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伊達信用金庫——洞爺湖と有珠山のふもとで、だてしんはなぜ預金の3割しか貸さないか

預貸率32.5%、預金1,680億円、自己資本比率12.8%、不良債権比率4.79%。北海道伊達市に本店を置く伊達信用金庫。洞爺湖と有珠山を望む西胆振に根ざし、預金の3割しか貸さない信金が、なぜそうなるのか。同じ北海道の信金と比べながら、その数字と歴史を読む。

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北海道の伊達市に本店を置く伊達信用金庫は、預金1,680億円を持つ信用金庫だ。店舗9。愛称は「だてしん」。伊達市を中心に、西胆振(にしいぶり)の7市町——伊達市・室蘭市・登別市・白老町・洞爺湖町・豊浦町・壮瞥町を中心に営業し、ニセコ町や苫小牧市などにも店舗を広げる。洞爺湖と有珠山を望む西胆振に根ざす信金だ。

本拠の伊達市は、北海道南西部・内浦湾に面した温暖な土地だ。幕末から明治にかけて仙台藩亘理(わたり)の伊達邦成(くにしげ)の一族と家臣団が移住・開拓したことに由来し、その名を受け継ぐ。周辺には、洞爺湖、有珠山、昭和新山といった火山と湖の景観が広がり、ニセコや登別とともに北海道有数の観光地を形づくる。だてしんは、伊達市のほか洞爺湖町・豊浦町・壮瞥町で指定金融機関を務め、こうした観光と農漁業の西胆振に根ざしてきた。

この信金の数字で最も目を引くのは、預貸率32.5%という低さだ。預金1,680億円に対し、貸出金は546億円。預かったお金の3割ほどしか貸していない。一方で自己資本比率は12.8%。なぜ、観光地の信金が、これほど貸さないのか。同じ北海道の信金とも比べながら、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。伊達信用金庫の預金は1,680億円、貸出金は546億円。預貸率は32.5%で、預金の3割ほどしか貸出に回していない。自己資本比率は12.8%、不良債権比率は4.79%。店舗数は9。

同じ北海道の信金と比べてみる。隣接する室蘭を地盤とする室蘭信用金庫(預貸率30.9%・自己資本27.68%)、苫小牧の苫小牧信用金庫(預貸率50.1%・自己資本20.49%)、道都・札幌の北海道信用金庫(預貸率55.4%)と並べると、伊達信用金庫の預貸率32.5%は、隣の室蘭信用金庫とともに際立って低い。北海道の信金は預貸率が低めの傾向にあるが、西胆振の伊達・室蘭はそのなかでも特に低い。預金は集まるが、貸出は預金ほどには伸びない——人口規模の限られた地方都市と、大型の資金需要が乏しい観光・農漁業という地盤を映していると読める。一方で不良債権比率4.79%はやや高めで、限られた商圏での貸出の難しさもうかがわせる。

北海道の信用金庫(令和7年3月末)
 伊達信用金庫室蘭信用金庫苫小牧信用金庫
本店伊達市室蘭市苫小牧市
預貸率32.5%30.9%50.1%
自己資本比率12.8%27.68%20.49%
不良債権比率4.79%1.66%3.24%

いずれも北海道の信金。伊達は隣の室蘭とともに預貸率が際立って低い。西胆振という地盤を映す。

伊達信用組合から——伊達信用金庫の歩み

伊達信用金庫は、1949年(昭和24年)に設立された。本店は伊達市梅本町に置かれ、「地域の皆様とともに、地域社会の発展に貢献する」という経営理念のもと、西胆振地域とともに歩んできた。2005年(平成17年)には室蘭商工信用組合と全面的な業務提携を結び、2008年(平成20年)1月、同信用組合と合併した。これにより、伊達市を中心とする西胆振での基盤を強めた。近年は北海道銀行とのATM相互無料提携を進めるなど、地域の利便性向上にも取り組んでいる。

洞爺湖と有珠山を望む西胆振という土地は、信用金庫にとって独特の地盤だ。観光と農漁業が地域経済の柱だが、大きな工業集積や旺盛な企業の資金需要があるわけではない。人口規模も限られる。預金は地域から集まるが、それを吸収するだけの大きな貸出先は乏しい。だから貸出は預金ほどには伸びず、預貸率は3割という低い水準にとどまる。これは、貸す相手がいないというより、地域の身の丈に合った貸出に徹し、無理に貸さない守りの経営の表れだと読める。隣接する室蘭信用金庫が自己資本比率27.68%という極めて厚い資本を積んでいるのと同様、西胆振の信金はおしなべて「貸すより守る」傾向を持つ。伊達信用金庫の自己資本比率12.8%も、その堅実な姿勢を裏づけている。観光地・西胆振で、だてしんは地域の暮らしと商いを支えながら、慎重な経営を続けている。

32.5%を、西胆振から読む

伊達信用金庫の預貸率32.5%という低さは、大型の資金需要が乏しい観光・農漁業の西胆振で、地域の身の丈に合った貸出に徹してきたことの表れだと読める。洞爺湖や有珠山を望む観光地と、内浦湾沿いの農漁業の土地に、信金として貸せる相手に貸してきた。預金は集まっても、貸出は預金ほどには伸びない。

そのうえで、自己資本比率12.8%という資本を保っていることが、この信金の性格を物語る。貸出を絞り、資本を保ち、慎重に運用する。無理に貸さず、地域とともに健全であろうとする守りの経営——その姿勢が、32.5%という低い預貸率に表れていると読める。隣の室蘭信用金庫とともに、西胆振の信金は守りに徹してきた。預貸率が低いこと自体は、その信金が悪いことを意味しない。土地の経済が大型の資金需要を生まないとき、貸出を絞って資本を守ることは、ひとつの堅実な選択だ。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

北海道の経済とともに

伊達信用金庫の数字は、洞爺湖と有珠山を望む西胆振という土地と、そこで貸出を絞りながら資本を守ってきた信金の生き方の、両方を映している。地域の身の丈に合った貸出に徹し、資本を保ちながら、観光と農漁業の西胆振を支えてきた。大型の資金需要が乏しい土地柄が、32.5%という低い預貸率に表れている。

銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。伊達信用金庫を見れば、西胆振の経済と、そこで守りの経営に徹する信金の姿が浮かぶ。北海道の他の金融機関は、隣の室蘭信用金庫、苫小牧の苫小牧信用金庫、道都・札幌の北海道信用金庫、道内最大の地銀北海道銀行もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。北海道の他の金融機関と並べて眺めたい方は、北海道の地域金融機関のページへ。

伊達信用金庫と融資のはなし

伊達信用金庫は、洞爺湖と有珠山を望む西胆振に根ざした信用金庫です。地元の事業者に貸す信金とどう付き合うか、口座づくりから与信の考え方まで、知っておきたい銀行取引の基礎をまとめました。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。3割という低い水準は、土地に大きな資金需要が乏しいことや、貸出を絞って資本を守る経営の表れであることが多い。北海道の信金にはこの傾向が強い。低いこと自体は良し悪しを意味せず、自己資本比率とあわせて見ることで、その信金の姿が見えてくる。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。室蘭信用金庫・苫小牧信用金庫の数値も同出典。
沿革(1949年に設立されたこと、本店が伊達市梅本町にあること、愛称が「だてしん」であること、2008年に室蘭商工信用組合と合併したこと、西胆振7市町を中心に営業しニセコ町・苫小牧市などにも店舗を広げること、伊達市・洞爺湖町・豊浦町・壮瞥町で指定金融機関を務めること、北海道銀行とATM相互無料提携を結ぶこと)=伊達信用金庫および各種公開情報にもとづく。
伊達・西胆振の地理・歴史(伊達市、内浦湾、仙台藩亘理の伊達邦成一族による開拓に由来する地名、洞爺湖、有珠山、昭和新山、ニセコ、登別、観光と農漁業)に関する記述=各種公開情報・歴史的事実。

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