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広島信用金庫——県内最大の信金「ひろしん」は、被爆の街で何に貸すか

預貸率64.3%、預金1.7兆円、店舗72。広島市に本店を置く広島信用金庫。広島県内最大の信用金庫「ひろしん」が、復興を遂げた県都・広島の中小企業に貸す。その数字と歴史を読む。

ニホン銀行紀行 ・ 広島県

広島県広島市に本店を置く広島信用金庫は、地元で「ひろしん」と呼ばれる信用金庫だ。預金1兆6,891億円、店舗72。広島県内最大の信用金庫であり、県都・広島市を中心に、県内に広く店舗網を張っている。地元の中小企業と暮らしを支える、広島の地域金融の中心的な担い手の一つである。

本拠の広島市は、中国地方最大の都市だ。1945年の原爆により壊滅的な被害を受けたが、戦後、めざましい復興を遂げ、いまは人口120万人を抱える政令指定都市となっている。自動車・造船・鉄鋼といったものづくりの大企業が周辺に集まり、その取引先や、商業・サービス業の中小事業者が市内にひしめく。広島信用金庫は、この復興した県都の経済とともに、地元の事業者に資金を供給してきた。

この信金の数字には、ある特徴がある。預貸率64.3%——信用金庫としては、よく貸している部類に入る。県都の経済を地盤に、集めた預金の6割超を貸出に回している。なぜ、これほど貸せるのか。同じ広島市にある、もう一つの個性的な地域金融機関とも比べながら、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。広島信用金庫の預金は1兆6,891億円、貸出金は1兆857億円。預貸率は64.3%で、預金の6割超を貸出に回している。自己資本比率は13.42%と厚く、不良債権比率は3.02%。店舗数は72、中小企業等への貸出残高は9,563億円にのぼる。

目を引くのは、預貸率64.3%という高さだ。信用金庫としてよく貸す部類に入り、県都・広島という経済規模の大きい土地を地盤に、貸す相手が豊富にいることをうかがわせる。ただ、同じ広島市には、預貸率91.1%という極端に高い数字で「融資一本」を掲げる広島市信用組合がある。両者を並べると、広島信用金庫の64.3%は、信金として標準的によく貸す水準だとわかる。同じ街で、信金と信組が、それぞれ異なる貸し方をしているのだ。

広島市の信金と信組(令和7年3月末)
 広島信用金庫広島市信用組合
種別信用金庫信用組合
預金16,891億円8,839億円
預貸率64.3%91.1%
自己資本比率13.42%12.02%
不良債権比率3.02%1.98%

同じ広島市を地盤とする信金と信組。県内最大の信金・広島信用金庫はよく貸す部類だが、「融資一本」を掲げる広島市信用組合の預貸率91.1%は際立つ。規模で勝る信金と、貸出に徹する信組——貸し方の違いが数字に出ている。

復興した県都とともに——広島信用金庫の歩み

広島信用金庫は、県都・広島の中小事業者の相互扶助の金融機関として育ってきた。原爆で街が壊滅したのち、広島は人々の手で復興へと歩み出した。焼け跡から立ち上がる商店や町工場、そして新たに事業を始める人々——その一つひとつに資金を届けることが、地元の信用金庫の役割だった。広島信用金庫は、合併を重ねて規模を広げながら、復興と成長を続ける県都の経済とともに歩んできた。

いまの広島市は、中国地方の経済・行政の中心として、商業・サービス業が厚く集まる。周辺には自動車や造船といったものづくりの大企業があり、その取引先の中小企業も多い。県内最大の信金として、この多様な事業者に幅広く貸すことが、広島信用金庫の立ち位置になっている。特定の産業に偏らず、県都の経済全体に資金を供給する——その姿が、よく貸しながらも焦げ付きを抑えた数字に表れている。

64.3%を、県都の信金から読む

広島信用金庫の預貸率64.3%は、信用金庫としてよく貸す部類に入る。この背景には、中国地方最大の都市・広島という、貸す相手が厚く集まる土地がある。商業・サービス業、中小製造業、そして個人——県都には資金需要が幅広くあり、それが高めの預貸率を支えている。県内最大の信金という規模も、多様な貸出先を抱えることを可能にしている。

自己資本比率13.42%という厚さと、不良債権比率3.02%という低さは、よく貸しながらも堅実さを保っていることを示している。同じ広島市の広島市信用組合が、預貸率91.1%という「融資一本」の極端な姿で貸すのに対し、広島信用金庫は、県都の経済全体に幅広く、バランスよく貸す。規模の大きさを生かして、多様な事業者に分散して貸すことが、リスクを抑えながらよく貸すことを可能にしていると読める。同じ街の二つの地域金融機関が、異なる個性で地元を支えている。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

広島の経済とともに

広島信用金庫の数字は、原爆から復興を遂げた県都・広島という土地と、その経済全体に幅広く貸す県内最大の信金の歩みの、両方を映している。焼け跡から立ち上がる事業者に資金を届けた時代から、中国地方最大の都市の多様な事業者を支えるいままで、広島信用金庫は地元とともにあり続けてきた。規模を生かして幅広く貸す姿が、64.3%という高めの預貸率と、厚い自己資本の両立に表れている。

銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。広島信用金庫を見れば、復興した県都・広島の経済の厚みと、そこに幅広く貸す県内最大の信金の姿が浮かぶ。同じ広島市の、「融資一本」を貫く信組は、広島市信用組合の記事もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。広島県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、広島県の地域金融機関のページへ。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。預貸率が高い金融機関は、相対的に地元の資金需要を多く取り込んでいる一つの目安になる。ただし、自己資本の厚さや焦げ付きの低さとあわせて見ないと、健全さまではわからない。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫・信用組合の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。広島市信用組合の数値も同出典。
沿革・地域(広島市に本店を置く広島県内最大の信用金庫であること、合併を重ねて規模を広げてきたこと、広島市が原爆からの復興を遂げた中国地方最大の都市・政令指定都市であること、自動車・造船・鉄鋼などのものづくりや商業・サービス業が集まること)に関する記述=広島信用金庫および各種公開情報にもとづく。
広島の地理・産業・歴史(県都・広島市、原爆と戦後復興、中国地方の経済中心)に関する記述=各種公開情報。

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