大阪信用金庫——商都の最大級信金は、なぜ焦げ付きを抱えながらもよく貸すのか
預貸率62.6%、預金2兆5,353億円、不良債権比率6.86%。大阪市に本店を置く大阪信用金庫。信用金庫として全国最大級の規模を持つ「だいしん」が、商都の中小に深く貸す姿を読む。
大阪市に本店を置く大阪信用金庫は、地元で「だいしん」と呼ばれる信用金庫だ。預金2兆5,353億円、店舗70。信用金庫として全国でも最大級の規模を持つ。商都・大阪を地盤に、無数の中小・零細の事業者に密着して貸してきた。
本拠の大阪は、古くから「天下の台所」と呼ばれた商いの都だ。船場・天満をはじめとする問屋街、東大阪に代表される町工場の集積、そして商業・サービス業——数えきれないほどの中小・零細の事業者が、この街にひしめく。銀行が取引しにくい小さな事業者にとって、信用金庫は身近な資金の出し手だ。大阪信用金庫は、こうした商都・大阪の中小のものづくりと商いに深く根ざしてきた信金である。
この信金の数字で目を引くのは、2兆5,353億円という巨大な規模と、預貸率62.6%という高さ、そして不良債権比率6.86%というやや高めの水準だ。よく貸し、規模も大きいが、焦げ付きも抱える。なぜか。同じ大阪の最大級の信金とも比べながら、数字を読みにいく。
数字を並べてみる
まず、絶対値から。大阪信用金庫の預金は2兆5,353億円、貸出金は1兆5,863億円。預貸率は62.6%で、預金の6割超を貸出に回している。自己資本比率は14.39%、不良債権比率は6.86%とやや高めだ。店舗数は70、中小企業等への貸出残高は1兆4,856億円にのぼる。
大阪には、信用金庫として全国最大級の規模を持つ信金が複数ある。同じ大阪市を地盤とする大阪シティ信用金庫(預貸率54.9%・不良債権比率6.25%)と比べると、両者はともに2兆5,000億円を超える巨大な預金を持つ。大阪信用金庫の預貸率62.6%は、大阪シティ信用金庫(54.9%)より高く、よりよく貸している。一方、不良債権比率は両者ともに6%台とやや高めだ。これは、商都・大阪の無数の中小・零細に深く貸すことの、表と裏を映していると読める。よく貸せば貸すほど、なかには経営の苦しくなる先も出てくる。大阪の大型信金が共通して抱えるやや高めの焦げ付きは、中小・零細に深く食い込む信金の宿命のようなものだと読める。
| 大阪信用金庫 | 大阪シティ信用金庫 | |
|---|---|---|
| 本店 | 大阪市 | 大阪市 |
| 預金 | 25,353億円 | 25,720億円 |
| 預貸率 | 62.6% | 54.9% |
| 自己資本比率 | 14.39% | 11.14% |
| 不良債権比率 | 6.86% | 6.25% |
ともに2兆5,000億円超の預金を持つ、全国最大級の信金。大阪信用金庫はより高い預貸率でよく貸す。両者ともに焦げ付きはやや高めで、大阪シティ信用金庫と並ぶ、商都の中小に深く貸す姿が数字に表れている。
天下の台所とともに——大阪信用金庫の歩み
大阪信用金庫は、商都・大阪の中小・零細の事業者の相互扶助の金融機関として育ってきた。船場の問屋、東大阪の町工場、商店街の商店——こうした人々が預金を預け、必要なときに資金を借りる。大阪信用金庫は、そうした事業者に密着し、必要な資金を供給しながら、信用金庫として全国最大級の規模へと成長してきた。
商都・大阪という土地は、信用金庫にとって、よく貸せる地盤だ。事業者の数が桁違いに多く、運転資金や設備資金の需要が絶えない。だからこそ、預金の6割超を貸出に回せる。一方で、中小・零細への貸出は、景気の波を受けやすい。好不況のたびに、経営の苦しくなる事業者も出てくる。深く貸し込むほど、焦げ付きのリスクも引き受けることになる——この表裏一体の関係が、6.86%というやや高めの不良債権比率の背景にあると読める。それでも、自己資本比率14.39%という厚さが、その焦げ付きを吸収する体力を支えている。
62.6%を、商都の信金から読む
大阪信用金庫の預貸率62.6%という高さは、商都・大阪の旺盛な資金需要に、深く応えてきたことの表れだと読める。無数の中小・零細が集まる大阪では、運転資金や設備資金の需要が絶えない。信用金庫は、そうした需要に密着して応えることで、預金の6割超を貸出に回せる。これは、貸出先が地域に乏しく預貸率が低くとどまる地方の信金とは、対照的な姿だ。
そして、不良債権比率6.86%というやや高めの数字は、中小・零細に深く貸すことの裏側だと読める。これは経営が雑だということではなく、景気の波を受けやすい小さな事業者に、それでも貸し続けるという役割を担うがゆえの数字だ。自己資本比率14.39%という厚さが、その焦げ付きを吸収する体力を支える。商都の中小に深く貸し、焦げ付きも引き受けながら、厚い資本で支える——それが、大阪信用金庫の数字に表れた生き方だと読める。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。
大阪の経済とともに
大阪信用金庫の数字は、無数の中小・零細がひしめく商都・大阪という土地と、そこに深く貸す全国最大級の信金の歩みの、両方を映している。信用金庫として最大級の規模を持ち、預金の6割超を地元に貸しながら、景気の波で生じる焦げ付きも引き受け、厚い自己資本で支えてきた。商都の旺盛な資金需要に深く応える力が、62.6%という高い預貸率と、6.86%というやや高めの焦げ付きの、両方に表れている。
銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。大阪信用金庫を見れば、天下の台所・大阪の中小の経済と、そこに深く貸す最大級の信金の姿が浮かぶ。大阪の他の協同組織金融機関は、もう一つの最大級信金大阪シティ信用金庫、北摂の北おおさか信用金庫、大型信組の大阪協栄信用組合もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。大阪府の他の金融機関と並べて眺めたい方は、大阪府の地域金融機関のページへ。
執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)
出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。大阪シティ信用金庫の数値も同出典。
沿革・地域(大阪市に本店を置き、商都・大阪を地盤とする信用金庫であること、信用金庫として全国最大級の規模を持つこと、船場・天満の問屋街や東大阪の町工場など中小・零細の事業者に密着して貸してきたこと)に関する記述=大阪信用金庫および各種公開情報にもとづく。
大阪の経済(天下の台所、商都、中小・零細事業者、船場、東大阪の町工場、商業・サービス業)に関する記述=各種公開情報。