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三十三銀行——「三+三」で生まれた銀行は、三重で何に貸すか

預貸率78.5%、預金3.9兆円、当期純利益86億円。四日市市に本店を置く三十三銀行。三重銀行と第三銀行が2021年に合併して生まれた三重県2位の地銀が、東海三県で貸す姿を読みます。

ニホン銀行紀行 ・ 三重県

三重県四日市市に本店を置く三十三銀行は、三十三フィナンシャルグループ傘下の地方銀行です。預金3兆8,697億円、貸出金3兆372億円、店舗172。三重県では百五銀行に次ぐ2番手の地銀で、四日市市の指定金融機関を務めています。三重県を中心に、愛知県・岐阜県の一部までを営業区域とする、東海の地銀です。

本拠地の三重県は、名古屋を中心とする中京経済圏の一角をなし、北勢の四日市コンビナートをはじめとする製造業が厚い県です。本店のある四日市は石油化学・電子部品などの工業都市であり、県全体でも自動車関連をはじめとするものづくりが盛んです。一方、伊勢神宮や熊野古道を擁する観光、伊勢志摩の真珠・水産といった顔も持ちます。名古屋圏に隣接する工業県という土地柄が、三十三銀行の数字を読む鍵になります。

この銀行の成り立ちは、その独特な行名に表れています。三重銀行と第三銀行は2018年に三十三フィナンシャルグループを設立して経営統合し、2021年5月1日に両行が合併して三十三銀行が発足しました。存続会社は第三銀行ですが、本店・銀行コードは三重銀行のものを継承し、本社機能は四日市の三重銀行本店に集約されました。行名の「三十三」は、旧・三重銀行と旧・第三銀行を足す(プラスする)ことから「三+三」とし、『+』を漢数字の『十』に見立てたものです。県内2位同士が一つになり、東海地方の地銀では5番目の規模となりました。数字の面で目を引くのは、預貸率78.5%という、しっかり貸す水準です。

まず、数字を並べる

三十三銀行の預金は3兆8,697億円、貸出金は3兆372億円、預貸率78.5%。自己資本比率は8.18%、不良債権比率は2.29%。中小企業等向けの貸出残高は2兆4,231億円にのぼります。2025年3月期の三十三フィナンシャルグループ連結当期純利益は86億円でした。

三十三銀行(令和7年3月末)
預金3兆8,697億円
貸出金3兆372億円
預貸率78.5%
自己資本比率8.18%
不良債権比率2.29%
中小企業等向け貸出残高24,231億円
当期純利益(FG連結)86億円
店舗172店

預金3.9兆円・預貸78.5%。県内2位同士が合併した東海の地銀の数字。

78.5%を、中京経済圏という土地から読む

預貸率78.5%は、地方銀行のなかでしっかりと貸している水準です。集めた預金の8割近くを貸出に回している。これは、三十三銀行が名古屋を中心とする中京経済圏という、資金需要の厚い土地を地盤にしていることと無縁ではありません。

三重県北部は名古屋経済圏に組み込まれ、四日市のコンビナートをはじめとする製造業の集積があります。さらに三十三銀行は、三重だけでなく隣接する愛知・岐阜にも営業区域を広げています。ものづくりの盛んな中京圏に貸し先を持つことが、預金を地元で貸し切る力を支えていると読めます。県内の製造業とその下請け、四日市・津・松阪の商工業、伊勢志摩の観光・水産、そして住宅ローンが、その貸出の中心です。中小企業等向けの貸出残高2兆4,231億円という規模は、三重と東海の事業者の資金需要を広く引き受けてきた証です。

不良債権比率2.29%は、地銀の平均と比べてやや高めの水準です。県内2位同士の合併を経て、両行が抱えていた取引先を引き継いだ経緯や、中小企業向け融資の厚さを映しているとも読めます。自己資本比率8.18%は国内基準(4%)を上回り、合併後の収益も当期純利益86億円と安定しています。もちろん、これらの比率には経営方針や景気も絡むため断定はできませんが、中京経済圏に隣接する三重という土地と、県内2位同士の合併という成り立ちを抜きに、この数字は読めません。

三十三銀行が示すのは、県内2位同士が一つになり、中京経済圏を地盤に貸す姿です。「三+三」で生まれた銀行が、ものづくりの厚い東海三県に貸し先を広げる。預貸率78.5%という水準は、その資金需要の厚い土地を映していると読めます。

同じ県のトップバンクと並べてみる

本紀行には、三重県のトップバンクも登場しています。百五銀行です。百五銀行は第百五国立銀行に名を継ぐ三重県トップの地銀で、預貸率は84.9%でした。トップバンクの百五銀行(84.9%)と、合併で2位となった三十三銀行(78.5%)——同じ三重県で、明治の国立銀行に源を持つトップバンクと、平成・令和の合併で生まれた2番手とが、それぞれの成り立ちを背負って県経済を支えていることが見えてきます。県内最大の地銀の姿は、百五銀行の記事もあわせてどうぞ。

借り手にとっての意味

合併で規模を増した2番手の地銀は、三重・東海の事業者にとって、トップバンクと並ぶ有力な選択肢です。二行の取引基盤を引き継ぎ、東海三県に広がる店舗網は、地域を越えて事業を営む企業にとって心強いものです。預貸率は貸出への姿勢の表れとも読めますが、それが個別の融資の可否を保証するものではありません。預貸率という数字の読み方は、預貸率の読み方であらためて整理しています。

数字は、合併で生まれた立ち位置を映す

預貸率78.5%という水準は、県内2位同士が合併して生まれ、中京経済圏という資金需要の厚い土地で貸し続ける三十三銀行の姿を映しています。明治の国立銀行に源を持つ地銀もあれば、三十三銀行のように足し算で生まれた地銀もある。数字は、その金融機関がどんな成り立ちで、どんな土地に向き合ってきたかを語ります。三十三銀行の数字は、再編を経て東海に立つ地銀の、いまの記録です。

各地の金融機関には、それぞれの土地と歴史の事情が刻まれた、それぞれの生き方があります。三重県の他の金融機関とあわせて眺めたい方は、三重県の地域金融機関のページもどうぞ。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。預貸率が低い金融機関は、相対的に融資先を求めている可能性をうかがう一つの目安になる。ただし、有価証券運用を主体とする金融機関は、預貸率が低くても融資に積極的とは限らない。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(預貸率は貸出金÷預金で算出)。当期純利益=三十三フィナンシャルグループ2025年3月期決算(連結86億円)。
三十三銀行の沿革(三重銀行と第三銀行が2018年に三十三フィナンシャルグループを設立して経営統合、2021年5月1日に合併して発足、存続会社は第三銀行だが本店・銀行コードは三重銀行のものを継承、行名は「三+三」を漢数字の十に見立てたもの)、本店所在地(四日市市)、三重県では百五銀行に次ぐ2位・東海地方で5番目の規模であること、三重・愛知・岐阜を営業区域とすることに関する記述=三十三銀行・三十三フィナンシャルグループおよび各種公開情報にもとづく。
三重県の経済(四日市コンビナートなどの製造業、中京経済圏、伊勢志摩の観光・水産)に関する記述=各種公開情報。
百五銀行の位置づけ=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末および本紀行既出記事。

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