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長崎銀行——店舗24の最小級の第二地銀は、福岡資本の傘下で何に貸すか

預貸率98.2%、預金2,813億円、店舗24。長崎市に本店を置く長崎銀行。全国でも最も支店数の少ない第二地方銀行の一つで、福岡の西日本シティ銀行を中核とする西日本フィナンシャルホールディングスの完全子会社。県境を越えた地銀再編に組み込まれた小さな銀行の数字と歴史を読む。

ニホン銀行紀行 ・ 長崎県

長崎市に本店を置く長崎銀行は、とても小さな銀行だ。預金は2,813億円、貸出金は2,761億円、店舗はわずか24。全国の第二地方銀行のなかでも、支店数が最も少ない部類に入る。同じ長崎県には、合併で生まれた県のトップバンク・十八親和銀行があり、預金は5.5兆円、店舗は188。規模では、まるで桁が違う。

長崎県は、出島を通じて西洋に開かれた歴史を持つ、海と異文化の土地だ。造船の佐世保、世界遺産の教会群、多くの島々。その県の金融の中心は、いまや十八親和銀行が握っている。では、店舗24の長崎銀行は、どんな立ち位置で、何に貸しているのか。その答えは、この銀行が福岡の資本の傘下にあるという、少し変わった成り立ちにある。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。長崎銀行の預金は2,813億円、貸出金は2,761億円。預貸率は98.2%と極めて高く、集めた預金のほぼ全額を貸し出している。自己資本比率は10.12%、不良債権比率は1.17%と低い。店舗数は24、中小企業等への貸出残高は2,283億円にのぼる。

長崎県内の二行(令和7年3月末)
 長崎銀行十八親和銀行
種別第二地方銀行地方銀行
預金2,813億円55,269億円
貸出金2,761億円38,965億円
預貸率98.2%70.5%
店舗24店188店

県のトップは十八親和銀行。規模は桁違いだが、長崎銀行は預貸率98.2%とほぼ貸し切る。小さくても、よく貸す。

長崎の銀行が、福岡資本の傘下に入るまで

長崎銀行の歴史は、戦後の相互銀行から始まる。1951年(昭和26年)、相互銀行法の施行にともない長崎相互銀行となり、1989年(平成元年)、普通銀行へ転換して長崎銀行と名を改めた。ここまでは、全国の第二地方銀行に共通する道筋だ。

この銀行の運命が大きく変わるのは、2001年(平成13年)。福岡の福岡シティ銀行(のちの西日本シティ銀行)が、長崎銀行の株式を公開買付けで取得し、筆頭株主となった。同年中に子会社化される。長崎の銀行が、県境を越えて福岡の資本の傘下に入ったのである。

その後、長崎銀行は福岡県内に持っていた店舗を福岡シティ銀行へ譲渡し、2006年には博多支店を閉じて福岡県から撤退した。福岡資本の傘下に入りながら、福岡では商売をしない——グループ内で役割を整理した結果、長崎県内に専念する形になった。2004年に福岡シティ銀行が西日本銀行と合併して西日本シティ銀行になると、長崎銀行はそのグループに引き継がれる。2014年には西日本シティ銀行に完全子会社化され、2016年、持株会社西日本フィナンシャルホールディングスが設立されると、その完全子会社となった。

こうして長崎銀行は、店舗を絞り、福岡を中核とする金融グループの一員として、長崎県内に根を張る小さな銀行になった。県内のトップ・十八親和銀行が福岡のふくおかフィナンシャルグループ傘下であるのに対し、長崎銀行は福岡の西日本フィナンシャルホールディングス傘下。長崎の二行が、それぞれ別の福岡資本の傘下にあるという、入り組んだ構図になっている。

98.2%を、小ささと立ち位置から読む

預貸率98.2%は、地方銀行・第二地方銀行のなかでも際立って高い。集めた預金のほぼ全額を貸し出しているということだ。なぜ、これほど高いのか。

一つには、店舗を絞り、長崎県内に専念する小さな銀行だからだ。広く薄く構える大手と違い、限られた営業基盤のなかで、貸せる相手にしっかり貸す。中小企業等向け貸出残高は2,283億円で、貸出のほとんどを地元の中小に向けている。もう一つは、福岡資本のグループに属しているという立ち位置だ。グループ内で役割が整理され、運用や資金管理の一部をグループに委ねられる体制があれば、銀行単体としては貸出に集中しやすくなる面がある。不良債権比率1.17%という低さは、絞り込んだ取引先の質を映していると読める。小さくても、ほぼ貸し切る。その姿は、規模で県を覆う十八親和銀行とは、まったく異なる生き方だ。

小さな銀行の、確かな居場所

長崎銀行の預貸率98.2%は、店舗24という小ささと、福岡資本のグループに属しながら長崎県内に専念するという立ち位置の、両方を映している。県境を越えた地銀再編の波のなかで、福岡の資本に引き継がれ、店舗を絞り、それでも地元に貸し続けている。規模では県のトップに遠く及ばないが、ほぼ貸し切るその数字には、小さな銀行なりの確かな居場所がある。数字は、その金融機関がどんな道を歩み、いまどこに立っているかを語る。長崎銀行の数字は、再編の時代を生きる小さな第二地銀の、いまの記録である。

各地の金融機関には、それぞれの成り立ちと土地の事情が刻まれた、それぞれの生き方があります。長崎県の他の金融機関とあわせて眺めたい方は、長崎県の地域金融機関のページもどうぞ。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。預貸率が低い金融機関は、相対的に融資先を求めている可能性をうかがう一つの目安になる。ただし、有価証券運用を主体とする金融機関は、預貸率が低くても融資に積極的とは限らない。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(預貸率は貸出金÷預金で算出)。十八親和銀行の数値も同出典。
沿革(1951年に長崎相互銀行へ転換、1989年に普通銀行化して長崎銀行/2001年に福岡シティ銀行が公開買付けで筆頭株主となり子会社化/福岡県内店舗の譲渡と2006年の博多支店閉鎖・福岡県撤退/2014年に西日本シティ銀行が完全子会社化/2016年の西日本フィナンシャルホールディングス設立で完全子会社化)に関する記述=各種公開情報。
支店数が全国の第二地方銀行で最も少ない部類であることに関する記述=各種公開情報にもとづく。
長崎県内の二行の資本系列(十八親和銀行=ふくおかフィナンシャルグループ、長崎銀行=西日本フィナンシャルホールディングス)に関する記述=各種公開情報。

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