¥Today ニホン銀行紀行

豊橋商工信用組合——東三河の豊橋で、信組は何を抱えて貸すか

預貸率53.7%、自己資本比率9.22%、不良債権比率10.73%。豊橋市に本店を置く豊橋商工信用組合。豊橋商工会議所を母体とし、東三河の中小に根ざす信組の数字を読みます。

銀行・金融ニュース
ニホン銀行紀行 ・ 愛知県

愛知県豊橋市に本店を置く豊橋商工信用組合は、預金1,546億円、貸出金830億円、店舗12。豊橋市を中心に、豊川市・田原市・新城市など、愛知県の東三河地域を地盤とする信用組合です。

地盤とする東三河は、豊橋を中心とする、農業と工業が混じり合う地です。温暖な渥美半島の施設園芸(キャベツ・電照菊など)で全国有数の農業地帯であり、輸送用機械などの製造業も根づきます。豊橋商工信用組合は、1952年に豊橋商工会議所を母体とし、地元商工会の協賛を得て発足した信組です。数字の面で目を引くのは、不良債権比率10.73%という高さです。

まず、数字を並べる

豊橋商工信用組合の預金は1,546億円、貸出金は830億円、預貸率53.7%。自己資本比率は9.22%、不良債権比率は10.73%。中小企業等向けの貸出先は4,274件です。

豊橋商工信用組合(令和7年3月末)
預金1,546億円
貸出金830億円
預貸率53.7%
自己資本比率9.22%
不良債権比率10.73%
中小企業等向け貸出先4,274件
店舗12店

不良債権10.73%。東三河の豊橋の中小に根ざす信組の数字を読む。

53.7%と10.73%を、東三河から読む

預貸率53.7%は、信用組合として相応の水準で、集めた預金の半分以上を地元に貸し出しています。目を引くのは、不良債権比率10.73%という高さです。これは本紀行で見てきた信用組合のなかでも高い部類で、商工会議所を母体とする信組が、地元の中小事業者に貸すなかで、地域経済の変動や事業の浮き沈みを引き受けてきたことの表れと読めます。

豊橋商工信用組合が貸す相手は、豊橋を中心とする東三河の中小事業者です。施設園芸などの農業とその関連、輸送用機械などの製造業、まちの商業や建設業が、その融資先に含まれると考えられます。自己資本比率9.22%は信用組合として手堅く、高い不良債権を抱えながらも守りを保ってきたことがうかがえます。商工会議所を母体に、地元の事業者に密着して貸し続けてきた歩みが、相応の預貸率と高い不良債権という数字に表れていると読めます。もちろん個別の事情も絡むため断定はできませんが、農と工の東三河という土地を抜きに、この信組の数字は読めません。

豊橋商工信用組合が示すのは、東三河の中小に密着して貸し、その変動を引き受ける信組の姿です。商工会議所を母体とし、地元の事業者に資金を回してきた。不良債権10.73%という高さは、地域経済の浮き沈みを引き受けてきたことの裏返しでもあります。

なぜ、こうなったのか——制度と地域

信用組合が融資できる相手は原則として「組合員」に限られます。組合員になれるのは、中小企業等協同組合法などにより、その信用組合の地区内に住所や事業所がある中小事業者・勤労者などで、員外への貸出には制限があります。事業者には規模の制限もあり、大企業は組合員になれません。

この制度のもとでは、貸す相手はおのずと地元の中小事業者や住民に絞られます。豊橋商工信用組合にとって、その「地元」とは、農業と工業が混じり合う東三河の経済です。豊橋商工会議所を母体とし、地元商工会の協賛を得て生まれたこの信組にとって、地区の事業者に貸すことは制度の枠であると同時に、成り立ちそのものでもあります。地元に密着して貸し続ける姿が、相応の預貸率に表れていると読めます。

同じ県の、金融機関と並べてみる

同じ愛知県を代表する地銀として、名古屋銀行(預貸率83.5%)も本紀行に登場しています。同じ東三河の豊橋信用金庫(預貸率43.6%)や豊川信用金庫とあわせて、東三河の金融機関の姿は各記事もどうぞ。

数字は、根を張る土地を映す

不良債権比率10.73%という高さと、相応の預貸率は、農と工の東三河・豊橋に根を張り、地元の中小に密着して貸し、その変動を引き受けてきた信組の姿を映しています。豊橋商工信用組合の数字は、商工会議所を母体とする東三河の信組の、いまの記録です。預貸率の読み方は預貸率の読み方を、愛知県の他の金融機関は愛知県の地域金融機関のページもどうぞ。

豊橋商工信用組合と融資・保証のはなし

豊橋商工信用組合は、地域に根ざした信用組合です。借りる・備えるのどちらを考えるにしても、土台になるのは日頃の取引と信用。口座づくりから保証制度まで、どんな立場でも知っておきたい融資・銀行取引の基礎をまとめました。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。預貸率が低い金融機関は、相対的に融資先を求めている可能性をうかがう一つの目安になる。ただし、有価証券運用を主体とする金融機関は、預貸率が低くても融資に積極的とは限らない。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出先件数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(預貸率は貸出金÷預金で算出)。
豊橋商工信用組合の沿革(1952年に豊橋商工会議所を母体とし地元商工会の協賛を得て発足、豊橋市を中心に東三河を地区とすること)に関する記述=豊橋商工信用組合公開情報・各種公開情報にもとづく。
東三河の施設園芸・輸送用機械などの製造業に関する記述=各種公開情報。
名古屋銀行・豊橋信用金庫の数値=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末。
信用組合の組合員・員外貸出に関する記述=中小企業等協同組合法ほか関係法令にもとづく一般的な整理。

本サイトは、資金繰り支援サービス「¥Today」が運営しています。

← ニホン銀行紀行へ | ¥Today トップへ