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千葉信用金庫——県都の信金は、なぜよく貸しながら資本が薄いのか

預貸率54.0%、預金1兆1,323億円、自己資本比率7.93%。千葉市に本店を置く千葉信用金庫。県都・千葉に根ざす「ちばしん」が、なぜよく貸しながら資本が薄めなのか。同じ千葉県の信金と比べながら、その数字と歴史を読む。

ニホン銀行紀行 ・ 千葉県

千葉県の県都・千葉市に本店を置く千葉信用金庫は、地元で「ちばしん」と呼ばれる信用金庫だ。預金1兆1,323億円、店舗49。千葉市を中心に、千葉県の各地を地盤としている。県名と県都を冠する、預金1兆円を超える大型の信金だ。

本拠の千葉市は、東京湾に面した千葉県の県都だ。県庁所在地として行政・商業の中心を担い、湾岸には工業地帯、内陸には住宅地と農業地帯が広がる。東京に近接し、首都圏のベッドタウンとしての性格も強い。県都・千葉を中心に、商業・サービス業・製造業・農業まで、多様な経済圏が広がる。千葉信用金庫は、こうした首都圏の県都・千葉に根ざしてきた信金だ。

この信金の数字で目を引くのは、預貸率54.0%という標準的な水準と、自己資本比率7.93%というやや薄めの数字だ。預金の半分強を貸出に回す一方、自己資本は信用金庫としてやや控えめだ。なぜ、県都の大型信金は、よく貸しながら資本が薄めなのか。同じ千葉県の信金とも比べながら、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。千葉信用金庫の預金は1兆1,323億円、貸出金は6,116億円。預貸率は54.0%で、預金の半分強を貸出に回している。自己資本比率は7.93%、不良債権比率は2.9%。店舗数は49、中小企業等への貸出残高は5,621億円。

同じ千葉県で、銚子市を地盤とする銚子信用金庫(預貸率32.3%・自己資本比率12.57%)と比べると、両者は対照的だ千葉信用金庫の預貸率54.0%は銚子信用金庫(32.3%)を大きく上回り、自己資本比率7.93%は銚子信用金庫(12.57%)を下回る。県都・千葉の千葉信用金庫はよく貸すが資本は薄め、銚子の銚子信用金庫は貸出を抑えて厚い資本を持つ。これは、県都・千葉が、東京に近接した資金需要の旺盛な土地であることを映していると読める。県都の千葉信用金庫は、首都圏の活発な資金需要によく応えて貸し、貸出を伸ばしてきた。そのぶん、資本の厚みはやや控えめになっていると読める。

千葉県の二つの信用金庫(令和7年3月末)
 千葉信用金庫銚子信用金庫
本店千葉市銚子市
預金1兆1,323億円5,175億円
預貸率54.0%32.3%
自己資本比率7.93%12.57%
不良債権比率2.9%5.89%

ともに千葉県を地盤とする二つの信金。県都・千葉の千葉信用金庫はよく貸すが資本は薄め、銚子の銚子信用金庫は貸出を抑えて厚い資本を持つ。立地する土地の資金需要の違いが対照的な数字に表れている。

首都圏の県都・千葉とともに——千葉信用金庫の歩み

千葉信用金庫は、県都・千葉の商人や事業者の相互扶助の金融機関として育ってきた。県都の商店、湾岸の事業者、住宅地の中小企業、そして住民——こうした人々が会員となり、預金を預け、必要なときに資金を借りる。千葉信用金庫は、合併を経て、預金1兆円を超える大型信金へと成長してきた。

千葉という土地は、信用金庫にとって、資金需要の旺盛な地盤だ。県都として行政・商業の中心であり、東京に近接した首都圏のなかで、人口も事業も集まる。地元の中小に密着しながら、首都圏の活発な資金需要によく応える——この姿勢が、預貸率54.0%という水準を支えている。一方、よく貸して貸出を伸ばすほど、自己資本比率は相対的に薄くなりやすい。千葉信用金庫の自己資本比率7.93%は、首都圏の資金需要に応えて積極的に貸してきたことの裏返しでもあると読める。

7.93%の資本を、県都から読む

千葉信用金庫の自己資本比率7.93%というやや薄めの数字は、首都圏の県都・千葉で、活発な資金需要によく応えて貸出を伸ばしてきたことの裏返しだと読める。よく貸せば、それだけ資産が膨らみ、自己資本比率は相対的に下がりやすい。これは必ずしも経営の弱さを意味せず、信用金庫に求められる国内基準の4%は十分に上回っている。県都・千葉の旺盛な資金需要に応えて、地域に資金を回す役割を果たしてきたことの表れだと読める。

預貸率54.0%という水準は、首都圏の資金需要によく応えていることを示す。不良債権比率2.9%という数字は、信用金庫として手堅い範囲だ。首都圏の県都で、活発な資金需要によく応えて貸し、地域に資金を回す——それが、千葉信用金庫の数字に表れた生き方だと読める。貸出を抑えて厚い資本を持つ銚子信用金庫とは対照的なこの姿は、立地する土地の資金需要によって信金の数字が分かれることを示している。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

千葉の経済とともに

千葉信用金庫の数字は、首都圏の県都・千葉という土地と、そこで活発な資金需要によく応えて貸す大型信金の歩みの、両方を映している。預金の半分強を地元に貸し、首都圏の中小事業者を支えてきた。東京に近接した県都・千葉の活発な経済が、54.0%という預貸率と、7.93%というやや薄めの自己資本に表れている。

銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。千葉信用金庫を見れば、首都圏の県都・千葉の経済と、そこで活発に貸す大型信金の姿が浮かぶ。千葉県の他の金融機関は、貸出を抑えめにする銚子信用金庫、水郷の佐原信用金庫、県トップの地銀千葉銀行もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。千葉県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、千葉県の地域金融機関のページへ。

自己資本比率とは 自己資本比率とは、金融機関の総資産に対する自己資本の割合。損失が出たときに、自前の資本でどれだけ吸収できるかを示す、健全性の目安の一つだ。信用金庫には国内基準で4%以上が求められる。よく貸して貸出を伸ばすほど資産が膨らみ、自己資本比率は相対的に下がりやすい。比率がやや薄めでも、それは活発な資金需要に応えて積極的に貸してきたことの裏返しであることもある。預貸率とあわせて見ることで、その信金の姿勢が見えてくる。 → あわせて「預貸率の読み方」もどうぞ

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。銚子信用金庫の数値も同出典。
沿革・地域(千葉市に本店を置き、千葉県内を地盤とする信用金庫であること、合併を経て預金1兆円を超える大型信金になったこと、千葉が東京湾に面した県都で行政・商業の中心であり首都圏のベッドタウンの性格も持つこと、湾岸に工業地帯が広がること)に関する記述=千葉信用金庫および各種公開情報にもとづく。
千葉の地理・経済(東京湾、県庁所在地、首都圏、ベッドタウン、湾岸、工業地帯)に関する記述=各種公開情報。

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