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城北信用金庫——都内最大級の信金は、下町でなぜ預金の半分しか貸さないのか

預貸率49.3%、預金2兆6,571億円、店舗89。荒川区に本店を置く城北信用金庫。東京の信用金庫として最大級の規模を持つ「じょうほく」が、なぜ預金の半分しか貸さないのか。その数字と歴史を読む。

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東京都荒川区に本店を置く城北信用金庫は、地元で「じょうほく」と呼ばれる信用金庫だ。預金2兆6,571億円、店舗89。東京の信用金庫として、また全国の信用金庫としても最大級の規模を持つ。荒川区を中心に、東京北部の下町一帯と、隣接する埼玉県南部に店舗を広げている。

本拠とする東京北部は、荒川・足立・北・板橋といった、いわゆる「城北」と呼ばれる地域だ。古くからの住宅地と商店街が広がり、町工場や個人事業者が数多く集まる下町の一帯である。隅田川や荒川沿いには、ものづくりの中小企業が根を張ってきた。城北信用金庫は、こうした下町のものづくりと商いの経済に根ざし、複数の信用金庫が合併を重ねながら、都内最大級の規模へと育ってきた。

この信金の数字で目を引くのは、2兆6,571億円という巨大な預金規模と、預貸率49.3%という水準だ。これほどの預金を集めながら、貸出はその半分。なぜ、これほど貸さないのか。同じ東京北部を地盤とする信金とも比べながら、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。城北信用金庫の預金は2兆6,571億円、貸出金は1兆3,095億円。預貸率は49.3%で、預金の半分を貸出に回している。自己資本比率は8.13%、不良債権比率は3.13%。店舗数は89、中小企業等への貸出残高は1兆2,924億円にのぼる。

2兆6,571億円という預金は、信用金庫として全国でも有数の規模だ。同じ東京北部を地盤とする巣鴨信用金庫(預金2兆88億円・預貸率47.2%)と比べると、城北信用金庫の規模はさらに大きい。両者の預貸率はともに5割弱で近い。東京北部の大型信金は、預金を集める力が非常に強い一方、その全てを下町の貸出だけでは回しきれない。集まった豊富な預金の一部は、貸出に加えて有価証券の運用などにも向かう。その結果、預貸率は5割前後にとどまる。これは、人口と資産が集まる大都市・東京の信金に共通して見られる構図だと読める。

東京北部の大型信用金庫(令和7年3月末)
 城北信用金庫巣鴨信用金庫
本店荒川区豊島区
預金26,571億円20,088億円
預貸率49.3%47.2%
自己資本比率8.13%10.95%
不良債権比率3.13%3.35%

東京北部を地盤とする二つの大型信金。城北信用金庫は巣鴨信用金庫を上回る規模を持つが、預貸率はともに5割弱で近い。大都市・東京で預金を集める力の強さがうかがえる。

下町のものづくりとともに——城北信用金庫の歩み

城北信用金庫は、東京北部の下町の商人や事業者の相互扶助の金融機関として育ってきた。町工場や個人事業者、商店街の商店——こうした人々が預金を預け、必要なときに資金を借りる。城北信用金庫は、複数の信用金庫が合併を重ねることで規模を広げ、都内最大級の信金へと成長してきた。下町のものづくりと商いに寄り添う姿勢は、その規模が大きくなったいまも変わらない。

東京北部という土地は、信用金庫にとって大きな地盤だ。人口が密集し、町工場や中小事業者、商店が数多く集まる。預金を集める力は非常に強い。一方で、下町の中小事業者への貸出には、おのずと適正な規模がある。製造業の集積はかつてより薄まり、住宅地への転換も進む。豊かに預金は集まるが、それを地元で貸し切るだけの需要には限りがある——この構図が、49.3%という預貸率の背景にあると読める。

49.3%を、下町の信金から読む

城北信用金庫の預貸率49.3%という水準は、大都市・東京北部で預金を集める力が非常に強いことの裏返しだと読める。2兆6,571億円もの預金が集まる一方で、下町の中小事業者や個人への貸出には、おのずと規模がある。無理に貸し込めば焦げ付きのリスクが増す。集めた預金のうち貸出に回りきらない分は、有価証券の運用などに向かい、預貸率は5割前後にとどまる。

自己資本比率8.13%、不良債権比率3.13%という数字は、都市型の大型信金として標準的な水準だ。派手に貸して規模を追うのでなく、豊富な預金を背景に、下町の中小事業者へ堅実に貸しながら、地域に根を張り続ける——それが、城北信用金庫の数字に表れた生き方だと読める。1兆2,924億円という中小企業向け貸出残高は、信金として全国屈指の規模であり、下町のものづくりを支える役割の大きさを物語る。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

城北の経済とともに

城北信用金庫の数字は、下町のものづくりと商いが息づく東京北部という土地と、そこで豊富な預金を集めながら中小事業者に貸す都内最大級の信金の歩みの、両方を映している。2兆6,571億円もの預金を持ちながら、その半分を地元に貸し、下町に根を張り続けてきた。大都市・東京北部で預金を集める力が、49.3%という預貸率に表れている。

銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。城北信用金庫を見れば、下町・東京北部のものづくりの経済と、そこで中小事業者に貸す大型信金の姿が浮かぶ。東京の他の信用金庫は、同じ城北の巣鴨信用金庫、人を見て貸す城南信用金庫、多摩の多摩信用金庫もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。東京都の他の金融機関と並べて眺めたい方は、東京都の地域金融機関のページへ。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。預貸率が中位の金融機関は、地元の資金需要に応えつつ、運用とのバランスを取っている一つの目安になる。ただし、預金を集める力が非常に強い大都市の金融機関は、貸出が追いつかず預貸率が低めにとどまることがある。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。巣鴨信用金庫の数値も同出典。
沿革・地域(荒川区に本店を置き、東京北部の下町と埼玉県南部を地盤とする信用金庫であること、複数の信用金庫の合併を重ねて都内最大級の規模へ育ったこと、「城北」が荒川・足立・北・板橋などを指すこと、下町に町工場や中小事業者が集まること)に関する記述=城北信用金庫および各種公開情報にもとづく。
東京北部の地理・経済(城北地域、下町、ものづくり、町工場、商店街、隅田川・荒川沿い)に関する記述=各種公開情報。

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