¥Today ニホン銀行紀行

京都信用金庫——「コミュニティ・バンク」をうたう信金は、古都で何に貸すか

預貸率65.2%、預金2.9兆円、店舗95。京都市に本店を置く京都信用金庫。「コミュニティ・バンク」をうたい、よく貸す京都の大型信用金庫。同じ京都の全国最大級の信金とも比べ、その数字と歴史を読む。

ニホン銀行紀行 ・ 京都府

京都府京都市に本店を置く京都信用金庫は、地元で「京信」と呼ばれる信用金庫だ。預金2兆8,619億円、店舗95。信用金庫のなかでも全国屈指の規模を持つ大型信金である。京都市を中心に、京都府内から大阪府・滋賀県へも店舗を広げ、地元の中小企業と暮らしを支えてきた。

本拠の京都は、千年の都として知られる古都だ。寺社や観光だけでなく、西陣織や京友禅といった伝統産業、清酒や和菓子といった食文化、そして任天堂・京セラ・村田製作所・島津製作所に代表される先端的なものづくり企業まで、伝統と革新が共存する独特の経済を持つ。無数の中小事業者がその裾野に広がり、京都信用金庫はそうした事業者に資金を供給してきた。

この信金が知られるのは、早くから「コミュニティ・バンク」という考え方をうたってきたことだ。単に資金を貸すだけでなく、地域の人と人、事業と事業をつなぐ場であろうとする姿勢である。その理念は、数字にも表れている。預貸率65.2%——信用金庫としてよく貸す部類だ。同じ京都には全国最大級の信金もある。両者を比べながら、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。京都信用金庫の預金は2兆8,619億円、貸出金は1兆8,654億円。預貸率は65.2%で、預金の6割超を貸出に回している。自己資本比率は8.4%、不良債権比率は5.35%。店舗数は95、中小企業等への貸出残高は1兆7,392億円にのぼる。

目を引くのは、預貸率65.2%という高さだ。信用金庫としてよく貸す部類に入り、古都・京都の幅広い事業者に資金を向けている。同じ京都市には、預金5.4兆円という全国最大級の規模を誇る京都中央信用金庫(預貸率63.2%)があり、二つの巨大信金が同じ街に並び立つ。京都信用金庫の預貸率65.2%は、その京都中央信金をわずかに上回る。同じ古都を地盤に、二つの大型信金がともによく貸しているのだ。

京都市の二つの大型信用金庫(令和7年3月末)
 京都信用金庫京都中央信用金庫
本店京都市京都市
預金28,619億円54,056億円
貸出金18,654億円34,156億円
預貸率65.2%63.2%
不良債権比率5.35%1.91%

同じ京都市に本店を置く二つの大型信金。規模では全国最大級の京都中央信用金庫が上回るが、預貸率では京都信用金庫がわずかに高い。古都に並び立つ二つの巨大信金が、ともによく貸している。

「コミュニティ・バンク」をうたって——京都信用金庫の歩み

京都信用金庫は、京都の中小事業者の相互扶助の金融機関として育ってきた。合併を重ねて規模を広げながら、早くから「コミュニティ・バンク」という理念を打ち出してきたことで知られる。これは、金融機関を単なる資金の貸し手ではなく、地域社会のつながりを生み出す場として捉える考え方だ。事業者同士を引き合わせ、起業を後押しし、地域の課題に関わる——そうした金融の枠を超えた役割を、早くから志向してきた。

京都という土地は、その理念とよく響き合う。西陣織や京友禅の伝統工芸、清酒や和菓子の老舗、そして世界的なものづくり企業まで、京都の経済は多層的だ。長く続く老舗と、新しく生まれるベンチャー企業が共存する。こうした多様な事業者をつなぎ、それぞれに資金を届けることが、コミュニティ・バンクをうたう京都信用金庫の役割になってきた。

65.2%を、古都の信金から読む

京都信用金庫の預貸率65.2%は、信用金庫としてよく貸す部類に入る。この背景には、古都・京都という、多様な事業者が厚く集まる土地がある。伝統産業、食文化、先端的なものづくり、観光関連——京都には幅広い資金需要があり、それが高めの預貸率を支えている。「コミュニティ・バンク」として、事業者に深く関わって貸す姿勢も、貸出を後押ししていると読める。

一方で、不良債権比率5.35%は、同じ京都の京都中央信用金庫(1.91%)と比べるとやや高めだ。これは、伝統産業の構造変化や、幅広く貸すなかで生じる焦げ付きを映しているとも読める。それでも、地域の事業者に深く関わって貸すという姿勢を、京都信用金庫は保ってきた。規模を競うだけでなく、地域のつながりを生む場であろうとする——その理念が、よく貸す数字の背景にある。同じ古都に並び立つ二つの巨大信金が、それぞれの個性で京都経済を支えている。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

京都の経済とともに

京都信用金庫の数字は、伝統と革新が共存する古都・京都という土地と、「コミュニティ・バンク」を掲げてよく貸す大型信金の歩みの、両方を映している。合併を重ねて全国屈指の規模に育ち、地域のつながりを生む場であろうとしながら、多様な事業者に資金を届けてきた。古都の幅広い経済に深く関わる姿が、65.2%という高めの預貸率に表れている。

銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。京都信用金庫を見れば、伝統と革新が共存する京都の経済と、コミュニティを志向する大型信金の姿が浮かぶ。同じ京都市の、全国最大級の信金は、京都中央信用金庫の記事もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。京都府の他の金融機関と並べて眺めたい方は、京都府の地域金融機関のページへ。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。預貸率が高い金融機関は、相対的に地元の資金需要を多く取り込んでいる一つの目安になる。ただし、自己資本の厚さや焦げ付きの低さとあわせて見ないと、健全さまではわからない。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。京都中央信用金庫の数値も同出典。
沿革(京都市に本店を置く信用金庫であること、合併を重ねて全国屈指の規模となったこと、京都府内から大阪府・滋賀県へも店舗を広げること、早くから「コミュニティ・バンク」の理念をうたってきたこと)に関する記述=京都信用金庫および各種公開情報にもとづく。
京都の地理・産業(古都・京都市、西陣織・京友禅などの伝統産業、清酒・和菓子の食文化、任天堂・京セラ・村田製作所・島津製作所などのものづくり企業、観光)に関する記述=各種公開情報。

← ニホン銀行紀行へ | ¥Today トップへ