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信用組合愛知商銀——名古屋の商銀系信組は、何に貸すか

預貸率77.1%、自己資本比率10.23%、不良債権比率2.57%。名古屋市に本店を置く信用組合愛知商銀。在日韓国人系(商銀・民団系)の信用組合の数字を読みます。

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ニホン銀行紀行 ・ 愛知県

愛知県名古屋市に本店を置く信用組合愛知商銀は、預金1,187億円、貸出金915億円、店舗8。名古屋を中心に、愛知県・三重県を地盤とする信用組合で、在日韓国人系の信用組合である「商銀(しょうぎん)」系の一つです。

「商銀」は、戦後、在日韓国人の事業者が相互扶助のために各地で設立した信用組合の系譜です。既存の金融制度のなかで十分な融資を受けにくかった人々が、自前の相互金融を必要としたことが、その起こりにあります。なお、ここでいう商銀(民団系)は、朝鮮総連系の「朝銀」とは別系統です。信用組合愛知商銀は、1954年に名古屋市で金剛信用組合として設立され、1958年に信用組合愛知商銀へ改称しました。数字の面で目を引くのは、預貸率77.1%という高さです。

まず、数字を並べる

信用組合愛知商銀の預金は1,187億円、貸出金は915億円、預貸率77.1%。自己資本比率は10.23%、不良債権比率は2.57%。中小企業等向けの貸出先は1,199件です。

信用組合愛知商銀(令和7年3月末)
預金1,187億円
貸出金915億円
預貸率77.1%
自己資本比率10.23%
不良債権比率2.57%
中小企業等向け貸出先1,199件
店舗8店

預貸率77.1%。名古屋の商銀系信組の数字を読む。

77.1%を、商銀の系譜から読む

預貸率77.1%は、本紀行で見てきた信用組合のなかでも高い部類で、集めた預金の八割近くを組合員に貸し出しています。在日韓国人の事業者という明確な組合員基盤のもと、その資金需要に密着して貸してきたことの表れと読めます。既存の金融制度から融資を受けにくかった人々の相互金融として始まった経緯が、地元の組合員に深く貸す姿勢につながっていると読めます。

自己資本比率10.23%は信用組合として国内基準を上回る水準で、不良債権比率2.57%は、これだけよく貸す信組として低めに抑えられています。商銀の系譜を引き継ぎ、名古屋という大都市の組合員に深く貸す姿が、この数字に表れていると読めます。もちろん個別の事情も絡むため断定はできませんが、商銀系という成り立ちを抜きに、この数字は読めません。

信用組合愛知商銀が示すのは、商銀の系譜を引き継ぎ、名古屋の組合員に深く貸す信組の姿です。預貸率77.1%という高さは、在日韓国人の事業者という明確な組合員基盤のもと、その資金需要に密着して貸してきたことの表れです。

なぜ、こうなったのか——制度と地域

信用組合が融資できる相手は原則として「組合員」に限られます。組合員になれるのは、中小企業等協同組合法などにより、その信用組合の地区内に住所や事業所がある中小事業者・勤労者などで、員外への貸出には制限があります。事業者には規模の制限もあり、大企業は組合員になれません。

この制度のもとでは、貸す相手はおのずと組合員に絞られます。信用組合愛知商銀にとって、その組合員基盤は、在日韓国人系のコミュニティを中心とする事業者や住民です。既存の金融制度のなかで融資を受けにくかった人々の相互金融として始まった経緯が、明確な組合員基盤に深く貸す姿勢につながり、高い預貸率に表れていると読めます。

同じ県の、金融機関と並べてみる

同じ愛知県を代表する地銀として、名古屋銀行(預貸率83.5%)も本紀行に登場しています。同じ名古屋を地盤とする岡崎信用金庫(預貸率49.2%)とあわせて、愛知の金融機関の姿は各記事もどうぞ。

数字は、組合の成り立ちを映す

預貸率77.1%という高さは、商銀の系譜を引き継ぎ、名古屋の組合員に深く貸してきた信組の姿を映しています。信用組合愛知商銀の数字は、在日韓国人系の相互金融の系譜に連なる信組の、いまの記録です。預貸率の読み方は預貸率の読み方を、愛知県の他の金融機関は愛知県の地域金融機関のページもどうぞ。

信用組合愛知商銀と融資・保証のはなし

信用組合愛知商銀は、地元にしっかり貸す信用組合です。実際に借入れを考えるなら、土台になるのは事業の中身を伝える準備と、保証制度の理解。借りる側が知っておきたい融資・保証の基礎をまとめました。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。預貸率が低い金融機関は、相対的に融資先を求めている可能性をうかがう一つの目安になる。ただし、有価証券運用を主体とする金融機関は、預貸率が低くても融資に積極的とは限らない。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出先件数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(預貸率は貸出金÷預金で算出)。
信用組合愛知商銀の沿革(1954年に名古屋市で金剛信用組合として設立、1958年に信用組合愛知商銀へ改称、愛知県・三重県を地区とすること、在日韓国人系(商銀・民団系)の信用組合であること)に関する記述=信用組合愛知商銀公開情報・各種公開情報にもとづく。
商銀系・朝銀系の系譜に関する記述=各種公開情報。
名古屋銀行・岡崎信用金庫の数値=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末。
信用組合の組合員・員外貸出に関する記述=中小企業等協同組合法ほか関係法令にもとづく一般的な整理。

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