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北央信用組合——破綻信組を継いだ道内最大の信組は、札幌で何に貸すか

預貸率80.8%、預金1,999億円、自己資本比率7.26%、不良債権比率3.56%。北海道札幌市に本店を置く北央信用組合。破綻した信組の受け皿として育った道内最大の「ほくしん」が、なぜ預金の8割を貸すのか。同じ北海道の信用組合と比べながら、その数字と歴史を読む。

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北海道の札幌市中央区に本店を置く北央信用組合は、預金1,999億円を持つ信用組合だ。店舗26。地元では「ほくしん」と呼ばれ、北海道内で最大規模の信用組合として知られる。札幌を中心に、石狩・空知・上川から道北の稚内まで、広い営業地域を持つ。

本拠の札幌は、北海道の人口の多くが集まる道都だ。商業・サービス業が集積し、人と事業が最も濃く集まる土地である。北海道は、農業・水産・観光に支えられた地方経済の一方で、札幌という大都市に経済が集中する構造を持つ。北央信用組合は、こうした札幌を中心とする北海道に根ざし、中小・零細事業者と住民を組合員として支えてきた信用組合だ。

この信組の数字で目を引くのは、預貸率80.8%という高さだ。集めた預金の8割を貸出に回している。信用金庫や信用組合には、預金の3割から半分ほどしか貸さない「守りの経営」も多いなかで、北央信用組合はよく貸す。なぜ、道内最大の信組は、こうした数字になるのか。その成り立ちとともに、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。北央信用組合の預金は1,999億円、貸出金は1,614億円。預貸率は80.8%で、預金の8割を貸出に回している。自己資本比率は7.26%、不良債権比率は3.56%。店舗数は26、中小企業等への貸出残高は1,510億円、貸出先は8千件を超える。

同じ札幌に本店を置く北海道信用金庫(預貸率55.4%・不良債権比率1.47%)と比べると、両者は札幌を地盤とする協同組織金融機関だが、貸す姿勢に明確な差がある。北海道信用金庫が預金の5割台を貸出に回すのに対し、北央信用組合の預貸率80.8%は際立って高い。一方、自己資本比率は北海道信用金庫(18.3%)が北央信用組合(7.26%)を大きく上回り、資本の厚みには差がある。同じ札幌の協同組織でも、よく貸す信組と、厚い資本で堅実に貸す信金という違いがある。北央信用組合は、資本を薄めに保ちながら、組合員の中小に深く貸す道を選んでいると読める。

札幌を地盤とする協同組織金融機関(令和7年3月末)
 北央信用組合北海道信用金庫
本店札幌市中央区札幌市
預金1,999億円1兆1,705億円
預貸率80.8%55.4%
自己資本比率7.26%18.3%
不良債権比率3.56%1.47%

ともに札幌を地盤とする協同組織だが、貸す姿勢が異なる。よく貸す信組と、厚い資本で堅実に貸す信金の違いが、数字に表れている。

破綻信組の受け皿として——北央信用組合の歩み

北央信用組合の歩みは、北海道の信用組合の再編の歴史そのものだ。源流は、1952年(昭和27年)に設立された札幌専売信用組合にさかのぼる。のちに「せんしん」の略称を用い、1982年(昭和57年)に専和信用組合と名を改めた。

転機は1999年(平成11年)に訪れる。千歳信用組合と共同信用組合が経営破綻したのち、札幌の専和信用組合が両組合の事業を譲り受ける形で合併し、同年12月、新たに「北央信用組合」が発足した(同時に略称を「ほくしん」とした)。北央信用組合は、その後も道内の信用組合の事業を受け継いでいき、かつて北海道に存在した複数の信用組合の流れを統合して、道内最大の信用組合へと育った。破綻した信組の預金者と取引先を引き受ける受け皿として、北海道の信用組合の再編の中心に立ってきた組織だ。

こうした成り立ちは、北央信用組合の数字にも影を落とす。複数の信組の事業を引き受けてきた歴史が、広い営業地域と、貸出を中心とする経営の姿勢につながっている。受け継いだ取引先に貸し続けることが、預貸率80.8%という高さの背景にあると読める。

80.8%を、札幌から読む

北央信用組合の預貸率80.8%という高さは、札幌という人と事業の集まる大都市を地盤とし、受け継いだ取引先に貸し続けてきたことの表れだと読める。人口が集中し商業・サービス業が集積する札幌は、信用組合が貸す相手のある土地だ。加えて、破綻した信組の事業を引き受けてきた歴史が、貸出を中心とする経営の姿勢を形づくっている。北央信用組合は、組合員の中小・零細に深く貸し、預金の8割を貸出に回している。

自己資本比率7.26%という、厚いとはいえない資本のなかで預金の8割を貸すのは、よく貸すぶん、相応のリスクを引き受ける経営でもある。不良債権比率3.56%はおおむね落ち着いた水準だが、薄めの資本でよく貸す以上、地域の景気や個別の取引先の浮き沈みの影響は受けやすい。札幌を中心に、受け継いだ取引先と組合員の中小に深く貸し、相応のリスクを引き受ける——それが、北央信用組合の数字に表れた生き方だと読める。破綻信組の受け皿として育った道内最大の信組の、一つのかたちがここにある。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

北海道の経済とともに

北央信用組合の数字は、札幌という大都市と、破綻した信組の受け皿として再編の中心に立ってきた信組の歩みの、両方を映している。預金の8割を組合員に貸し、受け継いだ取引先と札幌の中小・零細を支えてきた。人と事業の集まる札幌の経済と、再編を重ねた成り立ちが、80.8%という高い預貸率に表れている。

銀行や信用組合の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。北央信用組合を見れば、札幌の経済と、再編を重ねてよく貸す信組の姿が浮かぶ。北海道の他の金融機関は、札幌の北海道信用金庫、道都の北海道銀行、鉄の街の室蘭信用金庫もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。北海道の他の金融機関と並べて眺めたい方は、北海道の地域金融機関のページへ。

北央信用組合と融資・保証のはなし

預貸率80.8%の北央信用組合は、地元によく貸す貸出型の信用組合です。実際に借りることを考えるなら、申込の前に手順と制度を押さえておきたいもの。融資の進め方と保証のしくみを、用語とあわせてまとめました。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。人と事業の集まる大都市を地盤とし、貸出を中心とする経営の信用組合は、預金の多くを貸出に回し、預貸率が高くなることがある。ただし、よく貸すぶん相応のリスクも引き受けるため、自己資本比率や不良債権比率とあわせて見ることが大切になる。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・貸出先件数・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用組合の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。北海道信用金庫の数値も同出典。
沿革・地域(札幌市中央区に本店を置き、北海道内で最大規模の信用組合であること、1952年に札幌専売信用組合として設立され、1982年に専和信用組合に改称、1999年に経営破綻した千歳信用組合・共同信用組合の事業を専和信用組合が譲り受ける形で合併し同年12月に北央信用組合として発足したこと、その後も道内の信用組合の事業を受け継ぎ道内最大の信用組合となったこと、札幌を中心に石狩・空知・上川から道北まで広い営業地域を持つこと)に関する記述=北央信用組合および各種公開情報にもとづく。
札幌・北海道の地理・経済(札幌、道都、商業、サービス業、北海道)に関する記述=各種公開情報。

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