滋賀銀行——琵琶湖の地銀は、近江商人の堅実で何に貸すか
預貸率78.5%、自己資本比率13.34%、連結純利益187億円。琵琶湖を抱える滋賀県のトップバンク。近江商人の系譜と環境への取り組みで知られる「しがぎん」が、京阪にも伸びる姿を読む。
滋賀県といえば、まず思い浮かぶのは琵琶湖だ。県の面積の六分の一を占める日本最大の湖は、近畿一円の水がめでもある。その湖を抱える県のトップバンクが、滋賀銀行——通称「しがぎん」である。大津市に本店を置き、滋賀県全域を地盤としつつ、隣接する京都・大阪へも貸出先を広げてきた。
この銀行を語るとき、二つの言葉が浮かぶ。一つは近江商人。もう一つは環境。古くからの商いの伝統と、琵琶湖を守る土地ならではの環境意識。その両方が、この銀行の性格をかたちづくっている。
数字を並べてみる
まず、絶対値から。滋賀銀行の預金は5兆8,125億円、貸出金は4兆5,632億円。預貸率は78.5%で、預金の8割近くを貸出に回す、しっかり貸す地銀だ。自己資本比率は13.34%と厚く、不良債権比率は1.77%に抑えられている。店舗数は100、中小企業等への貸出先は約12万3千件にのぼる。
2025年3月期の連結当期純利益は187億円で、前年から17.4%増えている。総資産は約7兆5千億円。地方銀行のなかでも、上位の実力を持つ優良地銀である。よく貸し、焦げ付きを低く抑え、安定して稼ぐ。数字の上では、堅実そのものだ。
近江商人の系譜
滋賀銀行の堅実さの背景には、この土地が育んだ商いの伝統がある。近江——いまの滋賀県は、全国を股にかけた近江商人を生んだ土地だ。「売り手よし、買い手よし、世間よし」という三方よしの精神は、目先の利だけを追わず、長く信用を積み重ねる商いの知恵として知られている。
滋賀銀行の歴史も古い。源流は明治期に設立された百三十三銀行と八幡銀行にさかのぼり、昭和の一県一行主義のもとで両行が合併し、1933年に滋賀銀行が誕生した。以来、近江の商いの伝統を背負いながら、堅実な経営を続けてきた。派手な拡大に走らず、信用を地道に積む——その姿勢は、近江商人の精神と地続きに見える。
地盤の滋賀県は、京阪神に近い立地から製造業の集積が進み、人口も比較的安定している恵まれた土地だ。さらに滋賀銀行は、早くから京都・大阪に店舗を開き、県境を越えて貸出を伸ばしてきた。商圏の広さも、よく貸せる一因になっている。
琵琶湖を抱える銀行の、環境への姿勢
滋賀銀行を特徴づけるもう一つの軸が、環境への取り組みだ。琵琶湖という近畿の水がめを抱える土地柄、環境保全は地域にとって切実なテーマであり続けてきた。滋賀銀行は早くから環境への配慮を経営に取り入れ、琵琶湖の一斉清掃をはじめとする活動や、生物多様性に配慮した取り組みを進めてきた。
金融機関にとって、環境はもはや社会貢献の枠にとどまらない。気候変動への対応や、持続可能な事業への融資は、これからの貸出の質を左右する重要なテーマになりつつある。琵琶湖を守る土地に根ざした銀行が、いち早く環境を経営の軸に据えてきたことは、地域の事情と先見が重なった結果と読める。
恵まれた土地で、堅実に貸す
滋賀銀行の数字は、恵まれた立地と堅実な経営が重なった姿を映している。京阪神に近く人口も安定した滋賀県を地盤に、よく貸し、焦げ付きを抑え、安定して稼ぐ。近江商人の信用を重んじる伝統と、琵琶湖を守る環境意識。その両方を背負いながら、滋賀銀行は地域の盟主であり続けている。
銀行の数字は、その土地の経済と歴史を映す鏡だ。滋賀銀行を見れば、商いの伝統と豊かな自然を抱えた近江の姿が浮かぶ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。滋賀県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、滋賀県の地域金融機関のページへ。
執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)
出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出先件数・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末。
当期純利益・総資産=滋賀銀行2025年3月期決算短信(連結)、各種公開情報。
沿革(百三十三銀行・八幡銀行・1933年合併)=滋賀銀行公開情報、各種公開情報。
近江商人・琵琶湖・環境への取り組みに関する記述=各種公開情報。