庫が生まれたこと、母体の明石の信用組合が1921年(大正10年)2月の設立にさかのぼり明石信用金庫として2021年に創業100年を数えたこと、日新信用金庫として2025年4月に設立50周年を迎えたこと、「日新」の名が『大学』の「日々に新たに」に由来するとされること、2002年に神栄信用金庫から事業を譲り受けたこと、略称が「にっしん」であること、明石市を中心に神戸市など兵庫県内に店舗をもつこと)=日新信用金庫および各種公開情報にもとづく。
明石・明石海峡・周辺の地理・経済(明石、明石市、明石海峡、明石海峡大橋、子午線、時のまち、鯛、タコ、漁業、三木、金物、刃物、神戸、港湾、淡路島)に関する記述=各種公開情報。
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