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十八親和銀行——「十八」と「親和」が一つになった長崎の銀行は、県内シェア7割で何に貸すか

預貸率70.5%、預金5.5兆円、県内貸出シェア約7割。長崎市に本店を置く十八親和銀行。第十八国立銀行を源流とする十八銀行と、佐世保の親和銀行が2020年に合併して生まれた長崎県最大の銀行。公正取引委員会の審査で難航した統合の歴史と数字を読む。

ニホン銀行紀行 ・ 長崎県

長崎市銅座町、繁華街・思案橋にほど近い一角に、十八親和銀行の本店はある。少し変わった名前のこの銀行は、長崎県のトップバンクだ。預金は5兆5,269億円、貸出金は3兆8,965億円。長崎県内の貸出シェアは約7割に達するとされ、県内では群を抜く存在である。長崎県・長崎市・佐世保市の指定金融機関でもある。

長崎県は、複雑に入り組んだ海岸線と、多くの島々を持つ土地だ。鎖国の時代、出島を通じて西洋に開かれた唯一の窓口であり、貿易と異文化交流の歴史が刻まれている。造船の街・佐世保、世界遺産の教会群、雲仙・五島の自然。海と歴史に彩られたこの県の金融を、十八親和銀行は担っている。

この銀行の名前は、二つの銀行が一つになったことを、そのまま示している。「十八」と「親和」。それぞれに長い歴史を持つ二行が、2020年に合併した。だがその統合は、すんなりとは進まなかった。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。十八親和銀行の預金は5兆5,269億円、貸出金は3兆8,965億円。預貸率は70.5%で、預金の7割ほどを貸出に回している。自己資本比率は11.27%、不良債権比率は1.87%。店舗数は188と多く、中小企業等への貸出残高は2兆2,558億円にのぼる。

十八親和銀行(令和7年3月末)
預金55,269億円
貸出金38,965億円
預貸率70.5%
自己資本比率11.27%
不良債権比率1.87%
中小企業等向け貸出残高22,558億円
店舗188店

店舗188・県内シェア約7割。合併で生まれた長崎最大の銀行が、広い店舗網で貸す。

「十八」と「親和」——二つの名の由来

十八親和銀行という名は、合併した二つの銀行の名をそのまま並べたものだ。それぞれの由来をたどると、長崎の金融の歴史が見えてくる。

一方の十八銀行は、1877年(明治10年)に長崎で設立された第十八国立銀行を源流とする。明治政府が国立銀行条例にもとづいて各地に作らせた、番号を冠する銀行の一つで、「十八」はその設立順を示す番号だった。出島を通じて西洋と交わった長崎には、早くから貿易と金融の素地があった。長崎市に本店を置き、長く県を代表する銀行として歩んだ。

もう一方の親和銀行は、造船の街・佐世保に本店を置いていた。長崎県は、長崎市を中心とする県南と、佐世保市を中心とする県北という、二つの経済圏を持つ。十八銀行が県南を、親和銀行が県北を、それぞれ地盤としてきた。同じ県のなかで、二つの銀行が長く並び立ってきたのである。

公正取引委員会が立ちはだかった統合

この二行の統合は、すんなりとは進まなかった。十八銀行は、福岡のふくおかフィナンシャルグループ(FFG)との経営統合を目指したが、ここで問題になったのが、独占だった。

FFGの傘下には、すでに県北の親和銀行があった。そこに県南の十八銀行が加われば、長崎県内の貸出シェアが極めて高くなる。公正取引委員会は、特定の銀行が地域の融資を独占すると、金利が高止まりするなど借り手が不利益を被るおそれがあるとして、統合を簡単には認めなかった。統合計画の表明から実現まで、4年半を要した。最終的に、貸出債権の一部を他の金融機関に譲渡することなどを条件に、2018年に承認された。

そして2020年(令和2年)10月、十八銀行と親和銀行は合併し、十八親和銀行となった。存続したのは親和銀行で、十八銀行は解散したが、本店は長崎市の旧十八銀行本店に置かれ、名前は両行を並べたものとなった。合併によって生じた重複店舗は順次統合され、合理化が進められた。地銀の統合が地域の独占をどこまで許すか——その線引きを問うた、象徴的な事例として記憶されている。

70.5%を、土地と店舗網から読む

預貸率70.5%は、地方銀行として標準的な水準だ。よく貸す伊予銀行(90.2%)ほどではないが、運用に偏るわけでもない。この数字の背景には、長崎県という土地の事情がある。

長崎県は、離島が多く、人口減少と高齢化が早くから進んだ土地だ。県内だけで貸し先を大きく増やすのには、限りがある。一方で、十八親和銀行は県南・県北の両方を地盤とし、188という多くの店舗で、県のすみずみまで網をかけている。広い店舗網を維持しながら、堅実に貸す。預貸率70.5%という数字は、人口減の県で無理に貸出を伸ばさず、地盤をしっかり押さえる姿勢の表れと読める。同じ県には、店舗数の少ない第二地銀の長崎銀行もあり、こちらは福岡資本の西日本フィナンシャルホールディングス傘下という、対照的な立ち位置にある。

二つの歴史が、一つの銀行になった

十八親和銀行の預貸率70.5%は、離島の多い長崎という土地の事情と、県南・県北の両方を覆う広い店舗網の、両方を映している。明治の国立銀行に源を持つ「十八」と、佐世保の「親和」。長く並び立った二つの銀行が、独占を問う公正取引委員会の審査を越えて、一つになった。数字は、その金融機関が背負ってきた歴史と、いま立つ土地の事情を同時に語る。十八親和銀行の数字は、二つの歴史を継いだ長崎の盟主の、いまの記録である。

各地の金融機関には、それぞれの成り立ちと土地の事情が刻まれた、それぞれの生き方があります。長崎県の他の金融機関とあわせて眺めたい方は、長崎県の地域金融機関のページもどうぞ。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。預貸率が低い金融機関は、相対的に融資先を求めている可能性をうかがう一つの目安になる。ただし、有価証券運用を主体とする金融機関は、預貸率が低くても融資に積極的とは限らない。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(預貸率は貸出金÷預金で算出)。
沿革(十八銀行=1877年設立の第十八国立銀行を源流とし長崎市を地盤/親和銀行=佐世保市に本店を置き県北を地盤/2020年10月の合併で十八親和銀行発足、存続行は親和銀行、本店は旧十八銀行本店)に関する記述=各種公開情報。
公正取引委員会の審査(ふくおかフィナンシャルグループとの統合をめぐり県内シェアの独占が問題となり、統合表明から実現まで約4年半を要し、債権の一部譲渡等を条件に2018年に承認)に関する記述=各種公開情報および報道。
県内貸出シェア(約7割)に関する記述=各種公開情報および報道にもとづく。
長崎県の地理・産業(出島の歴史、造船、離島、人口減少)に関する記述=各種公開情報。

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