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高岡信用金庫——銅器のまち・高岡で、たかしんは前田家の城下町に何を貸すか

預貸率48.3%、預金3,839億円、自己資本比率13.14%、不良債権比率5.7%。富山県高岡市に本店を置く高岡信用金庫。加賀前田家の城下町・銅器のまち高岡に根ざす「たかしん」が、何に貸すのか。同じ富山の信金と比べながら、その数字と歴史を読む。

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富山県の高岡市に本店を置く高岡信用金庫は、預金3,839億円を持つ信用金庫だ。店舗17。地元で「たかしん」と呼ばれ、高岡市を中心に富山県西部(呉西)を地盤とする。加賀前田家の城下町・銅器のまち高岡に根ざす信金だ。

本拠の高岡市は、富山県の西部、富山湾に面した県内第二の都市だ。江戸初期、加賀百万石・前田家の二代当主前田利長が築いた城下町であり、商工業のまちとして発展した。利長が招いた鋳物師に始まる高岡銅器は、いまも全国の銅器生産の大半を占め、仏具や銅像、近年は錫の鋳物などで知られる。あわせて高岡漆器も受け継がれ、高岡は伝統工芸とものづくりのまちとして名高い。ユネスコ無形文化遺産の高岡御車山祭や、国宝・瑞龍寺もこの地にある。高岡信用金庫は、こうした前田家の城下町・高岡に根ざし、地域の中小事業者と住民に貸してきた。2017年には、高岡らしいアルミ鋳物と黒漆喰を用いた土蔵造り銀行建築様式の新本店を構えた。

この信金の数字を見ると、預貸率48.3%という、信用金庫として標準的な水準が目を引く。預金の半分弱を貸出に回している。自己資本比率は13.14%。城下町の信金は、何に貸しているのか。同じ富山の信金とも比べながら、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。高岡信用金庫の預金は3,839億円、貸出金は1,853億円。預貸率は48.3%で、預金の半分弱を貸出に回している。自己資本比率は13.14%、不良債権比率は5.7%。店舗数は17。

同じ富山県の信金と比べてみる。県内最大で富山市を地盤とする富山信用金庫(預貸率47.2%・自己資本比率15.94%)、射水の新湊信用金庫(預貸率32.6%)、氷見の氷見伏木信用金庫(預貸率25.8%)と並べると、高岡信用金庫の預貸率48.3%は、富山の信金のなかでは高めの部類だ。新湊や氷見伏木が3割を切る・3割台という富山特有の低さを示すなか、高岡は半分弱まで貸している。県内第二の都市・高岡という、商工業の集積した城下町を地盤とすることが、この相対的に高い預貸率を支えていると読める。自己資本比率13.14%は信用金庫として堅実な水準だ。不良債権比率5.7%はやや高めで、地域の事業の浮き沈みを引き受けてきたことをうかがわせる。

富山県の信用金庫(令和7年3月末)
 高岡信用金庫富山信用金庫新湊信用金庫氷見伏木信用金庫
本店高岡市富山市射水市氷見市
預貸率48.3%47.2%32.6%25.8%
自己資本比率13.14%15.94%10.95%18.65%
不良債権比率5.7%3.23%4.75%5.64%

いずれも富山県の信金。富山の信金は総じて預貸率が低めだが、そのなかで高岡は商工のまちを地盤に高めの水準を示す。

高岡信用組合から——高岡信用金庫の歩み

高岡信用金庫は、1923年(大正12年)3月、「高岡信用組合」として創業した。城下町・高岡の商工業者を支える組合だった。1951年(昭和26年)6月、信用金庫法に基づき高岡信用金庫に改組した。本店は高岡市守山町に置かれ、通称は「たかしん」。2004年(平成16年)には福光信用金庫の高岡市内2店舗を譲り受け、地盤を固めた。2017年(平成29年)には、高岡の伝統的な金属加工技術を象徴するアルミ鋳物や黒漆喰を用いた、土蔵造り銀行建築様式の新本店を竣工させている。本店別館の隣には、タカジアスターゼの発明とアドレナリンの発見で知られる高岡出身の化学者・高峰譲吉の功績を伝えるコーナーも設けられた。

前田家の城下町・高岡という土地は、信用金庫にとって独特の地盤だ。高岡銅器・高岡漆器の伝統工芸、アルミをはじめとする金属加工業、そして県西部の商業——県内第二の都市として、ものづくりの中小が厚く集まる。富山県の信金は、製造業が盛んな県でありながら、大企業の資金は地銀(北陸銀行・富山銀行など)が担うため、総じて預貸率が低めに出る傾向がある。そのなかで高岡信金が48.3%と相対的に高いのは、城下町・高岡に集積するものづくりの中小に、着実に貸してきたことの表れだと読める。自己資本比率13.14%という堅実な資本は、地域とともに健全であろうとする姿勢の表れだ。不良債権比率5.7%というやや高めの数字は、伝統工芸や金属加工という、景気の波を受けやすい産業の浮き沈みを地道に引き受けてきたことを映していると読める。

48.3%を、城下町から読む

高岡信用金庫の預貸率48.3%という水準は、前田家の城下町・銅器のまち高岡で、ものづくりの中小に着実に貸してきたことの表れだと読める。新湊や氷見伏木が3割前後という富山特有の低さを示すなか、県内第二の都市・高岡を地盤とする高岡信金は、半分弱まで貸している。預金は着実に集まり、その半分弱を地域に貸す。

そのうえで、自己資本比率13.14%という堅実な資本を保っていることが、この信金の性格を物語る。伝統工芸と金属加工のまちで、景気の波を受けやすい産業に貸しながら、資本の備えを欠かさない。城下町のものづくりとともに、堅実に歩む——その姿勢が、48.3%という預貸率と、13.14%という堅実な自己資本に表れていると読める。銅器のまち・高岡で、たかしんは富山県西部の経済とともに歩んでいる。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

富山の経済とともに

高岡信用金庫の数字は、加賀前田家の城下町・銅器のまち高岡という土地と、城下町の商工業を支えて百年を歩んできた歴史の、両方を映している。ものづくりの中小に着実に貸しながら、堅実な資本を保ってきた。伝統工芸と金属加工のまちという土地柄が、48.3%という預貸率と、13.14%という堅実な自己資本に表れている。

銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。高岡信用金庫を見れば、前田家の城下町・高岡の経済と、そこでものづくりに貸す信金の姿が浮かぶ。富山県の他の金融機関は、県内最大の富山信用金庫、射水の新湊信用金庫、氷見の氷見伏木信用金庫、県内最大の地銀北陸銀行富山銀行もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。富山県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、富山県の地域金融機関のページへ。

高岡信用金庫と融資のはなし

高岡信用金庫は、前田家の城下町・銅器のまち高岡に根ざし、ものづくりの中小に着実に貸す信用金庫です。地元の事業者に貸す信金とどう付き合うか、口座づくりから与信の考え方まで、知っておきたい銀行取引の基礎をまとめました。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。富山県のように製造業が盛んでも大企業の資金を地銀が担う地域では、信金の預貸率は低めに出やすい。そのなかで相対的に高い水準は、商工業の集積した地を地盤とし、中小に着実に貸してきた表れであることが多い。自己資本比率とあわせて見ることで、その姿が見えてくる。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。富山信用金庫・新湊信用金庫・氷見伏木信用金庫の数値も同出典。
沿革(1923年3月に「高岡信用組合」として創業したこと、1951年6月に信用金庫法に基づき高岡信用金庫に改組したこと、本店が高岡市守山町にあること、通称が「たかしん」であること、2004年に福光信用金庫の高岡市内2店舗を譲り受けたこと、2017年に土蔵造り銀行建築様式の新本店を竣工したこと)=高岡信用金庫および各種公開情報にもとづく。
高岡の地理・歴史(高岡市、前田利長、加賀前田家、城下町、高岡銅器、高岡漆器、高岡御車山祭、瑞龍寺、高峰譲吉)に関する記述=各種公開情報・歴史的事実。

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