京都北都信用金庫——天橋立の丹後で、京都北部の信金は何を支えるか
預貸率45.3%、預金8,142億円、自己資本比率9.07%、不良債権比率5.29%。宮津市に本店を置く京都北都信用金庫。天橋立を擁する丹後・京都北部に根ざす信金が、何を支えるのか。京都市の信金と比べながら、その数字と歴史を読む。
京都府の宮津市に本店を置く京都北都信用金庫は、預金8,142億円を持つ信用金庫だ。店舗38。宮津市を中心に、京都府北部の丹後地域を広く地盤としている。京都府北部では最大規模の信用金庫だ。
本拠の宮津市は、日本三景のひとつ・天橋立で知られる、丹後地方の中心都市だ。丹後は、日本海に面し、古くから丹後ちりめんという絹織物の産地として栄えた。漁業や農業も盛んで、近年は天橋立や伊根の舟屋を訪ねる観光も地域の柱になっている。京都市からは山を越えた遠い土地で、京都府のなかでも独自の経済圏をなしてきた。京都北都信用金庫は、こうした天橋立を擁する丹後・京都北部に根ざしてきた信金だ。
この信金の数字で目を引くのは、預貸率45.3%という水準と、不良債権比率5.29%というやや高めの焦げ付きだ。預金の半分弱を貸出に回している。なぜ、丹後の信金は、こうした数字になるのか。同じ京都府でも経済圏の異なる京都市の信金と比べながら、数字を読みにいく。
数字を並べてみる
まず、絶対値から。京都北都信用金庫の預金は8,142億円、貸出金は3,689億円。預貸率は45.3%で、預金の半分弱を貸出に回している。自己資本比率は9.07%、不良債権比率は5.29%。店舗数は38、中小企業等への貸出残高は3,089億円。
同じ京都府で、京都市を中心に広域を地盤とする京都中央信用金庫(預貸率63.2%・不良債権比率1.91%)と比べると、京都北都信用金庫のほうが、預貸率は低く、焦げ付きは高い。京都北都信用金庫の預貸率45.3%は京都中央信用金庫(63.2%)を下回り、不良債権比率は京都北都信用金庫(5.29%)が京都中央信用金庫(1.91%)を上回る。事業者が密集する京都市の京都中央信用金庫と、人口の少ない丹後の京都北都信用金庫——同じ京都府でも、地盤とする土地の経済力の違いが、数字にはっきり表れていると読める。
| 京都北都信用金庫 | 京都中央信用金庫 | |
|---|---|---|
| 本店 | 宮津市 | 京都市 |
| 預金 | 8,142億円 | 5兆4,056億円 |
| 預貸率 | 45.3% | 63.2% |
| 不良債権比率 | 5.29% | 1.91% |
| 自己資本比率 | 9.07% | 11.24% |
同じ京都府でも、地盤とする経済圏が異なる。事業者が密集する京都市と、人口の少ない丹後。土地の経済力の違いが、預貸率と焦げ付きに表れている。
丹後ちりめんの里とともに——京都北都信用金庫の歩み
京都北都信用金庫は、丹後の中小・零細事業者の相互扶助の金融機関として育ってきた。丹後ちりめんの織元や関連業者、漁業者や農家、商店、そして住民——こうした人々が会員となり、預金を預け、必要なときに資金を借りる。京都北都信用金庫は、丹後・京都北部の信用金庫の合併を経て、いまの名となり、京都府北部に広く根ざす信金へと成長してきた。
丹後という土地は、信用金庫にとって、手応えのある地盤だ。丹後ちりめんという伝統産業は、和装需要の縮小という構造の変化に直面し、織元の数も減ってきた。漁業や農業も、担い手の高齢化という課題を抱える。地域の基幹産業が構造の変化に直面するなかで、地元の事業者を支え続ける——この役割が、不良債権比率5.29%というやや高めの焦げ付きの背景にあると読める。地域の事業の浮き沈みを引き受けることは、信用金庫の使命でもある。預貸率45.3%は、人口の少ない丹後で、貸せる相手に着実に貸してきた水準と読める。
45.3%を、丹後から読む
京都北都信用金庫の預貸率45.3%という水準と、不良債権比率5.29%というやや高めの焦げ付きは、天橋立を擁する丹後で、構造の変化に直面する地域の事業者を支え続けてきたことの表れだと読める。丹後ちりめんの里・宮津を中心とする京都府北部は、人口が少なく、和装需要の縮小という伝統産業の課題を抱える土地だ。そのなかで京都北都信用金庫は、地元の織元や漁業者、農家、商店に貸し、預金の半分弱を貸出に回してきた。
焦げ付きがやや高めなのは、地域の基幹産業が変化に直面するなかで、それでも地元を支え続けてきたことの裏返しでもある。人口の少ない丹後で、伝統産業の変化を引き受けながら、地元の事業者に貸し続ける——それが、京都北都信用金庫の数字に表れた生き方だと読める。条件の厳しい土地で地域を支える信金の、一つのかたちがここにある。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。
京都の経済とともに
京都北都信用金庫の数字は、天橋立と丹後ちりめんの里という土地と、そこで構造の変化に直面する地域を支え続ける信金の歩みの、両方を映している。人口の少ない丹後で、伝統産業の課題を引き受けながら、地元の中小・零細事業者を支えてきた。丹後ちりめんと漁業・農業、観光の経済が、45.3%という預貸率と、5.29%というやや高めの焦げ付きに表れている。
銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。京都北都信用金庫を見れば、丹後・京都北部の経済と、そこで地域を支える信金の姿が浮かぶ。京都府の他の金融機関は、京都市を地盤とする京都中央信用金庫、同じく京都市の京都信用金庫もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。京都府の他の金融機関と並べて眺めたい方は、京都府の地域金融機関のページへ。
執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)
出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。京都中央信用金庫の数値も同出典。
沿革・地域(宮津市に本店を置き、京都府北部の丹後を地盤とする信用金庫であること、合併を経て京都府北部に広く根ざす信金になったこと、宮津が日本三景・天橋立で知られる丹後の中心都市であること、丹後が日本海に面し丹後ちりめんという絹織物の産地として栄え漁業・農業も盛んで天橋立や伊根の舟屋の観光が地域の柱になっていること、和装需要の縮小という構造変化に直面していること)に関する記述=京都北都信用金庫および各種公開情報にもとづく。
宮津・丹後の地理・経済(宮津、天橋立、丹後、丹後ちりめん、絹織物、伊根の舟屋、和装)に関する記述=各種公開情報。