仙北信用組合——栗原・登米のまちで、せんぽくは何に貸すか
預貸率85.8%、自己資本比率8.59%、不良債権比率7.06%。栗原市に本店を置く仙北信用組合。震災を越えた宮城県北の農のまちで、預金の大半を地元に貸す信組の数字を読みます。
- 2026.06.19【保証協会】26年度補正予算成立、セーフティネット保証5号の事前相談を開始。指定業種で、直近月の売上高が前年同月比で5%以上減少等の要件(経産省PDF)を満たす中小事業者が対象。
宮城県栗原市に本店を置く仙北信用組合は、預金334億円、貸出金287億円、店舗5。「せんぽく」の愛称(コミュニティバンクせんぽく)で、栗原市・登米市など宮城県北を地盤とする信用組合です。
地盤とする県北は、宮城県の北部、肥沃な平野が広がる米どころです。農業を基幹に、関連する商工業がまちを支えてきました。仙北信用組合は1955年に設立され、栗原・登米の地で地元とともに歩んできた信組です。この一帯は東日本大震災でも被害を受け、その後の歩みを続けてきました。数字の面で際立つのは、預貸率85.8%という、本紀行でも屈指の高さです。
まず、数字を並べる
仙北信用組合の預金は334億円、貸出金は287億円、預貸率85.8%。自己資本比率は8.59%、不良債権比率は7.06%。中小企業等向けの貸出先は3,042件です。
| 預金 | 334億円 |
|---|---|
| 貸出金 | 287億円 |
| 預貸率 | 85.8% |
| 自己資本比率 | 8.59% |
| 不良債権比率 | 7.06% |
| 中小企業等向け貸出先 | 3,042件 |
| 店舗 | 5店 |
預貸率85.8%。宮城県北の農のまちで、預金の大半を地元に貸す信組の数字を読む。
85.8%を、米どころから読む
預貸率85.8%は、地方銀行に匹敵する高さで、信用組合としては突出しています。集めた預金のほとんどを地元に貸し出しているということで、「預金は集まるが貸し先が限られる」という地方の信組にありがちな構図とは正反対です。地元にめいっぱい貸す——それが、せんぽくの姿勢です。
仙北信用組合が貸す相手は、栗原・登米を中心とする県北の中小事業者や農業者です。米作とその関連、まちの商業や建設業が、その融資先に含まれると考えられます。一方、自己資本比率8.59%という薄めの守りと、不良債権比率7.06%というやや高めの水準は、よく貸すぶん、地域経済の変動や震災の影響も受けやすいことの表れと読めます。よく貸す信組は、地域とともに浮き沈みも引き受けます。もちろん個別の事情も絡むため断定はできませんが、米どころ・県北という土地を抜きに、この信組の数字は読めません。
なぜ、こうなったのか——制度と地域
信用組合が融資できる相手は原則として「組合員」に限られます。組合員になれるのは、中小企業等協同組合法などにより、その信用組合の地区内に住所や事業所がある中小事業者・勤労者などで、員外への貸出には制限があります。事業者には規模の制限もあり、大企業は組合員になれません。
この制度のもとでは、貸す相手はおのずと地元の中小事業者や住民に絞られます。仙北信用組合にとって、その「地元」とは、米どころ・県北の農と商工の経済です。地区の事業者や農業者に深く食い込み、預金の大半を貸し出す姿は、地区とともに在り続ける協同組織金融機関の役割を、県北という土地の上で映した数字と読めます。
同じ県の、金融機関と並べてみる
同じ宮城県を代表する地銀として、七十七銀行(預貸率70.1%)も本紀行に登場しています。県土全体を相手にする七十七銀行(預貸率70.1%)よりも、県北に密着するこの仙北信用組合(預貸率85.8%)のほうが、預貸率は高くなっています。県全体を支える地銀の姿は、七十七銀行の記事もあわせてどうぞ。
数字は、根を張る土地を映す
預貸率85.8%という突出した高さは、米どころ・県北に根を張り、地元にめいっぱい貸してきた信組の姿を映しています。仙北信用組合の数字は、栗原・登米の農のまちに根ざす「せんぽく」の、いまの記録です。預貸率の読み方は預貸率の読み方を、宮城県の他の金融機関は宮城県の地域金融機関のページもどうぞ。
仙北信用組合は、地元にしっかり貸す信用組合です。実際に借入れを考えるなら、土台になるのは事業の中身を伝える準備と、保証制度の理解。借りる側が知っておきたい融資・保証の基礎をまとめました。
- → 創業融資の受け方
- → 事業計画書の書き方
- → 信用保証協会とは
- → セーフティネット保証とは
- → 当座貸越とは
執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)
出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出先件数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(預貸率は貸出金÷預金で算出)。
仙北信用組合の沿革(1955年設立、「コミュニティバンクせんぽく」の愛称、栗原市・登米市など宮城県北を地区とすること、本店を栗原市に置くこと)に関する記述=仙北信用組合公開情報・各種公開情報にもとづく。
宮城県北の米作・農業、東日本大震災の影響に関する記述=各種公開情報。
七十七銀行の数値=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末。
信用組合の組合員・員外貸出に関する記述=中小企業等協同組合法ほか関係法令にもとづく一般的な整理。
本サイトは、資金繰り支援サービス「¥Today」が運営しています。