¥Today ニホン銀行紀行

仙南信用金庫——白石の城下町で、「せんなん」は仙台の南に何を貸すか

預貸率56.2%、預金2,215億円、自己資本比率11.48%、不良債権比率2.38%。宮城県白石市に本店を置く仙南信用金庫。白石の城下町から仙台南部にかけてを地盤とする信金が、何に貸すのか。同じ宮城の信金と比べながら、その数字と歴史を読む。

ニホン銀行紀行 ・ 宮城県

宮城県の白石市に本店を置く仙南信用金庫は、預金2,215億円を持つ信用金庫だ。店舗16。「せんなん」の呼び名で知られ、白石市を中心に、宮城県南部から仙台市にかけてを地盤としている。庫名の「仙南」は、仙台の南——宮城県南部の地域を指す呼び名だ。

本拠の白石市は、奥州街道の宿場町であり、片倉氏一万八千石の城下町として栄えた土地だ。蔵王連峰のふもとに開け、白石城の天守が再建され、温麺(うーめん)や白石和紙といった地場の産品で知られる。福島県との県境に近く、東北本線と東北新幹線が通る交通の要衝でもある。仙南信用金庫は、こうした白石の城下町から、仙台南部にかけての宮城県南に根ざしてきた信金だ。

この信金の数字は、預貸率56.2%自己資本比率11.48%不良債権比率2.38%。預金の半分強を貸出に回し、堅実な資本を保ち、焦げ付きは低めに抑えている。信用金庫として、過不足のないバランスの取れた数字だ。なぜ、城下町の信金は、こうした姿になるのか。同じ宮城を地盤とする信金とも比べながら、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。仙南信用金庫の預金は2,215億円、貸出金は1,244億円。預貸率は56.2%で、預金の半分強を貸出に回している。自己資本比率は11.48%、不良債権比率は2.38%。店舗数は16、中小企業等への貸出残高は1,172億円。

同じ宮城県で、三陸の漁港のまち石巻を地盤とする石巻信用金庫(預貸率45.6%・自己資本比率31.74%)と比べると、両者の性格は対照的だ。仙南信用金庫の預貸率56.2%は石巻信用金庫(45.6%)を上回り、より積極的に貸している。一方、自己資本比率は石巻信用金庫(31.74%)が突出して厚く、仙南信用金庫(11.48%)はその3分の1ほどだ。不良債権比率は仙南信用金庫(2.38%)が石巻信用金庫(6.18%)より低い。城下町から仙台南部の中小によく貸し、焦げ付きを低く抑える仙南と、三陸で守りを固める石巻——同じ宮城の信金でも、地盤とする土地が数字の姿を分けていると読める。

宮城県の信用金庫の比較(令和7年3月末)
 仙南信用金庫石巻信用金庫
本店白石市石巻市
預金2,215億円1,831億円
預貸率56.2%45.6%
自己資本比率11.48%31.74%
不良債権比率2.38%6.18%

ともに宮城県を地盤とする信金。仙南はよく貸し焦げ付きが低い。石巻は貸出を抑え極めて厚い資本を積む。地盤とする土地の違いが背景にある。

仙台の南の城下町とともに——仙南信用金庫の歩み

仙南信用金庫は、1950年(昭和25年)6月、仙南信用組合として設立された。1952年(昭和27年)1月、信用金庫法に基づき仙南信用金庫となり、現在に至る。白石を本拠に、宮城県南部の中小・零細事業者の相互扶助の金融機関として歩んできた。1998年(平成10年)には、経営破綻した徳陽シティ銀行の七ヶ宿支店を営業譲渡により取得し、同時に七ヶ宿町の指定金融機関を引き受けた。2016年(平成28年)には村田町・川崎町の指定金融機関にもなるなど、宮城県南で自治体の金融を担う存在でもある。仙台市から名取市、岩沼市にかけての地域では、宮城第一信用金庫と地盤が重なり合う。

宮城県南という土地は、信用金庫にとって、白石の城下町と、仙台の都市圏という二つの顔を持つ地盤だ。白石・角田・大河原といった県南の市町には、地場の商工業や農業が広がり、北の仙台市や名取・岩沼に向かえば、都市圏の住宅と商業の需要がある。この県南から仙台南部にかけての中小に密着して貸す——その姿が、預貸率56.2%という、信用金庫としてはやや高めの水準を支えている。自己資本比率11.48%は堅実な水準で、不良債権比率2.38%という低さは、地元をよく見て堅実に貸してきたことを映していると読める。定期預金の残高に応じて育英会へ寄付を行うなど、地域への還元にも取り組んでいる。

56.2%を、宮城県南から読む

仙南信用金庫の預貸率56.2%という水準は、白石の城下町から仙台南部にかけての宮城県南で、中小に着実に貸していることの表れだと読める。県南の地場産業と、仙台都市圏の南縁という二つの需要を抱えるこの地は、信用金庫が貸す相手のある土地だ。仙南信用金庫は、その中小・零細事業者に密着して貸し、預金の半分強を貸出に回している。

自己資本比率11.48%という堅実な資本と、不良債権比率2.38%という低い焦げ付きは、地元をよく見て堅実に貸してきたことの表れだと読める。仙台の南の城下町に根ざし、県南の中小によく貸し、焦げ付きを抑える——それが、仙南信用金庫の数字に表れた生き方だと読める。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

宮城の経済とともに

仙南信用金庫の数字は、白石の城下町から仙台南部にかけての宮城県南という土地と、そこで中小に着実に貸す信金の歩みの、両方を映している。預金の半分強を地元の会員に貸し、堅実な資本と低い焦げ付きを保ちながら、宮城県南の中小・零細事業者を支えてきた。城下町の地場産業と仙台都市圏の南縁の経済が、56.2%という預貸率に表れている。

銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。仙南信用金庫を見れば、宮城県南の経済と、そこで中小に貸す城下町の信金の姿が浮かぶ。宮城県の他の金融機関は、三陸の石巻信用金庫、県のトップバンク七十七銀行もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。宮城県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、宮城県の地域金融機関のページへ。

仙南信用金庫と融資・保証のはなし

仙南信用金庫は、地域に根ざした信用金庫です。借りる・備えるのどちらを考えるにしても、土台になるのは日頃の取引と信用。口座づくりから保証制度まで、どんな立場でも知っておきたい融資・銀行取引の基礎をまとめました。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。城下町の地場産業と都市圏の需要をあわせ持つ土地を地盤とする信金では、中小・零細事業者の資金需要に応えて、預貸率が半分強の水準に落ち着くことがある。自己資本比率や不良債権比率とあわせて見ることで、その信金の堅実さが見えてくる。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。石巻信用金庫の数値も同出典。
沿革(1950年(昭和25年)6月に仙南信用組合として設立され、1952年(昭和27年)1月に信用金庫法に基づき仙南信用金庫となったこと、白石市に本店を置き宮城県南部から仙台市にかけてを地盤とすること、1998年(平成10年)に経営破綻した徳陽シティ銀行の七ヶ宿支店を営業譲渡により取得し七ヶ宿町の指定金融機関を引き受けたこと、2016年に村田町・川崎町の指定金融機関になったこと、仙台市から名取市・岩沼市にかけての地域で宮城第一信用金庫と競合すること、育英会への寄付に取り組むこと、「仙南」が仙台の南=宮城県南部を指す呼び名であること)=仙南信用金庫および各種公開情報にもとづく。
白石・宮城県南の地理・歴史(白石、白石城、片倉氏、奥州街道、宿場町、蔵王、温麺、白石和紙、角田、大河原、七ヶ宿)に関する記述=各種公開情報。

本サイトは、資金繰り支援サービス「¥Today」が運営しています。

← ニホン銀行紀行へ | ¥Today トップへ