柏崎信用金庫——日本海と原発のまち・柏崎で、信金は何に貸すか
預貸率47.8%、自己資本比率13.13%、不良債権比率1.79%。柏崎市に本店を置く柏崎信用金庫。1924年創業の信金が、日本海と原発のまちに根ざして示す、低い不良債権の数字を読みます。
- 2026.06.19【保証協会】26年度補正予算成立、セーフティネット保証5号の事前相談を開始。指定業種で、直近月の売上高が前年同月比で5%以上減少等の要件(経産省PDF)を満たす中小事業者が対象。
新潟県柏崎市に本店を置く柏崎信用金庫は、預金1,012億円、貸出金484億円、店舗7。「柏崎しんきん」の愛称で、柏崎市を中心に、新潟県中越の日本海沿岸地域を地盤とする信用金庫です。
本店のある柏崎市は、新潟県の中越地方、日本海に面したまちです。米山を背に日本海を望む風光のなかで、漁業や米作、地場の製造業が地域経済を支えてきました。柏崎を語るうえで欠かせないのが、世界最大級の規模を持つ東京電力・柏崎刈羽原子力発電所の立地です。原発は、関連の雇用や地域経済への影響を通じて、まちのありように深く関わってきました。日本海の風土と、巨大なエネルギー施設を抱える——この土地柄が、柏崎信用金庫の数字を読む鍵になります。
この信用金庫の成り立ちは、1924年に設立された「有限責任柏崎信用組合」にさかのぼります。改組を重ね、1951年に信用金庫法に基づき「柏崎信用金庫」となりました。2024年に創業100周年を迎えた、中越の古い信金です。数字の面で目を引くのは、不良債権比率1.79%という低さです。
まず、数字を並べる
柏崎信用金庫の預金は1,012億円、貸出金は484億円、預貸率47.8%。自己資本比率は13.13%、不良債権比率は1.79%。中小企業等向けの貸出先は3,878件です。
| 預金 | 1,012億円 |
|---|---|
| 貸出金 | 484億円 |
| 預貸率 | 47.8% |
| 自己資本比率 | 13.13% |
| 不良債権比率 | 1.79% |
| 中小企業等向け貸出先 | 3,878件 |
| 店舗 | 7店 |
預貸率47.8%・不良債権1.79%。日本海のまちに根ざす信金の、低い不良債権を読む。
47.8%と1.79%を、日本海のまちから読む
預貸率47.8%は、信用金庫として中庸の水準です。本紀行で見てきた、預貸率が3割台にとどまる地方の信金と比べれば、しっかり貸している方に入ります。とりわけ目を引くのが、不良債権比率1.79%という低さです。地方の信用金庫の不良債権比率が3〜6%台になることも珍しくないなかで、1.79%は際立って低い水準で、貸出の質の高さをうかがわせます。自己資本比率13.13%という相応の守りとあわせれば、堅実に貸し、かつ焦げ付かせない経営の輪郭が浮かびます。
柏崎信用金庫が貸す相手は、柏崎を中心とする中越沿岸の中小事業者です。漁業や米作、地場の製造業、まちの商業や建設業が、その融資先に含まれると考えられます。原発関連の雇用が一定の経済的な厚みをもたらしてきた面もあり、こうした地盤が、中庸の預貸率と低い不良債権を支えている可能性があります。3,878件という中小企業等向けの貸出先は、日本海のまちの小さな事業者に資金を届けてきたこの信金の地盤を示しています。
もちろん、これらの比率には個別の事情や経営方針も絡むため断定はできませんが、日本海と巨大なエネルギー施設を抱える柏崎という土地を抜きに、この信金の数字は読めません。創業100年という歴史の厚みも、低い不良債権という堅実さの背景にあると読めます。
なぜ、こうなったのか——制度と地域
柏崎信用金庫が地元に貸す信金であることの背景には、信用金庫という制度があります。信用金庫が融資できる相手は原則として「会員」に限られ、その資格は信用金庫法10条1項により、信用金庫の「地区」の中に住所や事業所がある人、その地区で働く人、と定められています。事業者には規模の制限もあり、大企業は会員になれません。
この制度のもとでは、貸す相手はおのずと地元の中小事業者や住民に絞られます。柏崎信用金庫にとって、その「地元」とは、漁業・米作・製造業を柱とし、巨大なエネルギー施設を抱える柏崎を中心とした中越沿岸の地域経済です。創業から100年、地区の事業者と長く付き合うなかで相手をよく知り、堅実な貸出を重ねてきたことが、低い不良債権という数字に表れていると読めます。地区内の中小に絞られるという制度の枠が、結果として地域に深く根ざした堅実な信金の姿を形づくっています。
同じ県の、金融機関と並べてみる
同じ新潟県を代表する地銀として、第四北越銀行(預貸率65.7%)も本紀行に登場しています。県土全体を相手にする県地銀・第四北越銀行(預貸率65.7%)と、日本海のまち・柏崎に根ざすこの柏崎信用金庫(預貸率47.8%)とを並べると、同じ新潟でも、県全域を相手にする地銀と、特定地域に密着する信金とで、貸す範囲も性格も異なることが見えてきます。県全体を支える地銀の姿は、第四北越銀行の記事もあわせてどうぞ。
同じ中越には、隣の長岡に根ざす長岡信用金庫があります。預貸率40.4%の長岡信用金庫と、預貸率47.8%の柏崎信用金庫は、ともに中越に根ざす信金どうしです。米と工業の長岡と、日本海と原発の柏崎。近接するまちの信金の姿は、長岡信用金庫の記事もあわせてどうぞ。
借り手にとっての意味
地元に根ざす信用金庫は、地域の中小事業者にとって、身近な相談相手です。とりわけ、漁業や製造業を担う柏崎の事業者にとって、土地の事情を知る信金の存在は心強いものです。低い不良債権は、堅実に貸す姿勢の表れとも読めますが、それが個別の融資の可否を保証するものではありません。預貸率という数字の読み方は、預貸率の読み方であらためて整理しています。
数字は、根を張る土地を映す
預貸率47.8%という中庸の水準と、不良債権比率1.79%という低さは、日本海と巨大なエネルギー施設を抱える柏崎に根を張り、地元に堅実に貸してきた信金の姿を映しています。数字は、その金融機関がどんな土地で、誰に向き合ってきたかを語ります。柏崎信用金庫の数字は、創業100年、日本海のまちに根ざす「柏崎しんきん」の、いまの記録です。
各地の金融機関には、それぞれの土地と産業の事情が刻まれた、それぞれの生き方があります。新潟県の他の金融機関とあわせて眺めたい方は、新潟県の地域金融機関のページもどうぞ。
柏崎信用金庫は、地域に根ざした信用金庫です。借りる・備えるのどちらを考えるにしても、土台になるのは日頃の取引と信用。口座づくりから保証制度まで、どんな立場でも知っておきたい融資・銀行取引の基礎をまとめました。
- → 口座を育てる
- → 積立で信用をつくる
- → 与信枠の考え方
- → 創業支援保証とは
- → セーフティネット保証とは
執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)
出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出先件数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(預貸率は貸出金÷預金で算出)。
柏崎信用金庫の沿革(1924年に有限責任柏崎信用組合として設立、改組を経て1951年に信用金庫法に基づき柏崎信用金庫へ改組、2024年に創業100周年)、「柏崎しんきん」の愛称に関する記述=柏崎信用金庫公開情報・各種公開情報にもとづく。
柏崎市の日本海・米山・漁業・米作、柏崎刈羽原子力発電所の立地に関する記述=各種公開情報。
第四北越銀行・長岡信用金庫の数値=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末。
信用金庫の地区・会員資格に関する記述=金融庁 金融審議会「協同組織金融機関のあり方に関するワーキング・グループ」資料『協同組織金融機関の「地区」のあり方』(2008年6月20日・神吉正三)。
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