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永和信用金庫——日本橋の「U-BANKえいわ」は、商都で何に貸すか

預貸率48.9%、預金6,440億円、自己資本比率11.82%、不良債権比率5.17%。大阪市浪速区日本橋に本店を置く永和信用金庫。山王信用組合を源流とし、創業95年を迎えた信金が、何に貸すのか。同じ大阪の信金と比べながら、その数字と歴史を読む。

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大阪府の大阪市浪速区に本店を置く永和信用金庫は、預金6,440億円を持つ信用金庫だ。店舗19。コミュニケーション・ブランドネームは「U-BANKえいわ」。本店は浪速区日本橋にあり、大阪市内14店のほか、堺市・東大阪市・八尾市に支店を構える。大阪府を地盤とする中堅の信金だ。

本拠の浪速区日本橋は、大阪・ミナミの東に位置する。電気街・問屋街として知られ、古くから中小・零細の商いが集まってきた土地だ。大阪は「天下の台所」と呼ばれた商都であり、無数の中小事業者が経済を支えてきた。永和信用金庫は、こうした商都・大阪の中小と商いの土地に根ざしてきた信金だ。

この信金の数字を見ると、預貸率48.9%という標準的な水準で、預金の半分弱を貸出に回している。自己資本比率11.82%は堅実な水準だ。不良債権比率は5.17%とやや高めだ。なぜ、浪速区の信金は、こうした数字になるのか。同じ大阪の信金とも比べながら、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。永和信用金庫の預金は6,440億円、貸出金は3,151億円。預貸率は48.9%で、預金の半分弱を貸出に回している。自己資本比率は11.82%、不良債権比率は5.17%。店舗数は19、中小企業等への貸出残高は3,121億円。

同じ大阪で、商都の最大級信金である大阪信用金庫(預貸率62.6%・預金2兆5,353億円)と比べると、永和信用金庫はより貸出を抑えている。永和信用金庫の預貸率48.9%は大阪信用金庫(62.6%)を下回り、規模も4倍近い差がある。一方、市が生んだ大阪シティ信用金庫(預貸率54.9%)とは近い性格だ。同じ商都・大阪の信金でも、規模と貸し方にグラデーションがあると読める。永和信用金庫は、その中堅どころとして、中小に密着して堅実に貸している。

大阪府の三つの信用金庫(令和7年3月末)
 永和信用金庫大阪信用金庫大阪シティ信用金庫
本店大阪市浪速区大阪市大阪市
預金6,440億円2兆5,353億円2兆6,000億円台
預貸率48.9%62.6%54.9%
不良債権比率5.17%6.86%

いずれも商都・大阪の中小に根ざす信金。永和信用金庫は規模では大手二信金に及ばないが、中堅として中小に密着して貸す。

山王から永和へ——永和信用金庫の歩み

永和信用金庫は、1931年(昭和6年)9月、「有限責任山王信用組合」として、当時の住吉区山王町(現・西成区山王)に設立された。1951年(昭和26年)に信用金庫へ転換して山王信用金庫となり、1958年(昭和33年)12月に本店を浪速区へ移転するとともに「永和信用金庫」へ改称した。以来、大阪市内を中心に堺市・東大阪市・八尾市へ店舗を広げ、2025年に創業95年を迎えた。

近年は、新たな拠点づくりにも動いている。2025年にはグランフロント大阪のナレッジキャピタルにオフィスを開設し、2026年4月にはうめきた・グラングリーン大阪のイノベーション施設「JAM BASE」にも新拠点を設ける予定だと、同金庫は公表している。実店舗の周辺地域での活動に加え、情報や知見が集まる中核施設に拠点を置き、入居企業や公的機関との連携で成長企業を支援する狙いだという。

浪速区から大阪市内、近隣市にかけての土地は、信用金庫にとって、会員の資金需要のある地盤だ。問屋街・電気街の商い、中小の製造業や小売・サービス業が集まる。こうした商都の中小に密着して貸す——その姿が、預貸率48.9%という水準を支えている。自己資本比率11.82%は堅実な水準で、長く着実に経営してきたことを映す。不良債権比率5.17%はやや高めだが、商都の中小の浮き沈みを引き受けてきたなかで、おおむね保たれてきた水準だと読める。

48.9%を、商都から読む

永和信用金庫の預貸率48.9%という水準は、商都・大阪の中小と商いの土地で、会員に着実に貸しつつ、運用とのバランスを取っていることの表れだと読める。問屋街・電気街の商い、中小の製造業やサービス業が集まる大阪は、信用金庫が貸す相手のある土地だ。永和信用金庫は、その中堅どころとして中小に密着して貸し、預金の半分弱を貸出に回している。

自己資本比率11.82%という堅実な資本と、不良債権比率5.17%というやや高めの焦げ付きは、商都の中小に貸し、その浮き沈みを引き受けてきたことを映す。山王から永和へと名を変え、商都の中小とともに95年——それが、永和信用金庫の数字に表れた歩みだと読める。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

大阪の経済とともに

永和信用金庫の数字は、商都・大阪という土地と、そこで山王から永和へと歩んできた信金の歴史の、両方を映している。預金の半分弱を地元の会員に貸し、堅実な資本を保ちながら、商都の中小・零細事業者を支えてきた。問屋街・電気街の商いと、中小のものづくりの経済が、48.9%という預貸率に表れている。

銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。永和信用金庫を見れば、商都・大阪の経済と、そこで中小に貸す中堅信金の姿が浮かぶ。大阪府の他の金融機関は、最大級の大阪信用金庫、市が生んだ大阪シティ信用金庫、北摂の北おおさか信用金庫もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。大阪府の他の金融機関と並べて眺めたい方は、大阪府の地域金融機関のページへ。

永和信用金庫と融資・保証のはなし

永和信用金庫は、地域に根ざした信用金庫です。借りる・備えるのどちらを考えるにしても、土台になるのは日頃の取引と信用。口座づくりから保証制度まで、どんな立場でも知っておきたい融資・銀行取引の基礎をまとめました。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。中小・零細の商いが集まる商都では、会員の資金需要に応えて預金の半分前後を貸出に回し、預貸率が40%台後半に落ち着くことがある。自己資本比率とあわせて見ることで、その信金の堅実さが見えてくる。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。大阪信用金庫・大阪シティ信用金庫の数値も同出典。
沿革(1931年(昭和6年)9月に「有限責任山王信用組合」として住吉区山王町(現・西成区山王)に設立されたこと、1951年に信用金庫へ転換して山王信用金庫となったこと、1958年12月に本店を浪速区へ移転し永和信用金庫へ改称したこと、コミュニケーション・ブランドネームが「U-BANKえいわ」であること、大阪市内・堺市・東大阪市・八尾市に店舗をもつこと、2025年に創業95年を迎えたこと、2025年にグランフロント大阪、2026年4月にJAM BASEへ新拠点を開設すること)=永和信用金庫および各種公開情報にもとづく。
浪速区・日本橋・大阪の地理・経済(浪速区、日本橋、電気街、問屋街、ミナミ、天下の台所、商都、中小事業者、グラングリーン大阪)に関する記述=各種公開情報。

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