枚方信用金庫——京街道の宿場町・枚方で、ひらしんは何に貸すか
預貸率48.3%、預金5,085億円、自己資本比率12.0%、不良債権比率3.72%。大阪府枚方市に本店を置く枚方信用金庫。京街道の宿場町・枚方の北河内に根ざす「ひらしん」が、何に貸すのか。同じ大阪の信金と比べながら、その数字と歴史を読む。
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大阪府の枚方市に本店を置く枚方信用金庫は、預金5,085億円を持つ信用金庫だ。店舗20。地元で「ひらしん」と呼ばれ、枚方市を中心に、寝屋川・守口・門真・大東・四條畷・交野という北河内地区を地盤とする。京街道の宿場町・枚方の北河内に根ざす信金だ。
本拠の枚方市は、大阪府の北東部、大阪市と京都市のちょうど中間に位置する。淀川の左岸に開け、江戸期には東海道(京街道)の宿場町「枚方宿」として栄えた。淀川を上り下りする三十石船の中継港であり、船客に飯や酒を売った「くらわんか舟」でも知られる、水陸交通の要衝だった。近代以降は、大阪と京都を結ぶ鉄道沿線のベッドタウンとして人口が大きく増え、いまは大阪府内でも有数の人口を抱える住宅都市となっている。枚方信用金庫は、こうした京街道の宿場町から発展した北河内に根ざし、地域の中小事業者と、暮らす人々に貸してきた。
この信金の数字を見ると、預貸率48.3%という、信用金庫として標準的な水準が目を引く。預金5,085億円という相応の規模を持ちながら、貸出は半分弱。住宅都市の信金は、何に貸しているのか。同じ大阪の信金とも比べながら、数字を読みにいく。
数字を並べてみる
まず、絶対値から。枚方信用金庫の預金は5,085億円、貸出金は2,455億円。預貸率は48.3%で、預金の半分弱を貸出に回している。自己資本比率は12.0%、不良債権比率は3.72%。店舗数は20。
同じ大阪府の信金と比べてみる。府内最大級の大阪信用金庫(預貸率62.6%・預金2兆5,353億円)、茨木の北おおさか信用金庫(預貸率52.3%)、東大阪の永和信用金庫(預貸率48.9%)と並べると、枚方信用金庫の預貸率48.3%は、大阪の信金のなかではやや低めだ。大阪市内に地盤を持つ大阪信金や大阪商工信金が6~7割台で貸すのに対し、枚方は半分弱。これは、地盤の北河内が、製造業の集積した大阪市内・東大阪とは違い、住宅都市としての性格が強いことの表れだと読める。事業性の大型資金需要よりも、住宅ローンや地域の中小・小規模事業者への融資が中心になる。自己資本比率12.0%、不良債権比率3.72%は、いずれも信用金庫として標準的な水準だ。
| 枚方信用金庫 | 大阪信用金庫 | 北おおさか信用金庫 | 永和信用金庫 | |
|---|---|---|---|---|
| 本店 | 枚方市 | 大阪市 | 茨木市 | 大阪市 |
| 預貸率 | 48.3% | 62.6% | 52.3% | 48.9% |
| 自己資本比率 | 12.0% | 14.39% | 13.04% | 11.82% |
| 不良債権比率 | 3.72% | 6.86% | 5.84% | 5.17% |
いずれも大阪府の信金。枚方は預貸率がやや低めだが、不良債権比率は最も低い。住宅都市・北河内を地盤とする堅実な姿を映す。
枚方信用組合から——枚方信用金庫の歩み
枚方信用金庫は、1950年(昭和25年)8月、「枚方信用組合」として設立された。枚方商工会議所をはじめとする地元の商工業者の強い要望によって生まれた、地域のための金融機関だった。設立当初は、三矢にあった元大和銀行枚方支店の建物を借りて営業を始めたという。1952年(昭和27年)6月、前年に制定された信用金庫法を受けて「枚方信用金庫」に改組した。略称は「ひらしん」。1966年(昭和41年)には現在地に本店を移転し、北河内の経済復興・発展とともに成長してきた。2025年(令和7年)で創立75周年を迎えている。
京街道の宿場町から発展した北河内という土地は、信用金庫にとって独特の地盤だ。大阪市と京都市の中間に位置し、戦後の高度成長期に住宅都市として人口が急増した。製造業の集積する大阪市内・東大阪とは性格が異なり、住む人の暮らしと、地域に密着した中小・小規模事業者が経済の中心になる。だから預貸率は半分弱にとどまる。枚方信金は、この住宅都市・北河内に深く根ざし、地域の暮らしと事業を支えてきた。近年は、空き家対策と住み替えを通じて街の活性化を図る「morinekiプロジェクト」が地方創生の事例として注目され、「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞の経済産業大臣賞を受けるなど、地域づくりそのものに踏み込む信金として評価されている。預貸率48.3%という標準的な水準と、不良債権比率3.72%という府内で最も低い数字は、住宅都市で堅実に貸してきたことの表れだと読める。自己資本比率12.0%という標準的な資本とあわせ、地域とともに着実に歩む姿がうかがえる。
48.3%を、宿場町から読む
枚方信用金庫の預貸率48.3%という水準は、京街道の宿場町から発展した住宅都市・北河内で、暮らしと地域の中小に堅実に貸してきたことの表れだと読める。製造業が集積する大阪市内の信金が6~7割台で貸すのに対し、住宅都市を地盤とする枚方は半分弱。預金は着実に集まり、その半分弱を地域に貸す。
そのうえで、不良債権比率3.72%という大阪府の信金で最も低い数字を保っていることが、この信金の堅実さを物語る。住宅都市で無理な貸出を避け、地域の暮らしと事業に着実に貸す。宿場町から続く北河内の暮らしとともに、地域づくりに踏み込む——その姿勢が、48.3%という預貸率と、3.72%という低い不良債権比率に表れていると読める。京街道の宿場町・枚方で、ひらしんは北河内の経済とともに歩んでいる。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。
大阪の経済とともに
枚方信用金庫の数字は、京街道の宿場町から発展した住宅都市・北河内という土地と、地元商工業者の要望で生まれ地域とともに歩んできた歴史の、両方を映している。暮らしと地域の中小に堅実に貸しながら、地域づくりそのものに踏み込んできた。住宅都市という土地柄と、地域への深い関わりが、48.3%という預貸率と、3.72%という低い不良債権比率に表れている。
銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。枚方信用金庫を見れば、京街道の宿場町・枚方の経済と、そこで地域づくりに踏み込む信金の姿が浮かぶ。大阪府の他の金融機関は、府内最大級の大阪信用金庫、茨木の北おおさか信用金庫、東大阪の永和信用金庫もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。大阪府の他の金融機関と並べて眺めたい方は、大阪府の地域金融機関のページへ。
枚方信用金庫は、京街道の宿場町から発展した住宅都市・北河内に根ざし、暮らしと地域の中小に堅実に貸す信用金庫です。地元の事業者に貸す信金とどう付き合うか、口座づくりから与信の考え方まで、知っておきたい銀行取引の基礎をまとめました。
執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)
出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。大阪信用金庫・北おおさか信用金庫・永和信用金庫の数値も同出典。
沿革(1950年8月に「枚方信用組合」として設立されたこと、枚方商工会議所をはじめとする地元商工業者の要望で生まれたこと、1952年6月に信用金庫に転換し枚方信用金庫に改組したこと、本店が枚方市にあること、略称が「ひらしん」であること、枚方市を中心に北河内地区を地盤とすること、1966年に現在地へ本店を移転したこと、2025年で創立75周年であること、morinekiプロジェクトが地方創生事例として注目されたこと)=枚方信用金庫および各種公開情報にもとづく。
枚方・北河内の地理・歴史(枚方市、淀川、東海道、京街道、枚方宿、三十石船、くらわんか舟、北河内、ベッドタウン、住宅都市)に関する記述=各種公開情報・歴史的事実。
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