¥Today ニホン銀行紀行

横浜銀行——日本最大の地銀は、首都圏で何に貸すか

預貸率79.6%、預金18.6兆円、中小残高11.4兆円。横浜市みなとみらいに本店を置く横浜銀行。総資産で地銀首位、日本最大の地方銀行が、神奈川と東京という巨大市場で貸す姿を読みます。

ニホン銀行紀行 ・ 神奈川県

神奈川県横浜市西区みなとみらいに本店を置く横浜銀行は、地元で「はまぎん」と呼ばれる地方銀行です。預金18兆6,621億円、貸出金14兆7,833億円、店舗208。総資産で長らく地方銀行の首位にある、日本最大の地方銀行です。神奈川県および横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市など多くの市町村の指定金融機関——公金を扱う銀行——でもあります。

本拠地の神奈川は、人口約920万人を抱える、東京に次ぐ全国第2位の人口を持つ県です。横浜・川崎の商工業、京浜工業地帯の製造業、そして東京へ通勤する膨大な人口を背景にした個人取引まで、国内最大規模のポテンシャルを誇る市場です。主な営業エリアは神奈川県と東京都町田市。首都圏という巨大市場を地盤とすることが、横浜銀行の数字を読む鍵になります。

横浜銀行の歩みは、1920年の創立に始まります。関東大震災や昭和初期の金融恐慌を乗り越え、1945年に神奈川県唯一の地方銀行となって行名を「横浜銀行」と改めました。経営地盤である神奈川・東京西南部の発展とともに業容を拡大し、1969年には全国の地方銀行でトップの預金量に達しました。1993年に現在のみなとみらいの本店へ移転、2016年には東日本銀行と経営統合し、現在は横浜フィナンシャルグループの中核を担います。2020年に創立100周年を迎えました。数字の面で目を引くのは、その圧倒的な規模と、預貸率79.6%という高さです。

まず、数字を並べる

横浜銀行の預金は18兆6,621億円、貸出金は14兆7,833億円、預貸率79.6%。自己資本比率は13.96%、不良債権比率は1.11%。中小企業等向けの貸出残高は11兆3,950億円にのぼります。

横浜銀行(令和7年3月末)
預金18兆6,621億円
貸出金14兆7,833億円
預貸率79.6%
自己資本比率13.96%
不良債権比率1.11%
中小企業等向け貸出残高113,950億円
店舗208店

預金18.6兆円・預貸79.6%。日本最大の地銀が首都圏で貸す数字。

79.6%を、首都圏という巨大市場から読む

預貸率79.6%は、地方銀行のなかでも高い水準です。集めた預金の8割近くを貸出に回している。そしてその預金が18.6兆円、貸出が14.8兆円という、地銀の枠を超えた規模であることが、この銀行の特異さです。

横浜銀行が貸す相手は、首都圏の多様な事業者と個人です。横浜・川崎の商工業、京浜工業地帯の製造業、神奈川・東京西南部の中小企業、そして膨大な人口を背景にした住宅ローンが、その融資先に含まれます。中小企業等向けの貸出残高が11兆円を超えるという数字は、もはや一地方の規模ではありません。国内最大規模のポテンシャルを持つ首都圏を地盤とすることが、預貸率79.6%という高さと、地銀の枠を超えた貸出規模を生んでいると読めます。貸し先に事欠かない巨大市場だからこそ、集めた預金の8割近くを地元で貸し切ることができるのです。

不良債権比率1.11%は、地銀として低い水準です。首都圏の多様で層の厚い経済に貸し先が広く分散していること、そして県を代表する銀行としての確かな目利きの表れと読めます。自己資本比率13.96%という地銀のなかでも高い厚みは、規模に見合った盤石な財務基盤を示しています。よく貸しながら、焦げ付きは低く、守りも厚い——大都市圏の地銀ならではの強さがうかがえます。もちろん、これらの比率には経営方針や景気も絡むため断定はできませんが、首都圏という国内最大の市場を地盤とすることを抜きに、この数字は読めません。

横浜銀行が示すのは、巨大市場・首都圏を地盤に、地銀の枠を超えて貸す日本最大の地銀の姿です。預金18.6兆円を集め、その8割近くを首都圏の事業者と個人に貸す。79.6%という高さと地銀最大の規模は、国内最大のポテンシャルを持つ土地に立つことの表れと読めます。

もう一つの大規模地銀と並べてみる

本紀行には、地方の中枢を担う大規模地銀も登場しています。宮城県の七十七銀行です。七十七銀行は東北最大の地銀で、県内企業の半分以上がメインバンクとします。日本最大の横浜銀行(預金18.6兆円)と、東北最大の七十七銀行(預金8.8兆円)とを並べると、いずれも地域を代表する大規模地銀でありながら、首都圏という巨大市場を地盤とする横浜銀行と、東北の中心として広域から預金を集める七十七銀行とで、置かれた土地の条件がどう規模に出るかが見えてきます。大都市圏の地銀と地方中枢都市の地銀——両者を並べると、地銀の規模が何で決まるかが見えてきます。東北最大の地銀の姿は、七十七銀行の記事もあわせてどうぞ。

借り手にとっての意味

日本最大の地銀は、神奈川・首都圏の事業者にとって、メガバンクと並ぶ有力な選択肢です。圧倒的な規模と稠密な店舗網は、大きな資金需要にも、地域に密着した取引にも応えうる体力を備えています。高い預貸率は積極的に貸す姿勢の表れとも読めますが、それが個別の融資の可否を保証するものではありません。預貸率という数字の読み方は、預貸率の読み方であらためて整理しています。

数字は、立つ土地の大きさを映す

預貸率79.6%という高さと、預金18.6兆円という地銀最大の規模は、首都圏という国内最大の市場に根ざし、神奈川・東京の経済とともに成長してきた銀行の姿を映しています。地方に根を張る地銀もあれば、横浜銀行のように巨大市場を地盤に地銀の枠を超える地銀もある。数字は、その金融機関がどんな土地に立っているかを語ります。横浜銀行の数字は、首都圏を背負う日本最大の地銀の、いまの記録です。

各地の金融機関には、それぞれの土地と規模の事情が刻まれた、それぞれの生き方があります。神奈川県の他の金融機関とあわせて眺めたい方は、神奈川県の地域金融機関のページもどうぞ。

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(預貸率は貸出金÷預金で算出)。
横浜銀行の沿革(1920年創立、1945年に神奈川県唯一の地方銀行となり横浜銀行に改称、1969年に全国の地方銀行でトップの預金量、1993年にみなとみらいへ本店移転、2016年に東日本銀行と経営統合、2020年に創立100周年、現在は横浜フィナンシャルグループの中核)、総資産で地方銀行首位の日本最大の地銀であること、神奈川県・東京都町田市が主な営業エリアであること、神奈川県・横浜市等多くの自治体の指定金融機関であることに関する記述=横浜銀行・横浜フィナンシャルグループおよび各種公開情報にもとづく。
神奈川県の経済(全国第2位の人口、横浜・川崎の商工業、京浜工業地帯、首都圏のポテンシャル)に関する記述=各種公開情報。
七十七銀行の位置づけ=各種公開情報および本紀行既出記事。

← ニホン銀行紀行へ | ¥Today トップへ