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香川銀行——徳島と組んだ「かがわぎん」は、瀬戸内で何に貸すか

預貸率81.6%、店舗90。高松市に本店を置く香川銀行。無尽を源流とし、徳島の銀行とともにトモニホールディングスを構成する香川の第二地方銀行。県境を越えたグループのなかで、地元によく貸すその数字と歴史を読む。

ニホン銀行紀行 ・ 香川県

香川県の県都・高松市に、香川銀行の本店はある。県内には四国を代表する大手地銀・百十四銀行があり、香川銀行はそれに次ぐ第二地方銀行として、瀬戸内の事業者に寄り添ってきた。地元では「かがわぎん」と呼ばれる。

香川県は、日本でいちばん面積の小さい県だ。だが、瀬戸内海に面したこの土地は、古くから海運と商業で栄え、いまも製造業やサービス業が集まる活気ある経済圏をなしている。本州と四国を結ぶ瀬戸大橋の四国側の玄関口でもあり、人と物の行き交う要衝だ。その小さくも豊かな土地で、香川銀行は中小の事業者に貸す役割を担ってきた。

この銀行を読むうえで欠かせないのが、海を越えた隣県との結びつきだ。香川銀行は、徳島県の銀行とともに、一つの金融グループを組んでいる。瀬戸内をはさんだ二つの県の銀行が手を結び、グループとして経営を支え合う——その姿を、数字とともに読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。香川銀行の預金は2兆411億円、貸出金は1兆6,655億円。預貸率は81.6%で、預金の8割を超える額を貸出に回している。自己資本比率は10.07%、不良債権比率は1.88%。店舗数は90、中小企業等への貸出残高は1兆4,211億円にのぼる。

目を引くのは、預貸率81.6%という高さだ。同じ香川県の大手・百十四銀行(76.7%)を上回る。集めた預金の8割を超える額を貸出に回しているということで、第二地銀として、地元によく貸そうとする姿勢がはっきり表れている。中小企業等向け貸出残高が貸出金の大半を占めることからも、地元の中小事業者を主な相手にしてきたことがうかがえる。自己資本比率10.07%という水準も、第二地銀として手堅い。

香川県内の二つの銀行(令和7年3月末)
 香川銀行百十四銀行
種別第二地方銀行地方銀行
預金20,411億円45,816億円
貸出金16,655億円35,128億円
預貸率81.6%76.7%
自己資本比率10.07%8.78%

県を代表するのは四国の大手・百十四銀行。預金量では2倍以上の差があるが、預貸率では香川銀行のほうが高い。規模に頼れない第二地銀が、よく貸すことで存在感を示す構図だ。その香川銀行は、徳島の銀行とグループを組んでいる。

無尽から始まり、徳島と組む——トモニグループへ

香川銀行の源流は、戦前から戦後にかけての無尽にさかのぼる。無尽とは、人々が金を出し合い、くじや入札で順番に融通し合う、庶民の相互金融のしくみだ。高松を中心とする無尽が、戦後の相互銀行法のもとで相互銀行となり、1989年(平成元年)に普通銀行へ転換して、いまの香川銀行となった。庶民の無尽から、相互銀行を経て、普通銀行へ——多くの第二地方銀行と同じ道を、香川銀行も歩んできた。

香川銀行のいまを特徴づけるのが、県境を越えた金融グループだ。2006年、香川銀行は、瀬戸内海をはさんだ隣県・徳島の銀行とともに、共同の持株会社トモニホールディングスを設立した。「ともに」歩むという名のこのグループのもとで、香川と徳島、二つの県の第二地銀が経営を一つにし、互いを支え合う体制を築いた。のちにこのグループには、大阪の銀行も加わっている。

香川銀行と同じトモニグループに属するのが、徳島大正銀行だ。徳島の銀行と大阪の銀行が合併して生まれたこの銀行と、香川銀行とが、一つの持株会社のもとで並び立っている。瀬戸内をはさんだ県どうしが、金融の面で結びついている——香川銀行は、その一方の柱を担っている。

81.6%を、グループに支えられる第二地銀から読む

香川銀行の預貸率81.6%は、地方銀行のなかでもよく貸す部類に入る。同じ県の大手・百十四銀行を上回るこの数字の背景には、二つの事情があると読める。

一つは、瀬戸内という商業の土地だ。面積は小さくとも、海運と商業で栄えてきた香川には、中小の事業者が数多くいる。貸す相手が一定数いる土地であることが、高い預貸率を支えている。もう一つは、第二地銀としての立ち位置だ。県を代表する大手とは別に、地元の中小事業者に貸すことを役割としてきた銀行として、規模では及ばずとも、貸出に積極的な姿勢を保ってきた。

そして、その経営は、いまトモニホールディングスという、県境を越えたグループに支えられている。地元・香川に貸すという役割を保ちながら、経営の基盤は隣県とのグループで支え合う——この形は、規模を求めて再編が進む地方銀行の、一つの生き方を示している。一つの県だけでは抱えきれない課題を、海を越えた結びつきで乗り越える。81.6%という数字は、その支えの上に立っている。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

瀬戸内の経済とともに

香川銀行の数字は、海運と商業で栄えた瀬戸内・香川という土地と、県境を越えたグループに支えられる第二地銀の歩みの、両方を映している。庶民の無尽から始まり、相互銀行を経て、いまは徳島・大阪の銀行とグループを組んで、香川の中小に貸し続けている。規模を求める再編の波のなかで、地元への密着と、グループの支えとを両立させる——その姿が、81.6%という数字に表れている。

銀行の数字は、その土地の経済と、その銀行が選んだ道を映す鏡だ。香川銀行を見れば、瀬戸内の商業の土地と、県境を越えたグループの一員として地元に貸す第二地銀の姿が浮かぶ。同じ香川県の大手の姿は、百十四銀行の記事を、同じトモニグループの銀行は徳島大正銀行の記事もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。香川県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、香川県の地域金融機関のページへ。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。預貸率が低い金融機関は、相対的に融資先を求めている可能性をうかがう一つの目安になる。ただし、有価証券運用を主体とする金融機関は、預貸率が低くても融資に積極的とは限らない。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(預貸率は貸出金÷預金で算出)。百十四銀行の数値も同出典。
沿革(高松を中心とする無尽を源流とし、戦後の相互銀行を経て1989年に普通銀行へ転換して香川銀行となったこと、2006年に徳島の銀行とともに共同持株会社トモニホールディングスを設立したこと、同グループにのちに大阪の銀行も加わり徳島大正銀行が同じグループに属すること)に関する記述=香川銀行および各種公開情報にもとづく。
香川県の地理・産業(日本一面積の小さい県、瀬戸内海に面した海運と商業、瀬戸大橋の四国側の玄関口)に関する記述=各種公開情報。

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