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朝銀西信用組合——西日本に広がる朝銀系信組は、何に貸すか

預貸率70.9%、自己資本比率7.72%、不良債権比率3.28%。岡山市に本店を置く朝銀西信用組合。各地の朝銀を統合し、中国・四国・九州に広がる在日朝鮮人系信用組合の数字を読みます。

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岡山県岡山市に本店を置く朝銀西信用組合は、預金1,886億円、貸出金1,336億円、店舗13。本部を広島市に置き、中国・四国・九州にまたがる西日本一帯を地盤とする信用組合で、在日朝鮮人系の信用組合である「朝銀(ちょうぎん)」系の系譜に連なります。

「朝銀」は、戦後、在日朝鮮人系の事業者の相互扶助のために各地で設立された信用組合の系譜です。なお、ここでいう朝銀(朝鮮総連系)は、在日韓国人系(民団系)の「商銀」とは別系統です。朝銀西信用組合の起こりは、1962年に設立された岡山中央信用組合にさかのぼり、のちに朝銀岡山信用組合を経て、1999年に朝銀香川・愛媛・佐賀・大分と合併して朝銀西信用組合となりました。2001年には経営破綻した朝銀福岡・山口・広島・島根・長崎の事業を引き継ぎ、西日本一帯に地盤を広げています。数字の面で目を引くのは、預貸率70.9%という高さです。

まず、数字を並べる

朝銀西信用組合の預金は1,886億円、貸出金は1,336億円、預貸率70.9%。自己資本比率は7.72%、不良債権比率は3.28%。中小企業等向けの貸出先は2,614件です。

朝銀西信用組合(令和7年3月末)
預金1,886億円
貸出金1,336億円
預貸率70.9%
自己資本比率7.72%
不良債権比率3.28%
中小企業等向け貸出先2,614件
店舗13店

預貸率70.9%。西日本に広がる朝銀系信組の数字を読む。

70.9%を、朝銀の系譜から読む

預貸率70.9%は、本紀行で見てきた信用組合のなかでも高い部類で、集めた預金の七割を組合員に貸し出しています。在日朝鮮人系のコミュニティという明確な組合員基盤のもと、その資金需要に貸してきたことの表れと読めます。各地の朝銀を統合し、西日本一帯に広がりながら、組合員に貸す姿勢を保ってきたと読めます。

自己資本比率7.72%は、信用組合として国内基準は上回るものの、際立って厚いわけではありません。よく貸すぶん、資本の厚みは控えめです。不良債権比率3.28%は中庸の水準で、複数の朝銀を統合し、破綻した信組の事業を承継してきた経緯を経て、経営に努めてきたことがうかがえます。もちろん個別の事情も絡むため断定はできませんが、各地の朝銀を統合して西日本に広がってきた成り立ちを抜きに、この数字は読めません。

朝銀西信用組合が示すのは、各地の朝銀を統合し、西日本一帯の組合員に貸す信組の姿です。預貸率70.9%という高さは、明確な組合員基盤に貸してきたことの表れ。破綻した信組の事業を承継して広域に広がってきた歩みが、この数字の背景にあります。

なぜ、こうなったのか——制度と地域

信用組合が融資できる相手は原則として「組合員」に限られます。組合員になれるのは、中小企業等協同組合法などにより、その信用組合の地区内に住所や事業所がある中小事業者・勤労者などで、員外への貸出には制限があります。事業者には規模の制限もあり、大企業は組合員になれません。

この制度のもとでは、貸す相手はおのずと組合員に絞られます。朝銀西信用組合にとって、その組合員基盤は、西日本一帯に広がる在日朝鮮人系のコミュニティを中心とする事業者や住民です。各地の朝銀系信組を統合し、破綻した信組の事業を引き継いで広域に地盤を広げてきたことで、中国・四国・九州にまたがる組合員基盤を持つに至りました。明確な組合員基盤に貸す姿が、高い預貸率に表れていると読めます。

同じ県の、金融機関と並べてみる

同じ岡山県を代表する地銀として、中国銀行(預貸率79.7%)も本紀行に登場しています。県全域を相手にする中国銀行(預貸率79.7%)と、西日本のコミュニティを基盤とする朝銀西信用組合(預貸率70.9%)とでは、組合員基盤の性格が異なります。中国銀行の姿は、中国銀行の記事もあわせてどうぞ。

数字は、組合の成り立ちを映す

預貸率70.9%という高さは、各地の朝銀を統合し、西日本一帯の組合員に貸してきた信組の姿を映しています。朝銀西信用組合の数字は、朝銀系の系譜を引き継ぐ信組の、いまの記録です。預貸率の読み方は預貸率の読み方を、岡山県の他の金融機関は岡山県の地域金融機関のページもどうぞ。

朝銀西信用組合と融資・保証のはなし

朝銀西信用組合は、地元にしっかり貸す信用組合です。実際に借入れを考えるなら、土台になるのは事業の中身を伝える準備と、保証制度の理解。借りる側が知っておきたい融資・保証の基礎をまとめました。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。預貸率が低い金融機関は、相対的に融資先を求めている可能性をうかがう一つの目安になる。ただし、有価証券運用を主体とする金融機関は、預貸率が低くても融資に積極的とは限らない。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出先件数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(預貸率は貸出金÷預金で算出)。
朝銀西信用組合の沿革(1962年に岡山中央信用組合として設立、朝銀岡山信用組合を経て1999年に朝銀香川・愛媛・佐賀・大分と合併して朝銀西信用組合となり、2001年に朝銀福岡・山口・広島・島根・長崎の事業を引き継ぎ、本部を広島市に置くこと、朝銀系の信用組合であること)に関する記述=朝銀西信用組合公開情報・各種公開情報にもとづく。
朝銀系・商銀系の系譜、朝銀系信用組合の破綻・再編に関する記述=各種公開情報。
中国銀行の数値=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末。
信用組合の組合員・員外貸出に関する記述=中小企業等協同組合法ほか関係法令にもとづく一般的な整理。

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