宮崎太陽銀行——四つの無尽から生まれた第二地銀は、南国で何に貸すか
預貸率73.3%、預金7,623億円。宮崎市に本店を置く宮崎太陽銀行。県内の4無尽会社の合併から生まれた第二地銀が、宮崎銀行というトップバンクの隣で、南国の中小に貸す姿を読みます。
宮崎県宮崎市広島に本店を置く宮崎太陽銀行は、地元で親しまれる第二地方銀行です。預金7,623億円、貸出金5,585億円、店舗53。宮崎県には宮崎銀行というトップバンクがありますが、宮崎太陽銀行は県内2番手として、地元の中小・零細の事業者に深く根ざしてきた銀行です。「地域の繁栄なくして銀行の発展なく、銀行の発展なくして地域への奉仕なし」を創業以来のモットーに掲げています。
本拠地の宮崎県は、日向灘に面した日本有数の農業県であり、畜産・園芸とプロスポーツのキャンプ地・観光で知られる南国です。温暖な気候を生かした畜産(肉用牛・豚・鶏)、ピーマンやマンゴーなどの施設園芸、そして観光が経済を支えています。一方で、大都市から遠く、人口減少が進む地方県でもあります。この南国の農と食の土地柄が、宮崎太陽銀行の数字を読む鍵になります。
宮崎太陽銀行の成り立ちは、複数の無尽の合流から始まります。1941年(昭和16年)8月、宮崎県内の4つの無尽会社(日向・日州・高鍋・昭明)が合併して、宮崎無尽株式会社が設立されました。その後、1951年に宮崎相互銀行へ転換し、1989年に普通銀行へ転換して現在の宮崎太陽銀行となりました。県内の小さな相互金融が一つにまとまって育つという、第二地方銀行に典型的な成り立ちです。2010年には、金融機能強化法に基づく公的資金の注入を受け、財務基盤を強化しています。数字の面で目を引くのは、預貸率73.3%という、しっかり貸す水準です。
まず、数字を並べる
宮崎太陽銀行の預金は7,623億円、貸出金は5,585億円、預貸率73.3%。自己資本比率は8.23%、不良債権比率は2.27%。中小企業等向けの貸出残高は4,769億円にのぼります。
| 預金 | 7,623億円 |
|---|---|
| 貸出金 | 5,585億円 |
| 預貸率 | 73.3% |
| 自己資本比率 | 8.23% |
| 不良債権比率 | 2.27% |
| 中小企業等向け貸出残高 | 4,769億円 |
| 店舗 | 53店 |
預金7,623億円・預貸73.3%。南国の第二地銀が、トップバンクの隣で中小に貸す数字。
73.3%を、第二地銀の立場から読む
預貸率73.3%は、地方銀行のなかでしっかりと貸している水準です。集めた預金の7割超を貸出に回している。これは、宮崎太陽銀行が県内のトップバンクではなく、第二地方銀行という立場にあることと無縁ではありません。
宮崎県には、県内シェアの高い宮崎銀行というトップバンクがあります。そのなかで第二地銀の宮崎太陽銀行は、宮崎銀行が取りきらない中小・零細の事業者に、より深く食い込むことで存在感を保ってきた。第二地銀は一般に、トップバンクよりも中小企業とのリテール取引が厚く、預金を地元の貸出に回す比率が高くなる傾向があります。県内2番手として地元の小さな事業者に深く貸すという姿勢が、預貸率73.3%という水準を支えていると読めます。南国の畜産・園芸といった農業、食品加工、地場の建設・小売、住宅ローンが、その貸出の中心です。中小企業等向けの貸出残高4,769億円という規模は、宮崎の小さな事業者の資金需要を広く引き受けてきた証です。
不良債権比率2.27%は、地銀として標準的な水準です。中小・零細により深く貸す第二地銀の立場や、農業・観光という景気や天候に左右されやすい産業を抱える土地柄を考えれば、抑えられた数字といえます。自己資本比率8.23%は国内基準(4%)を上回り、公的資金注入を経て財務基盤を固めてきたことがうかがえます。もちろん、これらの比率には経営方針や景気も絡むため断定はできませんが、トップバンクの隣で中小に深く貸す南国の第二地銀という立場を抜きに、この数字は読めません。
同じ県のトップバンクと並べてみる
本紀行には、宮崎県のトップバンクも登場しています。宮崎銀行です。宮崎銀行は畜産・園芸と観光の南国を支える県のトップバンクで、預貸率は76.7%でした。トップバンクの宮崎銀行(76.7%)が県内の大口にも厚く貸すのに対し、第二地銀の宮崎太陽銀行(73.3%)は中小・零細により深く食い込むことで存在感を保ってきた——同じ南国の土地で、一番手と二番手がそれぞれの役割を担っていることが見えてきます。県内最大の地銀の姿は、宮崎銀行の記事もあわせてどうぞ。
借り手にとっての意味
第二地銀は、トップバンクとは異なる距離感で地域の事業者に向き合う選択肢です。中小・零細により深く食い込み、地元に密着した取引を重ねてきた歴史は、小さな事業者にとって心強いものです。預貸率は貸出への姿勢の表れとも読めますが、それが個別の融資の可否を保証するものではありません。預貸率という数字の読み方は、預貸率の読み方であらためて整理しています。
数字は、南国の二番手の立ち位置を映す
預貸率73.3%という水準は、四つの無尽から生まれた第二地銀が、トップバンクを擁する南国で、地元の中小に深く貸し続けてきた姿を映しています。県を代表するトップバンクもあれば、その隣で中小に食い込む第二地銀もある。数字は、その金融機関がどんな立場で、どんな相手に向き合ってきたかを語ります。宮崎太陽銀行の数字は、南国の農と食の事業者に根ざす第二地銀の、いまの記録です。
各地の金融機関には、それぞれの土地と歴史の事情が刻まれた、それぞれの生き方があります。宮崎県の他の金融機関とあわせて眺めたい方は、宮崎県の地域金融機関のページもどうぞ。
執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)
出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(預貸率は貸出金÷預金で算出)。
宮崎太陽銀行の沿革(1941年8月に宮崎県内の4無尽会社(日向・日州・高鍋・昭明)の合併で宮崎無尽として設立、1951年に宮崎相互銀行へ転換、1989年に普通銀行へ転換して宮崎太陽銀行となる、2010年に金融機能強化法に基づく公的資金の注入を受けた)、本店所在地(宮崎市広島)、福岡・大分・鹿児島にも店舗を展開すること、創業以来のモットーに関する記述=宮崎太陽銀行および各種公開情報にもとづく。
宮崎県の経済(畜産・園芸の農業、観光、人口減少)に関する記述=各種公開情報。
宮崎銀行の位置づけ=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末および本紀行既出記事。