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富山銀行——商工会議所が作った小さな地銀は、何に貸すか

預貸率76.5%、自己資本比率8.93%、不良債権比率2.75%。1954年に地元の商工会議所・商工会が中小企業育成のため設立した、高岡市の小さな地方銀行「とやまぎん」。堅実な経営で知られる地銀の数字を読む。

ニホン銀行紀行 ・ 富山県

富山県には、北陸三県から北海道まで広がる大きな地方銀行・北陸銀行がある。だが、同じ富山県に、もう一つ、ずっと小さな地方銀行がある。高岡市に本店を置く富山銀行——通称「とやまぎん」だ。北陸銀行とは規模がまるで違う、小さな地銀である。だが、その成り立ちには、地域金融の原点とも言える物語がある。

富山銀行は、地元の事業者たちが「自分たちの銀行」として作った銀行だ。預貸率76.5%。小規模ながら、預金の8割近くを貸出に回す。その数字を、生い立ちから読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。富山銀行の預金は5,027億円、貸出金は3,844億円。預貸率は76.5%で、預金の8割近くを貸出に回している。自己資本比率は8.93%、不良債権比率は2.75%。店舗数は39、中小企業等への貸出先は約1万3千件。地方銀行のなかでは、かなり小規模な部類に入る。富山県外には、石川県金沢市に店舗を構えている。

同じ富山県の北陸銀行(預金約7兆9千億円)と比べると、その規模の違いは歴然だ。だが、富山銀行は小規模ながら堅実な経営で知られ、東証スタンダード市場に上場する独立した地方銀行として、独自の道を歩んでいる。

商工会議所が作った銀行

富山銀行の成り立ちは、ほかの多くの地方銀行と異なる。源流は1954年(昭和29年)、富山県内の商工会議所・商工会が中心となって設立された「富山産業銀行」(通称さんぎん)である。「地元の中小商工業者の役に立つ銀行を創ろう」——中小企業育成のための新銀行という、明確な目的を掲げた船出だった。本店は高岡市に置かれ、当初は本店・富山・新湊・魚津・氷見の5カ店で営業を始めた。

地元の事業者が自ら出資して、自分たちのための銀行を作る。これは、地域金融の原点とも言える姿だ。大きな銀行が拾いきれない、小さな商工業者の資金需要に応える——その役割を、富山銀行は設立以来担い続けてきた。のちに富山銀行と改称し、いまも高岡を拠点に、地元の中小事業者に密着して貸している。

小さな銀行が、地元に貸す

富山銀行の預貸率76.5%は、規模の小さな地方銀行としては、しっかり貸している水準だ。大きな銀行のように、有価証券運用で大きく稼ぐ余力は乏しい。となれば、本業である貸出で収益を上げるしかない。集めた預金を地元の中小事業者にできるだけ貸す——それが、小さな銀行の生き方になる。預貸率76.5%という数字は、その密着の度合いを物語っている。

富山県は、医薬品(富山の置き薬で知られる製薬業)、アルミ建材、機械金属など、特色あるものづくりが根を張る土地だ。高岡は古くから鋳物(高岡銅器)のまちとしても名高い。こうした地場の中小事業者を、富山銀行は支えてきた。なお、富山県は2024年の能登半島地震で一部が被災しており、富山銀行も復興支援に取り組んでいる。

預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。規模が小さくても、地元にしっかり貸す銀行がある。数字の大小だけでなく、その役割まで読みにいきたい。

地域とともにある小さな銀行

富山銀行の数字は、地元の事業者が自ら作った小さな銀行が、いまも地域に密着して貸している姿を映している。商工会議所が中小企業のために生んだという原点を保ちながら、高岡を拠点に堅実な経営を続けている。規模は小さくとも、地域金融の一つの理想を体現する銀行である。

銀行の数字は、その土地の経済を映す鏡だ。富山銀行を見れば、ものづくりと鋳物のまち・高岡の姿が浮かぶ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。富山県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、富山県の地域金融機関のページへ。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。預貸率が低い金融機関は、相対的に融資先を求めている可能性をうかがう一つの目安になる。ただし、有価証券運用を主体とする金融機関は、預貸率が低くても融資に積極的とは限らない。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出先件数・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末。
沿革(1954年富山産業銀行設立・商工会議所等による設立・中小企業育成・高岡で開業)=富山銀行公開情報、各種公開情報。
富山県の産業(製薬・アルミ・高岡銅器)・能登半島地震に関する記述=各種公開情報。

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