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東京スター銀行——破綻した銀行を引き継いで生まれた外資系は、台湾資本のもとで何に貸すか

預貸率85.6%、預金1.9兆円、店舗38。東京都港区赤坂に本店を置く東京スター銀行。経営破綻した東京相和銀行の営業を引き継いで2001年に新設され、いまは台湾の中国信託商業銀行(CTBC)グループに属する。破綻処理と外資による再生の歴史を読む。

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東京都港区赤坂に本店を置く東京スター銀行は、第二地方銀行に分類される。だが、その姿は一般的な地方銀行とはずいぶん違う。店舗数はわずか38。地元密着というより、リテール(個人向け)に特化したサービスで知られ、いまは台湾の金融グループの傘下にある外資系の銀行だ。預金は1兆8,676億円、貸出金は1兆5,994億円。預貸率は85.6%である。

この銀行の名は、2001年に生まれた比較的新しいものだ。だがその裏には、一つの銀行の破綻という、平成の金融危機を象徴する出来事がある。東京スター銀行は、ある破綻した銀行の営業を引き継ぐために、新しく作られた銀行だった。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。東京スター銀行の預金は1兆8,676億円、貸出金は1兆5,994億円。預貸率は85.6%で、預金の8割超を貸出に回している。自己資本比率は11.38%、不良債権比率は1.2%と低い。店舗数は38、中小企業等への貸出残高は1兆2,623億円にのぼる。

東京スター銀行(令和7年3月末)
預金18,676億円
貸出金15,994億円
預貸率85.6%
自己資本比率11.38%
不良債権比率1.2%
中小企業等向け貸出残高12,623億円
店舗38店

店舗38で預金1.9兆円。少ない店舗網で、リテールに特化して貸す外資系の第二地銀。

破綻した銀行を、引き継ぐために生まれた

東京スター銀行のもとになったのは、東京相和銀行という第二地方銀行だ。東京相和銀行は、24時間稼働のATMやテレホンバンキングなど、当時としては先進的なサービスで知られた銀行だった。だが、1999年(平成11年)6月、経営破綻した。バブル崩壊後の不良債権に行き詰まったのである。その破綻処理には、金銭贈与や債権買い取りなどで、約8,000億円もの公的資金が投じられたとされる。平成の金融危機の深さを物語る金額だ。

破綻した銀行の事業は、誰かが引き受けなければ、取引先や預金者が宙に浮く。そこで、東京相和銀行の営業を引き継ぐために新しく免許を受けて作られたのが、東京スター銀行だった。出資したのは、アメリカの投資ファンドローンスター。2001年(平成13年)、東京相和銀行から営業を譲り受けて、東京スター銀行は営業を開始した。破綻した銀行の受け皿として、外資のファンドが新しい銀行を立ち上げた——これは、平成の金融危機のなかで外資が日本の銀行再生に関わった、象徴的な事例の一つである。

東京スター銀行には、もう一つ珍しい特徴がある。第二地方銀行協会には、「会員から営業を譲り受ける目的で新たに免許を受けた銀行」という加盟資格がある。この資格で加盟し、いまも現存する唯一の銀行が、東京スター銀行だとされる。破綻処理から生まれた銀行が、そのまま地銀の一員として根を張った、稀有な存在なのだ。

外資から外資へ——台湾資本のもとへ

東京スター銀行は、ローンスターのもとで業容を広げ、2005年には東証一部に上場した。その後、別の投資ファンドの傘下を経るなど、株主が移り変わる時期が続いた。外資ファンドが再生させた銀行は、しばしばこうして売買の対象になる。

そして2013年(平成25年)、台湾の中国信託商業銀行(CTBC)が東京スター銀行を買収した。買収額は520億円とされる。CTBCは、台湾を代表する金融グループの一つだ。以後、東京スター銀行は台湾資本のもとにある外資系銀行として、日本国内で営業を続けている。邦銀にはない意思決定の速さが特徴とされ、リテールや特定分野の融資に強みを持つ。アメリカのファンドが生み、台湾の金融グループが引き継いだ——その来歴が、この銀行を、地元密着型の地銀とは異なる存在にしている。

85.6%を、特化と外資から読む

預貸率85.6%は、よく貸す部類に入る。だが東京スター銀行の貸出は、一般的な地銀のように地元の中小企業に薄く広く貸すのとは、少し性格が違う。

東京スター銀行は、店舗をわずか38に絞り、リテールや特定分野の融資に特化している。預金連動型の住宅ローン、カードローン、不動産関連の融資など、商品を絞って効率的に貸す。少ない店舗で大きな預金量を扱えるのは、地縁の店舗網でなく、特化したサービスで顧客を集めているからだ。中小企業等向け貸出残高は1兆2,623億円。外資系ならではの機動的な経営判断で、貸す分野を選び、絞って貸す。地元の隅々に網をかけるのでなく、勝てる分野に集中する——その姿勢が、85.6%という数字と、38という少ない店舗数の組み合わせに表れている。

破綻から生まれた銀行の、いまの姿

東京スター銀行の預貸率85.6%は、リテールと特定分野に特化するという戦略と、外資のもとで機動的に経営するという立ち位置の、両方を映している。平成の金融危機で破綻した銀行の受け皿として、アメリカのファンドが生み、いまは台湾の金融グループが擁する。地元密着の地銀とはまったく異なる道を歩みながら、東京で銀行であり続けている。数字は、その金融機関がどんな来歴を背負い、いまどこに立っているかを語る。東京スター銀行の数字は、破綻と再生の時代を映す、外資系の第二地銀の記録である。

各地の金融機関には、それぞれの成り立ちと事情が刻まれた、それぞれの生き方があります。東京都の他の金融機関とあわせて眺めたい方は、東京都の地域金融機関のページもどうぞ。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。預貸率が低い金融機関は、相対的に融資先を求めている可能性をうかがう一つの目安になる。ただし、有価証券運用を主体とする金融機関は、預貸率が低くても融資に積極的とは限らない。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(預貸率は貸出金÷預金で算出)。
沿革(東京相和銀行が1999年に経営破綻したこと、破綻処理に約8,000億円の公的資金が用いられたとされること、2001年にローンスターの出資により新設の東京スター銀行へ営業譲渡されたこと、第二地方銀行協会の特定の加盟資格で現存する唯一の銀行とされること、2005年の東証一部上場、2013年に中国信託商業銀行が約520億円で買収したこと)に関する記述=各種公開情報および報道。
事業の特徴(リテール・特定分野への特化、少ない店舗網、外資系としての機動的な経営)に関する記述=各種公開情報。

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