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東和銀行——公的資金を15年かけて完済した、群馬の第二地銀

預貸率74.6%、自己資本比率9.71%、不良債権比率2.52%。無尽を源流とし、2009年に350億円の公的資金を受けて2024年に完済した群馬県の第二地銀「東和」。本業支援に注力する地銀の数字を読む。

ニホン銀行紀行 ・ 群馬県

群馬県は、関東平野の北西に位置する県だ。前橋・高崎の都市圏、太田・伊勢崎の自動車関連を中心とした製造業、そして上毛三山と温泉に彩られた観光。県のトップバンクは群馬銀行だが、その2番手として県の金融を支えるのが、東和銀行——通称「東和」である。前橋市に本店を置く第二地方銀行だ。

この銀行の歩みには、一つの試練と、それを乗り越えた物語がある。公的資金だ。経営が厳しかった時期に国の資金を受け、それを15年かけて返し切った。その歴史と数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。東和銀行の預金は2兆1,563億円、貸出金は1兆6,092億円。預貸率は74.6%で、預金の4分の3ほどを貸出に回している。自己資本比率は9.71%、不良債権比率は2.52%。店舗数は91、中小企業等への貸出先は約5万3千件。地盤の群馬県を中心に、埼玉・東京・栃木にも店舗を構えている。

無尽から生まれ、公的資金を完済する

東和銀行の源流は、無尽にある。1917年(大正6年)の創業にさかのぼり、1942年には群馬無尽・関東無尽・上毛無尽が合併して群馬大生無尽が設立された。無尽とは、人々が金を出し合い、順番に融通し合う相互扶助の金融である。その後、相互銀行を経て、東和銀行となった。庶民の相互扶助を出発点に持つ——これは、多くの第二地銀に共通する成り立ちだ。

東和銀行の歩みで特筆すべきは、公的資金との向き合い方だ。2009年、リーマンショック後の厳しい経済環境のなか、金融庁は金融機能強化法に基づき、東和銀行に350億円の公的資金を注入した。地域の中小企業への金融機能を維持するための措置である。公的資金を受けた銀行は、地域経済を支える役割を強く求められる。東和銀行は、そのうち200億円を2018年に返済し、2024年5月、残りの150億円を返済して完済した。注入から15年。地域に貸し続けながら、国の資金を返し切ったのである。

本業支援で、群馬の中小企業に貸す

東和銀行の預貸率74.6%は、地方銀行として標準的な水準だ。この数字の背景には、群馬という土地の事情と、この銀行の姿勢がある。群馬県は、自動車関連を中心とした製造業が盛んで、中小の部品メーカーや関連企業が数多くある。東和銀行は、こうした中小企業に対し、「TOWAお客様応援活動」と呼ぶ本業支援に力を入れている。単に金を貸すだけでなく、取引先の事業そのものを支える——公的資金を背負った経験が、この地域密着の姿勢を強めたとも読める。

北関東では、栃木銀行・筑波銀行という、県をまたいだ第二地銀同士の連携協定も結んでいる。県境を越えて手を組み、地域金融を支える工夫だ。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

群馬の経済とともに

東和銀行の数字は、製造業の盛んな群馬県を、第二地銀として支える姿を映している。無尽という相互扶助を源流に持ち、公的資金を背負い、それを15年かけて完済した。本業支援で中小企業に寄り添うその姿勢には、苦境を越えてきた銀行ならではの地域への向き合い方が表れている。

銀行の数字は、その土地の経済を映す鏡だ。東和銀行を見れば、ものづくりの県・群馬の姿が浮かぶ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。群馬県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、群馬県の地域金融機関のページへ。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。預貸率が低い金融機関は、相対的に融資先を求めている可能性をうかがう一つの目安になる。ただし、有価証券運用を主体とする金融機関は、預貸率が低くても融資に積極的とは限らない。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出先件数・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末。
沿革(1917年創業・群馬無尽など無尽が源流・2009年350億円公的資金注入・2024年5月完済・TOWAお客様応援活動・北関東連携協定)=東和銀行公開情報、各種報道、各種公開情報。
群馬県の産業(製造業・自動車関連・観光)に関する記述=各種公開情報。

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