鳥取信用金庫——県都・鳥取で、とりしんは何に貸すか
預貸率52.9%、預金1,945億円、自己資本比率8.23%、不良債権比率5.37%。鳥取県鳥取市に本店を置く鳥取信用金庫。砂丘と城下町の県都に根ざす信金が、何に貸すのか。同じ鳥取の信金と比べながら、その数字と歴史を読む。
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鳥取県の鳥取市に本店を置く鳥取信用金庫は、預金1,945億円を持つ信用金庫だ。店舗18。「とりしん」の呼び名で知られ、鳥取県全域と兵庫県美方郡を営業地区とする。県都・鳥取を中心に根ざす信金だ。
本拠の鳥取市は、鳥取県の県都であり、城下町だ。鳥取藩池田家三十二万石の城下町として栄え、日本最大級の砂丘・鳥取砂丘が日本海の風に広がる。背後には中国山地が連なり、智頭の杉林や因幡の山々が広がる。山陰本線が東西に通り、姫路へと続く智頭急行が南へ抜ける。鳥取信用金庫は、こうした砂丘と城下町の県都・鳥取と、その背後の因幡の地に根ざしてきた信金だ。
この信金の数字で目を引くのは、預貸率52.9%という標準的な水準と、自己資本比率8.23%という薄めの資本だ。預金の半分強を貸出に回し、資本は厚くない。不良債権比率は5.37%。なぜ、県都の信金は、こうした数字になるのか。同じ鳥取の信金とも比べながら、数字を読みにいく。
数字を並べてみる
まず、絶対値から。鳥取信用金庫の預金は1,945億円、貸出金は1,028億円。預貸率は52.9%で、預金の半分強を貸出に回している。自己資本比率は8.23%、不良債権比率は5.37%。店舗数は18、中小企業等への貸出残高は889億円。
同じ鳥取県で、梨と白壁の町・倉吉を地盤とする倉吉信用金庫(預貸率は抑えめ・自己資本比率18.53%)と比べると、両者の資本の厚みは対照的だ。鳥取信用金庫の預貸率52.9%は倉吉信用金庫よりやや高く、県都でより積極的に貸している。一方、自己資本比率は倉吉信用金庫(18.53%)が厚く、鳥取信用金庫(8.23%)は薄めだ。県都・鳥取で広く貸す「とりしん」と、中部の梨の町で厚い資本を積む倉吉——同じ鳥取の信金でも、地盤と経営の姿勢が異なる。鳥取県内では、地方銀行の鳥取銀行や山陰合同銀行とも競合しながら、信金として県都に根を張っている。
| 鳥取信用金庫 | 倉吉信用金庫 | |
|---|---|---|
| 本店 | 鳥取市(東部) | 倉吉市(中部) |
| 預金 | 1,945億円 | — |
| 預貸率 | 52.9% | 抑えめ |
| 自己資本比率 | 8.23% | 18.53% |
| 不良債権比率 | 5.37% | 6.92% |
ともに鳥取県を地盤とする信金。県都の鳥取はよく貸し資本は薄め、中部の倉吉は厚い資本を積む。地盤とする土地と経営姿勢の違いが背景にある。
鳥取庶民信用組合から——鳥取信用金庫の歩み
鳥取信用金庫は、1950年(昭和25年)6月、鳥取庶民信用組合として設立された。1952年(昭和27年)1月、信用金庫に転換し、鳥取信用金庫となった。「庶民」の名を冠して生まれたとおり、県都・鳥取の市井の人々と中小事業者の相互扶助の金融機関として歩んできた。地元のお客から預かった資金を地元へ融資し、地元企業の発展や住宅・マイカー購入を支えてきた。「山陰海岸ジオウォーク」への協賛・ボランティア参加や、智頭町と結んだ「おせっかい奨学パッケージ」連携協定など、地域に密着した取り組みでも知られる。
鳥取という土地は、信用金庫にとって、貸す相手のある地盤だ。県都・鳥取の商業・サービス業、因幡の農林業、智頭の林業——多様な事業者が広がる。一方で、人口減少と高齢化が進み、地方銀行も複数しのぎを削る。県都の信金として、この地の中小・零細事業者に密着して貸す——その姿が、預貸率52.9%という標準的な水準を支えている。自己資本比率8.23%という薄めの資本と、不良債権比率5.37%は、競合の多い県都の市場で地域の浮き沈みを引き受けながら、地元に貸し続けてきたことを映していると読める。
52.9%を、因幡から読む
鳥取信用金庫の預貸率52.9%という水準は、県都・鳥取の信金として、地元の中小に着実に貸していることの表れだと読める。商業・農林業・林業の因幡は、信用金庫が貸す相手のある土地だ。地方銀行と競合するこの地で、鳥取信用金庫はその中小・零細事業者に密着して貸し、預金の半分強を貸出に回している。
自己資本比率8.23%という薄めの資本と、不良債権比率5.37%という焦げ付きは、競合の多い県都の市場で地域とともに歩んできたことの表れだと読める。「庶民」の名から始まり、県都・鳥取に根ざす——それが、鳥取信用金庫の数字に表れた生き方だと読める。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。
鳥取の経済とともに
鳥取信用金庫の数字は、砂丘と城下町の県都・鳥取という土地と、「庶民」の名から始まった信金の歴史の、両方を映している。預金の半分強を地元の会員に貸し、競合の多い市場で因幡の中小・零細事業者を支えてきた。県都の商業と因幡の農林業の経済が、52.9%という預貸率に表れている。
銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。鳥取信用金庫を見れば、県都・鳥取の経済と、そこで地域に貸す信金の姿が浮かぶ。鳥取県の他の金融機関は、中部の倉吉信用金庫、西部の米子信用金庫、県の地銀鳥取銀行もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。鳥取県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、鳥取県の地域金融機関のページへ。
鳥取信用金庫は、県都・鳥取に根ざした信用金庫です。借りる・備えるのどちらを考えるにしても、土台になるのは日頃の取引と信用。口座づくりから保証制度まで、どんな立場でも知っておきたい融資・銀行取引の基礎をまとめました。
- → 口座を育てる
- → 積立で信用をつくる
- → 与信枠の考え方
- → 創業支援保証とは
- → セーフティネット保証とは
執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)
出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。倉吉信用金庫の数値も同出典。
沿革(1950年(昭和25年)6月に鳥取庶民信用組合として設立され、1952年(昭和27年)1月に信用金庫に転換して鳥取信用金庫となったこと、鳥取県全域と兵庫県美方郡を営業地区とすること、「山陰海岸ジオウォーク」への協賛や智頭町との「おせっかい奨学パッケージ」連携協定などに取り組むこと、「とりしん」と呼ばれること)=鳥取信用金庫および各種公開情報にもとづく。
鳥取・因幡の地理・歴史(鳥取、鳥取市、鳥取砂丘、鳥取藩池田家、城下町、因幡、智頭、中国山地、山陰本線)に関する記述=各種公開情報。
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