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石動信用金庫——メルヘンと源平のまち・小矢部で、いするぎしんは何に貸すか

預貸率48.4%、自己資本比率15.75%、不良債権比率4.89%。小矢部市に本店を置く石動信用金庫。大正期の石動金物信用購買販売組合を源流とし、倶利伽羅峠のふもと・小矢部に根ざす信金の数字を読みます。

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富山県小矢部市に本店を置く石動信用金庫は、預金574億円、貸出金277億円、店舗4。「いするぎしん」の愛称で、小矢部市を中心に、富山県西部の砺波地域を地盤とする信用金庫です。

本店のある小矢部市は、富山県の西端、石川県と境を接する砺波平野のまちです。源平合戦の古戦場・倶利伽羅峠のふもとに位置し、近年は学校建築などを世界の名建築になぞらえた「メルヘン建築」のまちとしても知られます。米作と地場の製造業、商業がまちを支えてきました。石動信用金庫は1914年に「石動金物信用購買販売組合」として設立された古い歴史を持ち、1951年に信用金庫へと組織変更しました。数字の面で目を引くのは、預貸率48.4%と、自己資本比率15.75%という相応の厚みです。

まず、数字を並べる

石動信用金庫の預金は574億円、貸出金は277億円、預貸率48.4%。自己資本比率は15.75%、不良債権比率は4.89%。中小企業等向けの貸出先は1,610件です。

石動信用金庫(令和7年3月末)
預金574億円
貸出金277億円
預貸率48.4%
自己資本比率15.75%
不良債権比率4.89%
中小企業等向け貸出先1,610件
店舗4店

預貸率48.4%・自己資本15.75%。倶利伽羅のふもと・小矢部に根ざす信金の数字を読む。

48.4%を、砺波の地から読む

預貸率48.4%は、信用金庫として中庸の水準です。店舗4・預金574億円という小さな規模ながら、集めた預金のおよそ半分を地元に貸し出しており、砺波の事業者に密着して資金を回してきた姿がうかがえます。自己資本比率15.75%という相応の厚みとあわせて、堅実に経営する小さな信金の輪郭が読めます。

石動信用金庫が貸す相手は、小矢部を中心とする砺波地域の中小事業者です。米作とその関連、地場の製造業、まちの商業や建設業が、その融資先に含まれると考えられます。金物の購買販売組合を源流とする歩みは、土地の産業とともに育ってきたことを映しています。不良債権比率4.89%はやや高めながら極端ではなく、無理に貸し増さず堅実に向き合う姿勢が読めます。もちろん個別の事情も絡むため断定はできませんが、倶利伽羅のふもと・小矢部という土地を抜きに、この信金の数字は読めません。

石動信用金庫が示すのは、砺波の小さなまちに根ざし、堅実に向き合う信金の姿です。店舗4という小ささながら、集めた預金のおよそ半分を地元に回し、相応の自己資本で守りを固める。100年を超える歴史を持つ、土地に根を張る信金の輪郭を映しています。

なぜ、こうなったのか——制度と地域

信用金庫が融資できる相手は原則として「会員」に限られ、その資格は信用金庫法10条1項により、信用金庫の「地区」の中に住所や事業所がある人、その地区で働く人、と定められています。事業者には規模の制限もあり、大企業は会員になれません。

この制度のもとでは、貸す相手はおのずと地元の中小事業者や住民に絞られます。石動信用金庫にとって、その「地元」とは、米作と地場産業を柱とする砺波・小矢部の地域経済です。金物の組合を源流とし、地区の事業者と長く付き合うなかで中庸の預貸率と相応の自己資本を保ってきたことが、その数字に表れていると読めます。

同じ県の、金融機関と並べてみる

同じ富山県を代表する地銀として、北陸銀行(預貸率75.0%)も本紀行に登場しています。同じ県西の高岡には高岡信用金庫(預貸率48.3%)があり、県東の新川にはにいかわ信用金庫(預貸率37.9%)もあります。富山の信金の姿は、各記事もあわせてどうぞ。

数字は、根を張る土地を映す

預貸率48.4%という中庸の水準と、自己資本比率15.75%という相応の厚みは、倶利伽羅のふもと・小矢部に根を張り、100年を超えて地元に向き合ってきた信金の姿を映しています。石動信用金庫の数字は、砺波の小さなまちに根ざす「いするぎしん」の、いまの記録です。預貸率の読み方は預貸率の読み方を、富山県の他の金融機関は富山県の地域金融機関のページもどうぞ。

石動信用金庫と融資・保証のはなし

石動信用金庫は、地域に根ざした信用金庫です。借りる・備えるのどちらを考えるにしても、土台になるのは日頃の取引と信用。口座づくりから保証制度まで、どんな立場でも知っておきたい融資・銀行取引の基礎をまとめました。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。預貸率が低い金融機関は、相対的に融資先を求めている可能性をうかがう一つの目安になる。ただし、有価証券運用を主体とする金融機関は、預貸率が低くても融資に積極的とは限らない。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出先件数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(預貸率は貸出金÷預金で算出)。
石動信用金庫の沿革(1914年に石動金物信用購買販売組合として設立、組織変更を重ね1951年に信用金庫へ、小矢部市を中心に砺波地域を地区とすること)に関する記述=石動信用金庫公開情報・各種公開情報にもとづく。
小矢部市の倶利伽羅峠・源平の古戦場・メルヘン建築・米作に関する記述=各種公開情報。
北陸銀行・高岡信用金庫・にいかわ信用金庫の数値=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末。
信用金庫の地区・会員資格に関する記述=金融庁 金融審議会「協同組織金融機関のあり方に関するワーキング・グループ」資料『協同組織金融機関の「地区」のあり方』(2008年6月20日・神吉正三)。

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