盛岡信用金庫——北東北の県都で、もりしんは何に貸すか
預貸率48.6%、預金2,634億円、自己資本比率9.2%、不良債権比率5.67%。盛岡市に本店を置く盛岡信用金庫。北上川の流れる北東北の県都・盛岡に根ざす信金が、何に貸すのか。同じ岩手の金融機関と比べながら、その数字と歴史を読む。
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岩手県の盛岡市に本店を置く盛岡信用金庫は、預金2,634億円を持つ信用金庫だ。店舗23。「もりしん」の愛称で知られ、盛岡市を中心に、岩手県の中央部を地盤としている。
本拠の盛岡市は、本州一広い県土を持つ岩手県の県都だ。北上川・中津川・雫石川の三つの川が合流し、岩手山を望む城下町として栄えた。わんこそば・冷麺・じゃじゃ麺の「盛岡三大麺」で知られ、近年は海外の旅行記事で訪れるべき街として紹介され注目を集めた。商業・サービス業が集まる一方、周辺には農業地帯も広がる。盛岡信用金庫は、こうした北東北の県都・盛岡に根ざしてきた信金だ。
この信金の数字で目を引くのは、預貸率48.6%という水準と、自己資本比率9.2%というやや薄めの資本だ。これまで見てきた厚い資本を積む信金とは異なり、9.2%は控えめだ。不良債権比率は5.67%とやや高い。なぜ、北東北の県都の信金は、こうした数字になるのか。同じ岩手を地盤とする金融機関とも比べながら、数字を読みにいく。
数字を並べてみる
まず、絶対値から。盛岡信用金庫の預金は2,634億円、貸出金は1,279億円。預貸率は48.6%で、預金の半分弱を貸出に回している。自己資本比率は9.2%、不良債権比率は5.67%。店舗数は23、中小企業等への貸出残高は1,034億円、貸出先は1万1千を超える。
同じ岩手県で、半導体に沸く内陸工業都市の北上信用金庫(預貸率49.3%・自己資本比率13.82%)や、三陸の宮古信用金庫(預貸率18.4%・自己資本比率51.99%)と比べると、盛岡信用金庫は、預貸率は近いが、自己資本が薄めだ。北上信用金庫(自己資本13.82%)や宮古信用金庫(同51.99%)が厚い資本を積むのに対し、盛岡信用金庫は9.2%とぐっと低い。県都という、貸出先のある土地で、預金の半分弱を着実に貸し、薄めの資本で経営している。不良債権比率5.67%はやや高めだ。厚い資本で守るより、県都で着実に貸す——それが、この信金の数字の特徴だ。
| 盛岡信用金庫 | 北上信用金庫 | 宮古信用金庫 | |
|---|---|---|---|
| 本店 | 盛岡市 | 北上市 | 宮古市 |
| 預金 | 2,634億円 | — | — |
| 預貸率 | 48.6% | 49.3% | 18.4% |
| 自己資本比率 | 9.2% | 13.82% | 51.99% |
| 不良債権比率 | 5.67% | — | — |
岩手の信金のなかで、盛岡信用金庫の自己資本比率9.2%は薄め。県都という貸出先のある土地で、厚い資本で守るより着実に貸す姿が表れている。
北東北の県都とともに——盛岡信用金庫の歩み
盛岡信用金庫は、盛岡の中小・零細事業者の相互扶助の金融機関として育ってきた。県都の商店やサービス業、町工場、周辺の農家、そして城下町に住む人々——こうした人々が会員となり、預金を預け、必要なときに資金を借りる。合併を経て、岩手県中央部に根ざす信金へと歩んできた。貸出先1万1千超という数は、県都を中心に多くの中小・零細に密着してきたことを映している。
盛岡という土地は、信用金庫にとって、貸出先のある県都の地盤だ。県都には岩手銀行・東北銀行・北日本銀行といった地銀も集まり、大口の資金需要はそちらに向かいやすい。その中で、信用金庫は中小・零細事業者に密着して貸す——この役割分担のなかで、盛岡信用金庫は預貸率48.6%という水準を保っている。自己資本比率9.2%は、信用金庫の国内基準4%を上回るが、厚いとは言えない。厚い資本を積むより、県都の中小に着実に貸すことを選んできた信金だと読める。不良債権比率5.67%はやや高めで、地域の事業の浮き沈みを引き受けてきた跡だ。
48.6%を、盛岡から読む
盛岡信用金庫の預貸率48.6%という水準と自己資本比率9.2%という薄めの資本は、北東北の県都・盛岡で、厚い資本で守るより、中小に着実に貸してきたことの表れだと読める。県都には大口の資金需要もあるが、それは地銀が主に担う。信用金庫の地盤は、その周りにある中小・零細事業者だ。盛岡信用金庫は、その層に密着して貸し、預金の半分弱を貸出に回している。多くの貸出先を抱え、地域に深く関わってきた。
自己資本比率9.2%という薄めの資本と、不良債権比率5.67%というやや高めの焦げ付き、そして預貸率48.6%という着実な貸出——この組み合わせは、北東北の県都で、守りに厚く構えるより、中小に寄り添って貸してきた信金の姿を映している。地域とともにあり、地域の浮き沈みを引き受ける。それが、盛岡信用金庫の数字に表れた生き方だと読める。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。
岩手の経済とともに
盛岡信用金庫の数字は、北東北の県都・盛岡という土地と、そこで中小に着実に貸す信金の歩みの、両方を映している。預金の半分弱を地元の会員に貸し、多くの貸出先を抱えながら、盛岡を中心とする岩手県中央部の中小・零細事業者を支えてきた。県都の商業・サービス業と周辺の農業の経済が、48.6%という預貸率に表れている。
銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。盛岡信用金庫を見れば、北東北の県都の経済と、そこで中小に貸す信金の姿が浮かぶ。岩手県の他の金融機関は、半導体に沸く北上信用金庫、三陸の宮古信用金庫、県都銀行の岩手銀行もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。岩手県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、岩手県の地域金融機関のページへ。
盛岡信用金庫は、地域に根ざした信用金庫です。借りる・備えるのどちらを考えるにしても、土台になるのは日頃の取引と信用。口座づくりから保証制度まで、どんな立場でも知っておきたい融資・銀行取引の基礎をまとめました。
- → 口座を育てる
- → 積立で信用をつくる
- → 与信枠の考え方
- → 創業支援保証とは
- → セーフティネット保証とは
執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)
出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・貸出先件数・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。北上信用金庫・宮古信用金庫の数値も同出典。
沿革・地域(盛岡市に本店を置き、「もりしん」の愛称で知られ、岩手県中央部を地盤とする信用金庫であること、合併を経て県中央部に根ざす信金になったこと、盛岡市が本州一広い県土を持つ岩手県の県都で北上川・中津川・雫石川が合流し岩手山を望む城下町として栄えたこと、わんこそば・冷麺・じゃじゃ麺の盛岡三大麺で知られ近年海外の旅行記事で注目されたこと、商業・サービス業が集まり周辺に農業地帯も広がること)に関する記述=盛岡信用金庫および各種公開情報にもとづく。
盛岡の地理・経済(盛岡、北上川、岩手山、城下町、盛岡三大麺、商業、農業)に関する記述=各種公開情報。
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