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岐阜信用金庫——東海最大級の信金は、県都・岐阜で何に貸すか

預貸率56.4%、預金2.7兆円、店舗89。岐阜市に本店を置く岐阜信用金庫。東海地方でも最大級の規模を誇る信用金庫「ぎふしん」が、県都・岐阜を中心に県を越えて広がる。その数字と歴史を読む。

ニホン銀行紀行 ・ 岐阜県

岐阜県の県都・岐阜市に本店を置く岐阜信用金庫は、地元で「ぎふしん」と呼ばれる信用金庫だ。預金2兆6,598億円、店舗89。信用金庫のなかでも全国屈指、東海地方では最大級の規模を持つ巨大信金である。岐阜市を中心に、岐阜県内に広く店舗網を張り、隣の愛知県へも進出している。

本拠の岐阜市は、長良川の鵜飼と織田信長ゆかりの岐阜城で知られる、古くからの商業都市だ。かつては繊維問屋街で栄え、いまも卸売・小売の集まる県の中心である。その県都を地盤に、岐阜信用金庫は地元の中小事業者に資金を供給してきた。県内には、やきものの東濃、刃物の関、家具の高山と、個性ある地場産業が点在するが、岐阜信用金庫はその県都・岐阜から、県全体へと広がってきた。

信用金庫として全国屈指の規模を持ちながら、その預貸率は56.4%。よく貸す地銀には及ばないが、低めにとどまる信金が多いなかでは中位にある。巨大な信金が、県都を中心にどう貸しているのか。同じ岐阜県の、やきものの里の信金とも比べながら、その数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。岐阜信用金庫の預金は2兆6,598億円、貸出金は1兆5,008億円。預貸率は56.4%で、預金の6割近くを貸出に回している。自己資本比率は9.98%、不良債権比率は2.56%。店舗数は89、中小企業等への貸出残高は1兆3,489億円にのぼる。

目を引くのは、2.7兆円という巨大な預金規模だ。これは、地方銀行の中堅クラスに匹敵する。信用金庫でこれだけの預金を集めるのは、全国でも上位に入る。預貸率56.4%は、信用金庫としてはよく貸している部類で、県都・岐阜という商業都市を地盤に、貸す相手が一定数いることをうかがわせる。同じ岐阜県でも、やきものの東濃地区を地盤とする東濃信用金庫(45.6%)と比べると、預貸率は高い。県都の経済力が、この差に表れている。

岐阜県内の二つの信用金庫(令和7年3月末)
 岐阜信用金庫東濃信用金庫
本店岐阜市多治見市
預金26,598億円12,375億円
貸出金15,008億円5,639億円
預貸率56.4%45.6%
不良債権比率2.56%6.10%

同じ岐阜県の信金でも、地盤の経済が違えば数字も変わる。県都・岐阜を地盤とする岐阜信用金庫は、やきものの里・東濃信用金庫より預貸率が高く、焦げ付きも低い。県の中心という地盤の厚みが映る。

県都・岐阜から、県全体へ——合併を重ねた巨大信金

岐阜信用金庫の歴史は、県都・岐阜の信用組合を源流に、岐阜県内の信用金庫が合併を重ねてきた歩みだ。県の中心である岐阜市を本拠に、周辺の信金と一つになりながら、東海地方でも最大級の規模へと育ってきた。県都という、人と商いの集まる土地を押さえたことが、この信金を巨大化させた土台になっている。

岐阜市はかつて、全国有数の繊維問屋街「岐阜アパレル」で栄えた。最盛期には全国から仕入れに人が集まる一大集散地で、その問屋や縫製業者に資金を供給したのが、地元の信金だった。繊維産業は時代とともに姿を変えたが、岐阜信用金庫は、卸売・小売・サービス業へと裾野を広げる県都の経済とともに、地元の中小事業者に貸し続けてきた。いまでは愛知県にも店舗を構え、名古屋圏の経済ともつながっている。

56.4%を、県都の信金から読む

岐阜信用金庫の預貸率56.4%は、信用金庫としては中位からやや上にある。2.7兆円という巨大な預金を集めながら、その6割近くを貸出に回している。この数字の背景には、県都・岐阜という、事業者と商いの集まる土地がある。卸売業や小売業、サービス業、中小製造業——県の中心には、貸す相手が数多くいる。県全体に店舗を広げ、愛知県の名古屋圏にも進出していることも、貸出先の厚みを支えている。

不良債権比率2.56%は、信用金庫のなかでは低めに収まっている。同じ岐阜県でも、やきものの構造変化を抱える東濃地区の信金が高めの焦げ付きを抱えるのと比べると、県都を地盤とする岐阜信用金庫は、産業の幅が広いぶん、特定の地場産業の浮き沈みに左右されにくい。県の中心という地盤の厚みが、巨大な規模と、安定した貸出の両方を支えている——その姿が、56.4%という数字と低めの焦げ付きに表れている。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

岐阜の経済とともに

岐阜信用金庫の数字は、長良川の県都・岐阜という土地と、県全体へ広がる巨大信金の歩みの、両方を映している。県都の信用組合から始まり、合併を重ねて東海最大級の規模に育ち、繊維問屋街の時代から卸売・小売の街へと変わる岐阜の経済とともに、地元の中小に貸し続けてきた。県の中心を押さえた強みが、56.4%という安定した数字に表れている。

銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。岐阜信用金庫を見れば、県都・岐阜の商いの厚みと、県全体に広がる巨大信金の姿が浮かぶ。同じ岐阜県の、やきものの里の信金は、東濃信用金庫の記事もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。岐阜県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、岐阜県の地域金融機関のページへ。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。預貸率が高い金融機関は、相対的に地元の資金需要を多く取り込んでいる一つの目安になる。ただし、有価証券運用を主体とする金融機関は、預貸率が低くても融資に消極的とは限らない。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。東濃信用金庫の数値も同出典。
沿革(県都・岐阜の信用組合を源流とし、岐阜県内の信用金庫が合併を重ねて東海地方でも最大級の規模となったこと、岐阜市を本拠に県全体へ広がり愛知県にも店舗を持つこと、岐阜市がかつて繊維問屋街〔岐阜アパレル〕で栄えたこと)に関する記述=岐阜信用金庫および各種公開情報にもとづく。
岐阜県の地理・産業(県都・岐阜市、長良川、卸売・小売の集積、やきもの・刃物・家具など県内各地の地場産業)に関する記述=各種公開情報。

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