¥Today ニホン銀行紀行

北洋銀行——拓銀の地を継ぎ、道内最大として全道に貸す

預貸率71.3%、自己資本比率12.66%、不良債権比率1.12%。預金11兆円で道内最大、第二地方銀行。拓銀破綻の地を継いだ北の最大手が、集めた預金の7割を貸しに回す姿を読む。

銀行・金融ニュース
ニホン銀行紀行 ・ 北海道

北海道の金融機関を語るとき、まず名が挙がるのが北洋銀行だ。札幌市に本店を置き、預金は11兆円を超える。これは、地方銀行の北海道銀行(6兆円)を大きく上回る、道内最大の規模である。第二地方銀行が、同じ道内の地方銀行より大きい——全国を見渡しても珍しいこの構図は、北海道の金融史に刻まれた、ある出来事と切り離せない。

広い大地に産業が点在する北海道で、北洋銀行は171の店舗を全道に張りめぐらせている。預貸率71.3%。集めた預金の7割を貸出に回す「貸す銀行」の数字を、北の大地の事情と、その来歴から読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。北洋銀行の預金は11兆1,039億円、貸出金は7兆9,192億円。預貸率は71.3%で、預金の7割を貸出に回している。自己資本比率は12.66%、不良債権比率は1.12%。店舗数は171、中小企業等への貸出先は約27万件にのぼる。よく貸して、なお焦げ付きが少なく、資本も厚い。攻めと守りが両立した、地力のある数字だ。

同じ北海道の地方銀行・北海道銀行と並べてみると、その位置がはっきりする。預金でも貸出金でも、北洋銀行が道内最大だ。第二地方銀行でありながら道内首位という、この勢力図そのものが、北海道金融史の産物といえる。

北海道内の主な普通銀行(2025年3月期)
 北洋銀行北海道銀行
種別第二地方銀行地方銀行
預金111,039億円60,941億円
貸出金79,192億円45,757億円
預貸率71.3%75.1%
自己資本比率12.66%9.37%
不良債権比率1.12%1.67%

規模では北洋銀行が道内最大。預貸率はわずかに道銀が上回るが、北洋は自己資本の厚さ(12.66%)と不良債権比率の低さ(1.12%)で、貸しながら守りも固めている。

拓銀破綻という分かれ道

北洋銀行の歩みは、1917年(大正6年)に北洋無尽として創業したことに始まる。相互銀行を経て、1989年に普通銀行へ転換し、第二地方銀行となった。地域に根ざした中堅銀行——それが、当時の北洋の姿だった。

転機は1997年から1998年にかけて訪れる。当時、北海道には北海道拓殖銀行(拓銀)という都市銀行があった。全国に20行しかなかった都市銀行の一角であり、北海道経済の大動脈だった。その拓銀が1997年、バブル崩壊後の不良債権を抱えて経営破綻する。戦後初の都市銀行の破綻であり、北海道経済を揺るがす大事件だった。

このとき、拓銀の道内営業を引き継いだのが北洋銀行だった。1998年、北洋は拓銀の北海道内の店舗・取引を譲り受ける。第二地方銀行が、破綻した都市銀行の地盤を丸ごと継いだ——この異例の継承によって、北洋銀行は一気に道内最大の金融機関へと押し上げられた。さらに2008年には札幌銀行と合併し、道内の基盤をいっそう固めている。預金11兆円という今の規模は、この来歴の上に立っている。

第二地銀という自由度

北洋銀行が全道に広く貸せる背景には、第二地方銀行という業態の性格もある。信用金庫や信用組合のような会員資格・地区の制約がなく、相手を限定されることなく貸しに行ける。札幌という北海道経済の中心を地盤に、171の店舗を全道へ展開し、道外にも拠点や海外駐在員事務所を持つ。広い大地のどこに資金需要があっても、そこへ貸しに行ける構えを備えている。

2025年3月期の当期純利益(連結)は183億円。道内最大の銀行として、全道に貸し出した資金から生まれる資金利益が、利益の柱になっている。預貸率71.3%という数字は、預金を手元に残さず世の中へ回す、その積極性の表れだ。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

北の大地に貸す

北海道には、農業・酪農・水産・観光・建設・食品加工と、多様な産業が広い大地に点在する。北洋銀行は、その全域に店舗網を張り、約27万件の中小企業等と取引を持つ。広い土地に散らばる事業者へ、まんべんなく貸す——道内最大の店舗網と取引先数は、その密な関わりを物語っている。拓銀が担っていた北海道経済の資金供給の役割を、いま北洋銀行が引き受けている。

銀行の数字は、その土地の経済と歴史を映す鏡だ。北洋銀行を見れば、拓銀破綻という北海道金融史の転機と、その後を継いで全道に貸し続ける最大手の姿が浮かぶ。同じ北海道の北海道銀行、最北の稚内信用金庫とも読み比べたい方は、それぞれの記事へ。北海道の他の金融機関と並べて眺めたい方は、北海道の地域金融機関のページへ。

北洋銀行と融資・保証のはなし

北洋銀行は、道内最大の店舗網で広く貸す貸出型の第二地銀です。実際に借りることを考えるなら、申込の前に手順と制度を押さえておきたいもの。融資の進め方と保証のしくみを、用語とあわせてまとめました。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。預貸率が高い金融機関は、相対的に貸出に積極的な姿勢をうかがう一つの目安になる。ただし、規模や地域の資金需要によって水準は変わるため、自己資本比率や不良債権比率とあわせて読む必要がある。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出先件数・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(預貸率は貸出金÷預金で算出)。
当期純利益(連結183億円)・店舗数(171店)・道外拠点=北洋銀行2025年3月期決算・IR資料。
沿革(1917年北洋無尽として創業・1989年普通銀行転換・1998年拓銀の道内営業譲受・2008年札幌銀行との合併)=北洋銀行公開情報、各種公開情報。
北海道拓殖銀行の破綻(1997年)に関する記述=各種公開情報。
北海道の産業(農業・酪農・水産・観光等)に関する記述=各種公開情報。

本サイトは、資金繰り支援サービス「¥Today」が運営しています。

← ニホン銀行紀行へ | ¥Today トップへ