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上越信用金庫——豪雪の城下町・高田と直江津で、じょうしんはなぜ預金の3割しか貸さないか

預貸率33.7%、預金2,195億円、自己資本比率13.04%、不良債権比率6.51%。新潟県上越市に本店を置く上越信用金庫。二つの信金が合併して生まれ、上越市唯一の金融機関として、預金の3割しか貸さない信金が、なぜそうなるのか。同じ新潟の信金・信組と比べながら、その数字と歴史を読む。

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新潟県の上越市に本店を置く上越信用金庫は、預金2,195億円を持つ信用金庫だ。店舗14。「じょうしん」の呼び名で知られ、上越市の中央に本店を構え、同じ上越地方の糸魚川市にも店舗を展開する。豪雪の上越地方に根ざす信金だ。

本拠の上越市は、新潟県南西部、日本海に面した豪雪と歴史の地だ。高田(たかだ)は譜代大名の城下町として栄え、いまも雁木(がんぎ)の町並みが残る。直江津(なおえつ)は古くからの港町であり、関川の河口に開けた交通の要衝だ。冬には日本有数の豪雪に見舞われるこの地は、上杉謙信の春日山城でも知られる。上越信用金庫は、上越市に本店を置く唯一の金融機関として、こうした雪国の城下町と港町に根ざし、地域の暮らしと商いを支えてきた。2025年(令和7年)7月には創業100周年を迎えた。

この信金の数字で最も目を引くのは、預貸率33.7%という低さだ。預金2,195億円に対し、貸出金は740億円。預かったお金の3割ほどしか貸していない。一方で自己資本比率は13.04%。なぜ、上越唯一の信金が、これほど貸さないのか。同じ新潟の信金・信組とも比べながら、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。上越信用金庫の預金は2,195億円、貸出金は740億円。預貸率は33.7%で、預金の3割ほどしか貸出に回していない。自己資本比率は13.04%、不良債権比率は6.51%。店舗数は14。

同じ新潟県の信金・信組と比べてみる。県都・新潟の新潟信用金庫(預貸率51.4%・預金2,979億円)、金属加工のまち燕の協栄信用組合(預貸率47.5%・自己資本12.99%)と並べると、上越信用金庫の預貸率33.7%は、これらより大きく低い。新潟信金が5割超、協栄信組が5割近くを貸すなか、上越信金は3割ほどにとどまる。これは、豪雪地帯で大型の資金需要が乏しいことと、貸出を絞って資本を守る経営の、両方を映していると読める。雪深い地方都市では、大きな設備投資や旺盛な企業の資金需要が生まれにくい。預金は地域から集まっても、それを吸収するだけの貸出先は限られる。一方で不良債権比率6.51%はやや高めで、人口減少の進む地方の現実を引き受けていることをうかがわせる。

新潟県の協同組織金融機関(令和7年3月末)
 上越信用金庫新潟信用金庫協栄信用組合
業態信用金庫信用金庫信用組合
預貸率33.7%51.4%47.5%
自己資本比率13.04%15.46%12.99%
不良債権比率6.51%2.32%5.06%

いずれも新潟県の機関。上越は三者のなかで預貸率が際立って低い。豪雪地帯という地盤を映す。

高田興業信用組合から——上越信用金庫の歩み

上越信用金庫の源流は、1925年(大正14年)10月に設立された「有限責任高田興業信用組合」にさかのぼる。城下町・高田に生まれたこの組合は、1938年(昭和13年)に高田市信用組合、1951年(昭和26年)に信用金庫法により高田市信用金庫となった。一方、港町・直江津にも信用金庫が育っていた。そして2004年(平成16年)1月、直江津信用金庫と高田信用金庫が合併し、上越信用金庫が誕生した(存続金庫は直江津信用金庫)。城下町・高田と港町・直江津——上越地方の二つの中心が、一つの信金のもとに結ばれた。本店は上越市中央に置かれ、2025年(令和7年)7月に創業100周年を迎えた。「地域社会の繁栄を願い、人々の夢の実現と中小企業の発展に貢献する」を経営理念に掲げている。

豪雪の上越地方という土地は、信用金庫にとって独特の地盤だ。城下町と港町を抱えるとはいえ、人口減少と高齢化が進み、大きな工業集積や旺盛な企業の資金需要があるわけではない。冬の豪雪は経済活動の制約にもなる。預金は地域から集まっても、それを吸収するだけの大型の貸出先は乏しい。だから貸出は預金ほどには伸びず、預貸率は3割台にとどまる。これは、貸す力がないというより、地域の身の丈に合った貸出に徹し、無理に貸さずに資本を守る守りの経営の表れだと読める。上越市に本店を置く唯一の金融機関として、地域に必要とされる存在であり続けることを使命とする。創業支援相談センターを設けて起業を支えるなど、地域の未来づくりにも取り組んできた。不良債権比率6.51%というやや高めの数字は、人口減少の進む地方の現実を引き受けながら歩んでいることを映していると読める。

33.7%を、上越から読む

上越信用金庫の預貸率33.7%という低さは、大型の資金需要が乏しい豪雪の上越地方で、地域の身の丈に合った貸出に徹してきたことの表れだと読める。城下町・高田と港町・直江津に根ざし、信金として貸せる相手に貸してきた。預金は集まっても、貸出は預金ほどには伸びない。

そのうえで、自己資本比率13.04%という資本を保っていることが、この信金の性格を物語る。貸出を絞り、資本を守り、慎重に運用する。無理に貸さず、地域とともに健全であろうとする守りの経営——その姿勢が、33.7%という低い預貸率に表れていると読める。預貸率が低いこと自体は、その信金が悪いことを意味しない。土地の経済が大型の資金需要を生まないとき、貸出を絞って資本を守ることは、ひとつの堅実な選択だ。上越市唯一の金融機関として、雪国の経済とともに100年を歩んできた。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

新潟の経済とともに

上越信用金庫の数字は、豪雪の上越地方という土地と、二つの信金が一つになって歩んできた歴史の、両方を映している。地域の身の丈に合った貸出に徹し、資本を守りながら、城下町・高田と港町・直江津の暮らしと商いを支えてきた。大型の資金需要が乏しい雪国の土地柄が、33.7%という低い預貸率に表れている。

銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。上越信用金庫を見れば、豪雪の上越地方の経済と、そこで守りの経営に徹する唯一の信金の姿が浮かぶ。新潟県の他の金融機関は、県都の新潟信用金庫、金属加工のまち燕の協栄信用組合、県内最大の地銀第四北越銀行もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。新潟県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、新潟県の地域金融機関のページへ。

上越信用金庫と融資のはなし

上越信用金庫は、豪雪の上越地方に根ざし、上越市唯一の金融機関として地域を支える信用金庫です。地元の事業者に貸す信金とどう付き合うか、口座づくりから与信の考え方まで、知っておきたい銀行取引の基礎をまとめました。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。3割台という低い水準は、土地に大きな資金需要が乏しいことや、貸出を絞って資本を守る経営の表れであることが多い。低いこと自体は良し悪しを意味せず、自己資本比率とあわせて見ることで、その信金の姿が見えてくる。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。新潟信用金庫・協栄信用組合の数値も同出典。
沿革(源流が1925年設立の「有限責任高田興業信用組合」にさかのぼること、1951年に高田市信用金庫となったこと、2004年1月に直江津信用金庫と高田信用金庫が合併して上越信用金庫が誕生したこと〔存続金庫は直江津信用金庫〕、本店が上越市中央にあること、上越市内のほか糸魚川市に店舗を持つこと、上越市に本店を置く唯一の金融機関であること、2025年7月に創業100周年を迎えたこと、創業支援相談センターを設けていること)=上越信用金庫および各種公開情報にもとづく。
上越の地理・歴史(上越市、高田、雁木、城下町、直江津、港町、関川、春日山城、豪雪)に関する記述=各種公開情報・歴史的事実。

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