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琉球銀行——米軍が作った中央銀行は、いま沖縄で何に貸すか

預貸率72.1%、自己資本比率9.48%、連結純利益57億円。1948年、米軍統治下の沖縄で中央銀行的な特殊銀行として生まれ、日本復帰で普通銀行となった「りゅうぎん」。その特異な成り立ちと数字を読む。

ニホン銀行紀行 ・ 沖縄県

日本の地方銀行のなかで、これほど特異な生い立ちを持つ銀行はそう多くない。沖縄県那覇市に本店を置く琉球銀行——通称「りゅうぎん」。この銀行は、米軍が作った。それも、ふつうの銀行としてではなく、通貨を発行する権限を持つ、中央銀行のような特殊な銀行として生まれた。

その琉球銀行が、いまは沖縄県を地盤とするふつうの地方銀行として、観光や建設、地元の事業者に貸している。米軍統治から日本復帰へ——沖縄の戦後史を、そのまま背負ってきた銀行である。その成り立ちと数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。琉球銀行の預金は2兆7,772億円、貸出金は2兆19億円。預貸率は72.1%で、預金の7割ほどを貸出に回している。自己資本比率は9.48%、不良債権比率は2.89%。店舗数は75、中小企業等への貸出先は約9万9千件にのぼる。2025年3月期の連結当期純利益は約57億円である。

沖縄県には、地方銀行が琉球銀行と沖縄銀行の二行ある。両行は規模も預貸率もよく似ており、県の指定金融機関を隔年で交代して受託するなど、長くしのぎを削ってきた。

沖縄県内の主な普通銀行(2025年3月期)
 琉球銀行沖縄銀行
種別地方銀行地方銀行
預金27,772億円27,070億円
貸出金20,019億円19,552億円
預貸率72.1%72.2%
自己資本比率9.48%

琉球銀行と沖縄銀行は、規模も預貸率もきわめて近い。県の金融を二行がほぼ拮抗して支えているのが、沖縄の特徴だ。ほかに第二地銀の沖縄海邦銀行や、コザ信用金庫がある。

米軍が作った銀行

琉球銀行の歴史は、沖縄戦の傷跡から始まる。1945年の沖縄戦で、沖縄県内のすべての銀行は機能を失った。戦後、沖縄を占領した米軍は、戦後インフレの抑制と経済の立て直しのため、複数の銀行を統合する作業に着手した。

そして1948年5月1日、米国軍政府の布令によって琉球銀行が設立された。当時米国統治下にあったフィリピン国立銀行をモデルに、米軍が株式の51%を持ち、残りを地元に分配する方式で作られた。通貨を発行する権限を持つ、中央銀行のような色彩の濃い特殊銀行だった。ふつうの民間銀行ではなく、占領下の沖縄経済を運営するための、いわば「公の銀行」として生まれたのである。

1972年、沖縄が日本に復帰すると、琉球銀行は株式会社へと組織を変え、ふつうの普通銀行として再スタートを切った。中央銀行的な役割を解かれ、地方銀行の一つとして、沖縄の経済を支える立場になった。占領の道具として生まれ、復帰とともに地域の銀行へと姿を変えた——その歩みは、沖縄の戦後そのものだ。

観光の島に貸す

いまの琉球銀行の貸出を支えているのは、沖縄という土地の産業だ。沖縄経済は、観光が大きな柱になっている。リゾートホテル、飲食、土産物、レンタカー——国内外から訪れる観光客を相手にした事業が、県内に数多くある。こうした観光関連の事業者への融資が、銀行の貸出を厚くしている。

また、沖縄は人口が増え続けてきた数少ない県でもある。建設や不動産、小売といった、人口の伸びに支えられた内需型の産業も活発だ。観光と人口増という、本土の多くの地方とは異なる条件が、沖縄の金融機関の貸出を支えている。預貸率72.1%という数字は、そうした沖縄経済の活力を映している。

預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。同じ数字でも、人口の減る土地と増える土地とでは、意味が違ってくる。

沖縄の戦後とともに

琉球銀行の数字は、観光と人口増に支えられた沖縄経済を映すと同時に、その成り立ちには沖縄の戦後史が刻まれている。米軍が作った中央銀行から、復帰を経て地域の銀行へ。占領と復帰という大きな歴史のうねりを背負いながら、いまも沖縄の経済を支え続けている。

銀行の数字は、その土地の経済と歴史を映す鏡だ。琉球銀行を見れば、戦後の沖縄が歩んできた道のりが浮かぶ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。沖縄県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、沖縄県の地域金融機関のページへ。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。預貸率が低い金融機関は、相対的に融資先を求めている可能性をうかがう一つの目安になる。ただし、有価証券運用を主体とする金融機関は、預貸率が低くても融資に積極的とは限らない。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出先件数・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末。
当期純利益=琉球銀行2025年3月期決算短信(連結)、各種公開情報。
沿革(1948年米国軍政府布令による設立・中央銀行的特殊銀行・1972年日本復帰による普通銀行化)=琉球銀行公開情報、沖縄県公文書館、各種公開情報。
沖縄県の産業(観光・人口増・建設)に関する記述=各種公開情報。

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