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埼玉りそな銀行——埼玉だけの「りそな」は、地銀でも都銀でもなく何に貸すか

預貸率49.3%、店舗127。さいたま市に本店を置く埼玉りそな銀行。旧埼玉銀行を源流とし、りそなグループの再編のなかで埼玉県内のリテールに特化して生まれた、地銀でも都銀でもない独特の銀行。その数字と歴史を読む。

ニホン銀行紀行 ・ 埼玉県

埼玉県の県都・さいたま市に、埼玉りそな銀行の本店はある。名前に「りそな」を冠し、全国に展開するりそなグループの一員でありながら、その営業エリアは埼玉県内にほぼ限られている。地方銀行のように一つの県に根を張りながら、その出自は都市銀行——この銀行は、地銀でも都銀でもない、独特の立ち位置にある。

埼玉県は、首都圏の北の一角を占める、人口730万を超える大きな県だ。東京のベッドタウンとして発展し、いまも人口が多く、家計と中小事業者の層が厚い。その埼玉という巨大なリテール市場を、ほぼ一手に引き受けるかたちで生まれたのが、この埼玉りそな銀行である。

この銀行を読むうえで、まず目に入るのが、その預貸率の低さだ。預金の半分ほどしか貸出に回していない。地方銀行であれば「貸し先がない」と読むところだが、この銀行の場合、その数字には別の事情がある。グループのなかでの役割分担という、独特の構造だ。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。埼玉りそな銀行の預金は17兆7,438億円、貸出金は8兆7,519億円。預貸率は49.3%で、預金の半分ほどしか貸出に回していない。自己資本比率は15.55%と厚く、不良債権比率は1.21%と低い。店舗数は127、中小企業等への貸出残高は6兆5,582億円にのぼる。

目を引くのは、17兆円を超える巨額の預金と、49.3%という低い預貸率の組み合わせだ。埼玉県という巨大な市場で集めた預金は、地方銀行をはるかに上回る規模になる。一方で、貸出はその半分ほどにとどまる。集めた預金の大きさに対して、貸出が控えめ——この一見ちぐはぐな数字を、この銀行の成り立ちが説明する。

埼玉県内の二つの普通銀行(令和7年3月末)
 埼玉りそな銀行武蔵野銀行
種別地方銀行(実質都銀)地方銀行
預金177,438億円50,688億円
貸出金87,519億円41,264億円
預貸率49.3%81.4%
自己資本比率15.55%12.64%

同じ埼玉を地盤とする二行でも、性格は大きく異なる。預金量では埼玉りそな銀行が3倍以上を集める一方、預貸率では純粋な地銀である武蔵野銀行が大きく上回る。集めた預金を貸出に回す度合いの違いに、両行の役割の差が表れている。

旧埼玉銀行から——「りそな」になるまでの長い道

埼玉りそな銀行の源流は、かつての埼玉銀行にさかのぼる。埼玉銀行は、戦時中の1943年に県内の複数の銀行が合併して生まれ、戦後は埼玉県を地盤に成長し、地方銀行の枠を超えて1969年には都市銀行へと格上げされた。一地方の銀行が、全国区の都銀の一角を占めるまでになった、有力な銀行だった。

その後の歩みは、金融再編の波そのものだった。1991年、埼玉銀行は協和銀行と合併し、協和埼玉銀行となり、翌年「あさひ銀行」に改称した。しかしバブル崩壊後、あさひ銀行は多額の不良債権に苦しみ、2000年代の金融再編のなかで、大和銀行などとともにりそなグループの結成へと向かった

そして2003年、再編の総仕上げとして、あさひ銀行の埼玉県内の営業を切り離し、独立した銀行として設立されたのが、埼玉りそな銀行だった。残るあさひ銀行は大和銀行と合併してりそな銀行となった。こうして、旧埼玉銀行の埼玉県内のリテール基盤は、「埼玉りそな銀行」という名で受け継がれることになった。埼玉県や、さいたま市をはじめとする多くの自治体の指定金融機関——公金を扱う銀行——という立場も、旧埼玉銀行以来のものだ。

49.3%を、グループの役割分担から読む

埼玉りそな銀行の預貸率49.3%という低さは、地方銀行の物差しで読むと不思議に映る。だが、この銀行を、りそなグループという全国組織のなかの一員として見ると、数字の意味が変わってくる。

埼玉りそな銀行が担うのは、おもに埼玉県内の個人と中小事業者を相手にしたリテール(小口取引)だ。住宅ローンや、家計の預金、地元の中小企業向けの融資が中心になる。一方、大企業向けの大口融資や、市場での運用といった分野は、グループ全体としてりそな銀行などが担う部分が大きい。つまり、埼玉という巨大市場で集めた潤沢な預金のすべてを、自行だけで貸し切る必要がない。グループのなかで役割を分け合っているからこそ、預貸率は半分ほどにとどまる。

そしてこの構造は、不良債権比率1.21%という低さと、自己資本比率15.55%という厚さにもつながる。リテール中心で、住宅ローンのように焦げ付きにくい貸出が多く、貸出そのものを背伸びして増やしていないため、財務は健全に保たれる。よく貸すことを競うのではなく、巨大な市場で堅実なリテールに徹する——それが、この銀行の選んだかたちだと読める。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

埼玉という市場とともに

埼玉りそな銀行の数字は、人口730万を抱える埼玉という巨大なリテール市場と、りそなグループという全国組織のなかでの役割分担の、両方を映している。旧埼玉銀行という有力な地銀が、都銀となり、再編を経て、いま「埼玉県のためのリテール銀行」として再び一つの県に根を下ろした。地銀でも都銀でもないその立ち位置は、金融再編が生んだ一つの形だと読める。

銀行の数字は、その銀行が背負う市場と、組織のなかでの役割を映す鏡だ。埼玉りそな銀行を見れば、巨大なリテール市場・埼玉と、グループのなかで分担を担う一員という姿が浮かぶ。同じ埼玉県の純地銀の姿は、武蔵野銀行の記事もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。埼玉県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、埼玉県の地域金融機関のページへ。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。預貸率が低い金融機関は、相対的に融資先を求めている可能性をうかがう一つの目安になる。ただし、グループ内で役割を分担する銀行や、有価証券運用を主体とする金融機関は、預貸率が低くても融資に消極的とは限らない。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(預貸率は貸出金÷預金で算出)。武蔵野銀行の数値も同出典。
沿革(旧埼玉銀行が戦時中の1943年に複数の銀行の合併で誕生し1969年に都市銀行となったこと、1991年の協和銀行との合併で協和埼玉銀行となり翌年あさひ銀行に改称したこと、バブル崩壊後の不良債権問題とりそなグループの結成、2003年にあさひ銀行の埼玉県内営業を会社分割して埼玉りそな銀行が設立されたこと、残るあさひ銀行が大和銀行と合併してりそな銀行となったこと、埼玉県・さいたま市など多くの自治体の指定金融機関であること、金融庁の分類上は地方銀行〔地域銀行〕に位置づけられること、リテール中心の営業構造)に関する記述=埼玉りそな銀行および各種公開情報にもとづく。
埼玉県の経済(首都圏の一角、人口規模、ベッドタウンとしての発展)に関する記述=各種公開情報。

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