群馬銀行——北関東の雄は、内陸工業県で何に貸すか
預貸率80.9%、預金8.5兆円、中小残高5.1兆円。前橋市に本店を置く群馬銀行。北関東を代表する地銀「ぐんぎん」が、輸送用機器の集まる内陸工業県でよく貸す姿を読みます。
群馬県前橋市に本店を置く群馬銀行は、地元で「ぐんぎん」と呼ばれる地方銀行です。預金8兆4,629億円、貸出金6兆8,451億円、店舗161。北関東を代表する地方銀行であり、群馬県および県内多くの自治体の指定金融機関——公金を扱う銀行——でもあります。隣接する栃木・埼玉・長野などにも店舗を広げています。
本拠地の群馬県は、海に面しない内陸県でありながら、全国有数の工業県です。輸送用機器(自動車)を中心に、電気機械・食品などの製造業が、太田・大泉をはじめとする県南部に集積する。かつての養蚕・絹織物の伝統から、いまは内陸最大級の工業集積地へと変わってきました。高崎は新幹線が交わる交通の要衝でもあります。この内陸工業県という地盤が、群馬銀行の数字を読む鍵になります。
群馬銀行は、1932年に設立され、群馬県の産業の発展とともに業容を広げてきました。県内に高い預金・貸出シェアを持ち、北関東を代表する有力地銀として知られます。数字の面で目を引くのは、預貸率80.9%という高さと、自己資本比率12.39%という厚みです。
まず、数字を並べる
群馬銀行の預金は8兆4,629億円、貸出金は6兆8,451億円、預貸率80.9%。自己資本比率は12.39%、不良債権比率は1.29%。中小企業等向けの貸出残高は5兆1,244億円にのぼります。
| 預金 | 8兆4,629億円 |
|---|---|
| 貸出金 | 6兆8,451億円 |
| 預貸率 | 80.9% |
| 自己資本比率 | 12.39% |
| 不良債権比率 | 1.29% |
| 中小企業等向け貸出残高 | 51,244億円 |
| 店舗 | 161店 |
預貸80.9%・自己資本12.39%。内陸工業県でよく貸す北関東の雄。
80.9%を、内陸工業県から読む
預貸率80.9%は、地方銀行のなかでも高い水準です。集めた預金の8割を貸出に回している。内陸最大級の工業集積を地盤に、しっかり資金を流していることの表れと読めます。
群馬銀行が貸す相手は、群馬県を中心とする北関東の事業者と個人です。太田・大泉などに集まる輸送用機器の製造業、その下請けを担う中小企業、電気機械・食品の工場、地域の商業、そして住宅ローンが、その融資先に含まれます。中小企業等向けの貸出残高5兆1,244億円という規模は、内陸工業県の事業者の資金需要を厚く引き受けてきたことを示しています。自動車を中心とした工業の裾野が広く、関連する中小が数多く存在する経済を背景に、貸し先に事欠かないことが、預貸率80.9%という高さを支えていると読めます。
不良債権比率1.29%は、地銀として標準的な水準です。輸送用機器を中心としつつ多様な業種に貸し先が分散していること、そして県を代表する銀行としての与信管理の確かさの表れと読めます。自己資本比率12.39%という地銀のなかでも高い厚みは、よく貸しながらも守りを固める堅実な経営を示しています。もちろん、これらの比率には経営方針や景気も絡むため断定はできませんが、内陸工業県という地盤と、堅実な経営を抜きに、この数字は読めません。
同じ群馬で、信金と並べてみる
本紀行には、同じ群馬県の高崎信用金庫も登場しています。高崎信金は、だるまの産地であり交通の要衝でもある高崎に根ざす信金でした。県全域を相手にする群馬銀行(預貸率80.9%)と、地区の中小に密着する高崎信金とを並べると、同じ群馬の事業者を相手にしながら、県を相手にする地銀と地区に根ざす信金とで、貸す規模も姿勢も異なることが見えてきます。北関東の雄たる地銀と、上州のまちに根ざす信金——両者を並べると、群馬の金融の層が見えてきます。群馬の信金の姿は、高崎信用金庫の記事もあわせてどうぞ。
借り手にとっての意味
北関東を代表する地銀は、群馬の事業者にとって、もっとも有力な選択肢のひとつです。よく貸す姿勢と確かな財務基盤、隣県に広がる店舗網は、地域を越えた取引を目指す企業にとっても心強いものです。高い預貸率は積極的に貸す姿勢の表れとも読めますが、それが個別の融資の可否を保証するものではありません。預貸率という数字の読み方は、預貸率の読み方であらためて整理しています。
数字は、内陸工業県の力を映す
預貸率80.9%という高さと、自己資本比率12.39%という厚みは、内陸最大級の工業集積に根ざし、よく貸しながら堅実な経営を保ってきた地銀の姿を映しています。数字は、その金融機関がどんな土地で、どんな産業に向き合ってきたかを語ります。群馬銀行の数字は、内陸工業県を支える北関東の雄「ぐんぎん」の、いまの記録です。
各地の金融機関には、それぞれの土地と産業の事情が刻まれた、それぞれの生き方があります。群馬県の他の金融機関とあわせて眺めたい方は、群馬県の地域金融機関のページもどうぞ。
出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(預貸率は貸出金÷預金で算出)。
群馬銀行の沿革(1932年設立、群馬県を代表する地方銀行、北関東を代表する有力地銀として県内に高い預金・貸出シェアを持つこと、栃木・埼玉・長野等にも店舗を広げること、群馬県等の指定金融機関であること)に関する記述=群馬銀行および各種公開情報にもとづく。
群馬県の地理と産業(内陸県でありながら全国有数の工業県、太田・大泉等に集積する輸送用機器・電気機械・食品の製造業、養蚕・絹織物の伝統、高崎の交通の要衝)に関する記述=各種公開情報。
高崎信用金庫の位置づけ=各種公開情報および本紀行既出記事。