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鳥取銀行——「青い鳥」の地銀は、山陰の小県で何に貸すか

預貸率86.5%、自己資本比率8.58%、不良債権比率1.00%。1949年に鳥取信用組合の営業を譲り受けて生まれた「とりぎん」。三菱UFJと縁が深く、山陰合同銀行と県内を二分する地銀の数字を読む。

ニホン銀行紀行 ・ 鳥取県

鳥取県は、日本で最も人口の少ない県だ。日本海に面し、東に鳥取砂丘、西に大山を望む。二十世紀梨やラッキョウ、松葉ガニといった特産で知られる。県東部の鳥取市に本店を置く地方銀行が、鳥取銀行——通称「とりぎん」である。キャッチコピーは「青い鳥の銀行です。」。県民に親しまれてきた銀行だ。

人口最少県という小さな市場で、鳥取銀行は預貸率86.5%と、よく貸している。市場が小さければ貸し先も限られそうなものだが、なぜこれほど貸せるのか。その数字を、土地と歴史から読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。鳥取銀行の預金は1兆199億円、貸出金は8,822億円。預貸率は86.5%で、預金の9割近くを貸出に回している。自己資本比率は8.58%、不良債権比率は1.00%と、地方銀行のなかでもかなり低い。店舗数は65、中小企業等への貸出先は約3万6千件。小規模な地方銀行ながら、よく貸し、焦げ付きを低く抑えている。

鳥取県の金融を特徴づけるのは、地方銀行が二行で県内を分け合っていることだ。鳥取銀行と、島根県松江市に本店を置く山陰合同銀行(ごうぎん)。この二行が、鳥取県内のシェアを二分している。

鳥取県内で営業する主な地方銀行(2025年3月期)
 鳥取銀行山陰合同銀行
本店鳥取市松江市(島根)
預金10,199億円62,333億円
貸出金8,822億円51,322億円
預貸率86.5%82.3%

山陰合同銀行は島根県に本店を置く山陰最大の地銀で、鳥取県内にも広く展開する。鳥取県唯一の地元本店地銀である鳥取銀行は、この大きなライバルと県内でしのぎを削っている。

信用組合から生まれた銀行

鳥取銀行の歴史は、戦後すぐに始まる。1949年(昭和24年)、鳥取信用組合の営業を譲り受けるかたちで、新たに株式会社鳥取銀行が設立された。信用組合を母体に、地方銀行へと姿を変えたのである。戦後の混乱期、地元に根ざした金融機関を県内に置くという狙いがあった。

その後、鳥取銀行は大手都市銀行との縁を深めていく。1961年に三和銀行(現・三菱UFJ銀行)の鳥取支店を、1972年に富士銀行(現・みずほ銀行)の米子支店を、それぞれ営業譲受した。とりわけ旧・三和銀行の親密地銀として知られ、現在も三菱UFJ銀行が大株主であり、三菱UFJフィナンシャル・グループとの関係が深い。地方の小さな銀行が、大手都市銀行との結びつきを背景に経営基盤を固めてきた——そんな歩みが、鳥取銀行の特徴だ。

小さな市場で、よく貸す

鳥取銀行の預貸率86.5%は、地方銀行のなかでも高い部類に入る。人口最少県という小さな市場にありながら、なぜこれほど貸せるのか。一つには、県内に地元本店の地銀が鳥取銀行しかないという事情がある。県の事業者にとって、地元に根ざした地銀の選択肢は限られる。限られた市場のなかで、確実に貸し先を押さえていると読める。

そして注目すべきは、不良債権比率1.00%という低さだ。よく貸しながら、焦げ付きをこれほど低く抑えている。小さな県では、銀行と借り手の距離が近く、相手をよく知ったうえで貸せる。顔の見える関係のなかで、堅実に貸す——そうした地方銀行の強みが、この数字に表れているのかもしれない。

預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。よく貸し、なお焦げ付きが少ない。この組み合わせは、地域に密着した銀行だからこそ実現できる面がある。

山陰の小県とともに

鳥取銀行の数字は、人口最少県という小さな市場で、地元唯一の本店地銀としてよく貸し、なお焦げ付きを低く抑える姿を映している。信用組合から生まれ、三菱UFJとの縁を背景に経営を固め、山陰合同銀行という大きなライバルと県内を二分してきた。「青い鳥」の名のもとに、鳥取の経済を支え続けている。

銀行の数字は、その土地の経済を映す鏡だ。鳥取銀行を見れば、砂丘と梨の県・鳥取の姿が浮かぶ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。鳥取県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、鳥取県の地域金融機関のページへ。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。預貸率が低い金融機関は、相対的に融資先を求めている可能性をうかがう一つの目安になる。ただし、有価証券運用を主体とする金融機関は、預貸率が低くても融資に積極的とは限らない。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出先件数・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末。
沿革(1949年鳥取信用組合の営業譲受による設立・三和銀行との関係・三菱UFJが大株主)=鳥取銀行公開情報、各種公開情報。
山陰合同銀行との県内シェアに関する記述=各種公開情報。
鳥取県の特産・経済に関する記述=各種公開情報。

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