¥Today ニホン銀行紀行

仙北信用組合——栗原・登米のまちで、せんぽくは何に貸すか

預貸率85.8%、自己資本比率8.59%、不良債権比率7.06%。栗原市に本店を置く仙北信用組合。震災を越えた宮城県北の農のまちで、預金の大半を地元に貸す信組の数字を読みます。

銀行・金融ニュース
ニホン銀行紀行 ・ 宮城県

宮城県栗原市に本店を置く仙北信用組合は、預金334億円、貸出金287億円、店舗5。「せんぽく」の愛称(コミュニティバンクせんぽく)で、栗原市・登米市など宮城県北を地盤とする信用組合です。

地盤とする県北は、宮城県の北部、肥沃な平野が広がる米どころです。農業を基幹に、関連する商工業がまちを支えてきました。仙北信用組合は1955年に設立され、栗原・登米の地で地元とともに歩んできた信組です。この一帯は東日本大震災でも被害を受け、その後の歩みを続けてきました。数字の面で際立つのは、預貸率85.8%という、本紀行でも屈指の高さです。

まず、数字を並べる

仙北信用組合の預金は334億円、貸出金は287億円、預貸率85.8%。自己資本比率は8.59%、不良債権比率は7.06%。中小企業等向けの貸出先は3,042件です。

仙北信用組合(令和7年3月末)
預金334億円
貸出金287億円
預貸率85.8%
自己資本比率8.59%
不良債権比率7.06%
中小企業等向け貸出先3,042件
店舗5店

預貸率85.8%。宮城県北の農のまちで、預金の大半を地元に貸す信組の数字を読む。

85.8%を、米どころから読む

預貸率85.8%は、地方銀行に匹敵する高さで、信用組合としては突出しています。集めた預金のほとんどを地元に貸し出しているということで、「預金は集まるが貸し先が限られる」という地方の信組にありがちな構図とは正反対です。地元にめいっぱい貸す——それが、せんぽくの姿勢です。

仙北信用組合が貸す相手は、栗原・登米を中心とする県北の中小事業者や農業者です。米作とその関連、まちの商業や建設業が、その融資先に含まれると考えられます。一方、自己資本比率8.59%という薄めの守りと、不良債権比率7.06%というやや高めの水準は、よく貸すぶん、地域経済の変動や震災の影響も受けやすいことの表れと読めます。よく貸す信組は、地域とともに浮き沈みも引き受けます。もちろん個別の事情も絡むため断定はできませんが、米どころ・県北という土地を抜きに、この信組の数字は読めません。

仙北信用組合が示すのは、地元にめいっぱい貸す信組の姿です。預貸率85.8%という突出した高さは、集めた預金のほとんどを県北の事業者や農業者に回していることの表れ。薄めの守りとやや高めの不良債権は、よく貸す信組が地域とともに浮き沈みを引き受けてきたことの裏返しでもあります。

なぜ、こうなったのか——制度と地域

信用組合が融資できる相手は原則として「組合員」に限られます。組合員になれるのは、中小企業等協同組合法などにより、その信用組合の地区内に住所や事業所がある中小事業者・勤労者などで、員外への貸出には制限があります。事業者には規模の制限もあり、大企業は組合員になれません。

この制度のもとでは、貸す相手はおのずと地元の中小事業者や住民に絞られます。仙北信用組合にとって、その「地元」とは、米どころ・県北の農と商工の経済です。地区の事業者や農業者に深く食い込み、預金の大半を貸し出す姿は、地区とともに在り続ける協同組織金融機関の役割を、県北という土地の上で映した数字と読めます。

同じ県の、金融機関と並べてみる

同じ宮城県を代表する地銀として、七十七銀行(預貸率70.1%)も本紀行に登場しています。県土全体を相手にする七十七銀行(預貸率70.1%)よりも、県北に密着するこの仙北信用組合(預貸率85.8%)のほうが、預貸率は高くなっています。県全体を支える地銀の姿は、七十七銀行の記事もあわせてどうぞ。

数字は、根を張る土地を映す

預貸率85.8%という突出した高さは、米どころ・県北に根を張り、地元にめいっぱい貸してきた信組の姿を映しています。仙北信用組合の数字は、栗原・登米の農のまちに根ざす「せんぽく」の、いまの記録です。預貸率の読み方は預貸率の読み方を、宮城県の他の金融機関は宮城県の地域金融機関のページもどうぞ。

仙北信用組合と融資・保証のはなし

仙北信用組合は、地元にしっかり貸す信用組合です。実際に借入れを考えるなら、土台になるのは事業の中身を伝える準備と、保証制度の理解。借りる側が知っておきたい融資・保証の基礎をまとめました。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。預貸率が低い金融機関は、相対的に融資先を求めている可能性をうかがう一つの目安になる。ただし、有価証券運用を主体とする金融機関は、預貸率が低くても融資に積極的とは限らない。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出先件数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(預貸率は貸出金÷預金で算出)。
仙北信用組合の沿革(1955年設立、「コミュニティバンクせんぽく」の愛称、栗原市・登米市など宮城県北を地区とすること、本店を栗原市に置くこと)に関する記述=仙北信用組合公開情報・各種公開情報にもとづく。
宮城県北の米作・農業、東日本大震災の影響に関する記述=各種公開情報。
七十七銀行の数値=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末。
信用組合の組合員・員外貸出に関する記述=中小企業等協同組合法ほか関係法令にもとづく一般的な整理。

本サイトは、資金繰り支援サービス「¥Today」が運営しています。

← ニホン銀行紀行へ | ¥Today トップへ